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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第25章 真夜中の怪しい男(ただし正体は知れている)
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ヤツの目的は?

 一体、なんだか……、というより、まったくもって意味不明という方が精確だけど、ともあれ、ブラックシャドウが風のように立ち去り、わたしたちはホッとひと息。

 わたしは、アンジェラを抱き寄せ、

「一応、危険は去ったわ。目が冴えて眠れないかもしれないけど、とりあえずベッドで横になりましょ」

 すると、アンジェラは何も言わず、言われたように体を静かにベッドに横たえ、目を閉じた。プロトタイプ1号機は、アンジェラのことが心配なのか、壁に背を向け三角座りの姿勢のまま(アンジェラに「フリーズ」を言われた時からずっと、この姿勢だったようだ)、音を立てずに首だけを動かし、アンジェラを見つめた。重武装人造人型兵器の分際で、アンジェラのことを心配しているのだろうか。


 そして、数分後……、アンジェラは、緊張感から解放され安心したからか(理屈付けは心理学者の領分だけど)、スヤスヤと寝息を立て始めた。

 わたしとしてはアンジェラのメンタルが気にはなるが、それはそれとして……

「プチドラ、まだ起きてる? ……というか、眠ってるなら起きなさい」

 わたしは両腕でプチドラの脇腹をつかみ、顔の高さまでむんずと持ち上げた。

「心配しなくても、まだ起きてるよ。あれっぽっちのお酒じゃ、アルコール大王の燃料タンクには、まだまだ余裕があるんだから……」

「余裕って……」

 ちなみに、プチドラの言う「あれっぽっちのお酒」の意味は、夕食の際に出されたアルコールがグラス1杯しかなく、「アルコール大王」を自認するプチドラにとっては甚だ不満だったということ。でも、今は、そんなこと言ってる場合じゃないだろう。

 わたしは、プチドラをベッドの上に降ろし、

「また面倒なのが現れたわね。ブラックウィドウだっけ? ヤツは今更なんのために現れたのかしら。まさか、さっき言ってたみたいに、本当に、マーチャント商会会長の代理人として、約束の履行を催促しにきたのかしら」

「どうだろう。彼の目的は、今のところ、ボクにも皆目見当がつかない。ただ、それはそれとして、彼は『ブラックシャドウ』だよ。本人もそう言ってたでしょ」

「もう…… 名前はどっちでもいいわ」

 わたしは、思わず「ふぅ」とため息を一つして、体を後ろに倒してベッドの上で大の字になった。まさか、プチドラに突っ込まれるとは……

 ブラックシャドウが何を考えているのか、気にはなるが、ヤツの内心はヤツにしか分からないのだから、今ここであれこれと推しはかってみても意味はないだろう。とはいえ、やはり気になることには違いなく……、と、わたしは横になりながら、頭の中では堂々巡りを繰り返していた。

 そして、そのうちに……


 コーケコッコー! コーケコッコー! コーケコッコー!


 朝を表現するライトモチーフは、万国共通のようだ。この鶏は、時を告げる特技ゆえに、食糧事情の悪いこの町でも食されずに済んだのだろう。

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