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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第24章 なんとも形容しがたいドラゴニアン・ハート城
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散策

「さて……、と……」

 アース騎士団長は、ここで少し間を置き、

「詰まるところ、要は、アレですな、アレ……、つまり、アレの件に関する善後策について、協議していたというわけです」

「そうでしたか、話し合いの途中とは知らず、失礼いたしました。では、わたしたちは、その協議が終わるまで、適当に町の視察など、させてもらうことにしましょう」

「左様ですか。お構いもできず申し訳ありません。お戻りになるまでには、宿の手配など整えさせておきますので……」

 わたしは、済まなさそうな顔をしているアース騎士団長に愛想笑いを返し、プチドラを抱いてアンジェラとプロトタイプ1号機を呼び寄せ、広場を出た。


「今度は、わたしが『さて……』を言う番かしら。これから……、とりあえず、歩く?」

 すると、わたしの腕の中のプチドラが、にわかにギョッとした顔をしてわたしを見上げた。ところが、アンジェラがニッコリと、

「そうしましょう。たまにはブラブラと、なんの目的もなく歩くのも、良いと思います」

 そう言ったのを聞いて、プチドラはホッとした表情。確かに、わたしの方向音痴は超弩級だけど、そうあからさまに反応することもないのではないか? どうでもいいけど……

 ただ、それはそれとして、

「ウガガ! ウガガッ!! ウガガガガッ!!!」

 と、この「ウガガ」は、今更言うまでもないだろうが、プロトタイプ1号機。どういうわけか、意味もなく気合が入っているようだ。

 わたしたちは、プロトタイプ1号機を先頭に、アンジェラ、わたし(及びプチドラ)の順に並んで広場を離れ、ドラゴニアン・ハートの街中に繰り出した。ちなみに、どうでもいい話だけど、どうしてプロトタイプ1号機が先頭を歩くのかというと、取り立てて言うほどの理由はなく、ただ、なんとなく、そんな感じで歩き出したという、それだけこと。ただ、理屈を言えば「重武装人造人型兵器の分際で主人を差し置いて先頭を歩くのはいかがなものか」という気もしないではないが、その程度のことで目くじらを立てることもないだろう。


 ドラゴニアン・ハートの町並みは、ひと言で言えば、どこにでもあるようなひなびた田舎町で、馬車が3台か4台ほど並んで通れそうな大通り(おそらく、この町のメインストリートだろう)の両側には、様々な商店が建ち並んでいた。ただ、最近まで、国家財政破綻の危機のあおりを受けて住民の暮らしも困窮を究めていたためもあり、商店の中には扉や窓を完全に閉め切って、倒産したのか休業中かといったところも多く、道行く人の数は多くない。

 アンジェラは、右を向いたり左を向いたりして、前の戦役が終わって(一応は)平和になった町の様子を観察している。この前に来た時も街中を歩いたことはあったが、その時は、ニコラスの決闘がどうとかで、ゆっくりと町を散策する余裕も時間もなかった。

 こんな感じで、のんびりと大通りを歩いていると、

「あっ、あれは!?」

 不意に、アンジェラが小さい声を上げた。

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