対処方法は如何
アース騎士団長は、もういちどゴホンと(今度は前よりも少し大きめに)咳払いをすると、
「我々ドラゴニア騎士団としましては、今は言わば自分たちの城から追い出されたような奇妙な状態にあるわけで、これからどうしたものか、対応について話し合おうではないかということで、ここに集まったわけです」
「なるほど、それは確かに…… いやはや、なんとも……」
わたしは、納得という意味ではないが(こんな意味不明の状況での「納得」は、普通、あり得ないだろう)、適当に何度かうなずき、
「とにかく現在の状況を打開しなければならないということなら、最終的・終局的には、騎士団の皆さんが、実力でもって城内に進入する以外にないのでは?」
「まあ、それは、おっしゃるとおりですがね。ただ、城自体の外観もあのように異様な姿に変化しているとあっては、なかなか……」
アース騎士団長は、「う~ん」と腕を組んだ。なるほど、なんとなくだけど、気持ちは分かる。外観がアレでは、城の内部でどんな得体の知れないものが待ち構えているか、分かったものではない。
その時、不意に……
「ウガガ、ウガガ、ウガガガガッ!」
プロトタイプ1号機の「ウガガ」が広場に響き渡った。そして、さらに、
「すごい! プロトタイプ1号機!! 力持ち!!!」
と、いかにも子供らしいアンジェラの声も響く。
声のする方を見てみると、手持ちぶさただったのだろう、プロトタイプ1号機が数名のドラゴニアの騎士たちを相手に、相撲かレスリングのような力比べをしていた。ただ、騎士が数名程度では、いかんせん、プロトタイプ1号機は微動だにしない。
アース騎士団長も、その光景を見ると、目を丸くして、
「すさまじい豪傑ですな。我々ドラゴニア騎士団にスカウトしたいほどです」
と、プロトタイプ1号機のパワーに舌を巻いた。
確かに、製作者であるスヴォールの、科学者あるいはRPG的には錬金術師としての技術については、認めざるを得ないだろう。ただ、人格的にアレでは……
わたしは、「ふぅ」と小さく息を吐き出し、
「ところで、それはそれとして……、騎士団長、御子息のニコラスの姿が見えないのですが、彼は、今、どこに?」
すると、アース騎士団長は、にわかに渋い表情となって、
「ああ、ニコラスですか。息子なら、また悪い仲間とともに、先代の……、いや、今は先々代ですが、まだ、その先々代の城に籠もってします。ただ、時々要求を掲げてドラゴニアン・ハート城に来ますから、そのうち顔を見ることもあるかもしれませんな」
ニコラスに関しては、この前に帝都で騎士団長から聞いた話から、状況は大して変わっていないようだ。




