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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第21章 替え玉作戦で起死回生
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仮装行列のイベント

 そして、さらに、2日後(つまり、ガイウス及びクラウディアとの深夜のお茶会の日から見ると「明後日」)……

「はぁ~~~」

 ため息はいつものことだけど、わたしは、今日は特に大きなため息をついた。

 プチドラは、わたしの膝の上で苦笑しつつわたしを見上げ、

「まあまあ、マスター、こういうイベントは今日で最後だから、もう少し辛抱しようよ」

「最後なのは分かってるわ。もし、そうでなかったら、こんな闘技場なんか、プチドラ……いえ、隻眼の黒龍、あなたの力でボロボロに破壊してしまうんだから……」

「いやいや、それは不穏当……どころか、超ド級の爆弾発言だよ」


 閑話休題……

 ここは、帝都の闘技場。闘技場は、クラウディアの言う「仮装行列」、正しくは、任地に赴任する新ドラゴニア侯の出発をみんなで祝福するセレモニー会場に充てられていた。ただ、闘技場の観客席にいるのは貴族だけで、一般市民の姿は(一人や二人、奇特な人もないではないが)ほとんどない。それもそうだろう。タダで見られるならともかく、市民にも闘技場に入るための入場料を要求されるのだから、出席が強制されている貴族でなければ、誰がこんな馬鹿馬鹿しいイベントに参加するだろうか。

 なお、ニューバーグ男爵によれば、この闘技場がセレモニー会場に選ばれた理由は、帝国宰相の目論見としては参加者からお金を巻き上げることが第一にあって、貴族については確実に出欠の確認ができるようにしたいかららしい。このようなことで、わたしは受付で高額の入場料を支払い(正確には、不本意ながら払わされ)、現在こうして観客席に腰を下ろしていると、こういうわけ。


「マスター、そろそろ始まるみたいだよ」

 プチドラは、指を一本、口の前に立てて、「静かに」のポーズ。わたしは、何も言わず、もう一度、今度は小さくため息をついた。とりあえず今は、「どうでもいいから、早く終わってほしい」以外に思うことはない。

 程なくして、闘技場の中央部にあるアリーナへの出入口(普段は剣闘士などが出入りするところで、複数設けられている)のうち一つの扉が開き、そこから数名の人物が一列になってアリーナ内に登場した。

 現れたのは、先頭から順番に、帝国宰相、新ドラゴニア侯、ツンドラ侯、ニューバーグ男爵、パーシュ・カーニス評議員という、言わばいつもの面々と、その後ろに少し遅れて、知らない人が十数名(一応、政府高官なのだろう)。なお、三匹のぶたさん(アート公、ウェストゲート公、サムストック公)は、お呼びではないらしく、その列には入らず、観客席で一人につき二、三人分の席を占領してふんぞり返っている。

 ただ、繰り返しになるけど、新ドラゴニア侯の正体は、あの(正直、あまり口にしたくない言葉の響きだけど)スヴォール。果たして、どうなることやら……

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