The Courage to Take Action
部屋に戻った慎也は未和が寝ている間に手当てをすることにした。ブレザーとブラウスを脱がせ、止血しながら包帯を巻いた後自分のジャージを羽織らせる。勉強をしていた航人に湯を沸かすように頼んだ。
「未和ちゃん大丈夫なのか?」
「ああ、気絶してるけど軽い貧血みたいなもんだから安静にしてたら回復するから。」
淡々と言ったが、慎也も無傷とは言えなかった。足首が脱臼しかけたものの戻ったことで足首が完全に腫れ上がっていた。歩く時も足を引きずったままだ。
「くそ、あいつ諸に外そうとしやがって……痛っ」
「大丈夫か?」
ベッドに腰掛け、包帯を使って強めに足首を固定していく。治るには少し時間がかかりそうだった。航人が麦茶を注いで渡してくれる。
「ずっと前から思ってたけどさ、お前だいぶ無理してるだろ。」
「…………」
「あのな、俺だって無関係な人間じゃないんだから頼る時は頼れよ。自分のこともたまに心配した方がいいだろ。」
「いや、でもお前には……」
「徹さんと涼子さんが亡くなったことに対する罪滅ぼしか?」
反論しかけた言葉が喉元でつっかえた。
「……別にいいだろ。」
「二人が死んだのは慎也のせいじゃない。殺した連中のせいだ。確かに過去を背負うのは悪いことじゃない。でもな、いつまでも背負ってんなら前に進めるわけないだろ。いい加減しろって。」
「……だから」
慎也が反論しかけた時、後ろから「……んあ……」と呻く声が聞こえた。未和が目を覚ましたようだ。
「おはよう鹿野。」
「え、慎也君……?ここって……」
「308号室、俺と航人の部屋だよ」
寝起きのせいか、意識がはっきりしていない。よくものの20分で目を覚ましたものだ。慎也はマグカップに粉末ココアと牛乳、シロップを混ぜて未和に渡した。
「はい、ココア。鉄分補給すんのにシロップ入れたから後味苦いかも知んないけど、我慢して」
「……ありがとう。」
彼女はちびちびとそれを飲み始めた。
*
本題に入るまでさほど時間はかからなかった。未和は若干ぼーっとしているようだったが正気を保ってくれた。
「鹿野、俺が帰ってからの記憶ってあるか?」
「えーと、三人で軽く話して、解散して部屋まで戻ったんだけど……。ああ、なんか知らない人が部屋にいて……」
「その後は?」航人が尋ねる。
「その後は……渚ちゃんが倒れて死んだんだけど、ゾンビみたいに生き返って私を襲おうとしたのかな?あんまり詳しくは分かんない。というか、なんでわたしここにいるの?」
逆に質問されて答えに詰まる。彼女を話したら、今度こそ殺されるかもしれない。でも、事実から目をそらして欲しいとも思わなかった。
結局全て話すことにした。
「……落ち着いて聞いてくれ。お前のルームメイトは死んだ。俺が殺したんだ。」
「えっどういうこと?慎也君が殺した……?」
「今回の一連の失踪事件、殺人事件は全部吸血鬼の犯行なんだ。彼女はその被害者で吸血鬼に変わってしまったから、俺が殺した。」
鹿野が目を丸くした。信じられるはずがないという顔である。
「なんか、熱でもあるの?」
「いや本当だって。俺も完全に信じてるわけじゃないけど、現状はそう考えるのが妥当。」
「……つまりそれって、吸血鬼が私たちを狙ってるってこと……?」
未和は未だに理解できていなかった。だが、親友の一人を失った悲しみと殺すように仕向けた犯人への憎悪がふつふつと湧き上がっていた。
「いいか、鹿野。これはこの3人だけの」
「待って。私も手伝う。」
「は?お前何言って……」
「渚ちゃんが死んじゃったんだよ?それなのに黙って見てろっていうの?それじゃああまりにも酷すぎるよ。」
目を見て彼女はしっかりとそう言い放った。慎也は彼女の意志を感じた。いや感じざるを得なかった。
航人も真っ直ぐと慎也のことを見ている。
「……分かったよ。お前らがそこまで言うなら手伝えよ。相応の覚悟はあるんだろ?」
「ああ」「うん」
ため息を漏らすしかなかった。慎也は2人に一言加えた。
「今週の日曜、9:00に寮の玄関集合な。電車代と着替えも持ってな。3人で現実に立ち向かう準備をしよう。」
投稿遅くなってすいません。出そう出そうと思ってたらいつの間にやら12月に:(;゛゜'ω゜'):次話は1月の初めくらいまでに投稿できるよう頑張りますので、よろしくお願いします。




