表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第24章 なんとも形容しがたいドラゴニアン・ハート城
244/293

討ち入り

 アース騎士団長は、広場に武装して整列した騎士たちを前に、

「では、おのおの方……」

 と、何やら非常に意味ありげに真剣な表情。「おのおの方」の次が「ご油断めさるな」なら、それは忠臣蔵。もしかして、ドラゴニア騎士団は、本当にドラゴニアン・ハート城に討ち入りするつもりだろうか。

 そんなことを考え始めた矢先、アース騎士団長も、わたしたちに気付いたのだろう、

「ああ、ウェルシー伯、丁度いいところで!」

 と、大きな声を上げ、手を振った。

 でも、わたしはアンジェラと顔を見合わせ、「なんなんだ」みたいな…… いきなり「丁度いい」と言われても、意味が分かるはずがない。

 アース騎士団長は、駆け足でわたしたちのところに歩み寄ると、

「ウェルシー伯、実は、今し方、結論が出ました」

「結論…… ですか?」

「そうです。手短に言うと、これから実力行使です」

 ということは、要するに「討ち入り」だろう、多分……


 アース騎士団長の説明によれば、騎士たちによる話し合いの結果、ドラゴニアン・ハート城の外観が、あのように巨大な〇〇〇をいただいた形に改変され(なお、「〇〇〇」は筆者の自己規制)、騎士団が城内から言わば閉め出されている状況を打開するため、これから、この広場にいる騎士たちが城内に進入し、新ドラゴニア侯(実は正体はスヴォール)に会い、直に談判しようということが決まったという。なお、新ドラゴニア侯側からなんらかの抵抗があれば、騎士団の実力でもってその抵抗を排除することも合意されたとか。ということは……

「つまり、早い話が『討ち入り』です」

 と、アース騎士団長。そうであれば、先刻の「おのおの方」の続きに来る言葉は「ご油断めさるな」で結果的に正しいこととなるが、それはそれとして……

 わたしは騎士団長を見上げ、

「では、騎士団長、先ほどの『丁度いい』とは、一体、どのような意味でしょう?」

「ああ、それですか…… その意味につきましては……」

 アース騎士団長は、一瞬、眉をひそめると同時に顔をしかめ、

「実は、こういうことを申し上げるのもなんですが……、もし、差し支えなければ、ウェルシー伯にも御同道いただければと思うところがあるのですが……、いや、これはもちろん……、単なる私の願望でして……」

 と、騎士団長は、恥ずかしそうに肩をすぼめた。

 わたしは、愛想笑いとも苦笑ともつかない笑いを浮かべつつ、「了解」の意味で首を縦に振った。アース騎士団長側の事情はよく分からないが、わたしとしては、新ドラゴニア侯であるスヴォールと直接対面できる可能性が転がり込んでくるのだから、その申し出を断る理由はないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ