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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第21章 替え玉作戦で起死回生
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走行会、装甲会、壮行会

 ガイウスはおもむろに、今晩三杯目の紅茶をティーカップに注ぎ、

「ふと耳にしたのだが……、宮殿で予定されていた『走行会』という催し物が中止になったらしいね。かけっこでもするつもりだったのかい?」

 その瞬間、わたしは思わず「えっ!?」と、目が点。

「違う? じゃあ、『装甲会』?? 戦車競争でもするのかな???」

 ガイウスは、クラウディアと顔を見合わせた。見た感じ、冗談で言ったのではなさそうだ。予定されていたのは「壮行会」だから、確かに「ソウコウ」には違いないが、これは、ダーク・エルフの情報網も、結構、間が抜けているということだろうか。

 ニューバーグ男爵によれば、予定されていた「新ドラゴニア侯の赴任に先立つ大壮行会」は、「諸般の事情」により中止になったという。ニューバーグ男爵とパーシュ=カーニス評議員が壮行会の中止を猛烈に主張し、全身全霊を傾けて、いぶかしがる帝国宰相を無理矢理に押さえ込むような形で説得した結果らしい。


 とはいえ……

「まあ、『走行会』か『装甲会』かは、ともかくとしまして……」

 と、クラウディアは今晩五杯目の紅茶をティーカップに注ぎ、

「明後日、仮装行列が催されることになったとか……」

「仮装行列? ああ、言われてみれば、確かに……」

 これもニューバーグ男爵の話だけど、予定されていた壮行会の代わりに、急遽、ドラゴニアに赴任する新ドラゴニア侯の出発をみんなで祝福するため、強制参加の貴族に加え、任意参加の市民によるセレモニーが行われることになったという。このイベントには、貴族には高額の参加費用、任意参加の市民には貴族より安い参加費用の支払いが義務付けられており、この参加費用の関係は帝国宰相のアイデアとのこと。予定されていた壮行会の中止で失われる収入(つまり、壮行会への参加費用)を、別のセレモニーという形で補填するつもりのようだ。ニューバーグ男爵とパーシュ=カーニス評議員がもっと頑張ってくれればよかったのだが、帝国宰相としても政府の財政的な問題だけは譲れないらしい。男爵と評議員の判断としては、ツンドラ侯の大暴れなどの不測の事態が発生する可能性を少しでも減少させる意味で動作が様式化され筋書きどおりに進むことが担保されるのであれば、宰相の言い分を呑むのもやむを得ず、結論的に、台本のあるセレモニーという形で落ち着いたという。ただ、わたしにとっては、お金を払わされることに違いはないが……。

 なお、「仮装行列」といっても、もちろん本当に仮装するわけではない。グローリアスになりすましたスヴォールの正装が無意味に派手で似合っていないこともあり、そう言われているのだろう。


 残る問題としては、重武装人造人型兵器に係る権利を買い取るつもりでいるマーチャント商会会長をどうするか。でも、これは、そのうちに、なんとかなりそうな気がする。根拠は全然ないけど、おそらく、多分、そんな感じ……

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