0章
天界西暦4009年、ある少女が生まれた。
彼女の名前はヘルト・スヴィエート。少し強い能力を持ち、ヒーローに憧れている。ただの少女だった。
そんな少女が起こした奇跡の物語、それが『デバッグ』である。
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0章、始まり
これは彼女が7歳の頃の話である。
「お姉ちゃん!かくれんぼしよ!」と姉に呼びかける声がする。姉はそれに対して「しょうがないなー1回だけね」と返した。
その少女、ヘルトはいつも行っている森の奥深くに隠れた。誰にも見つからないと自信を持っている、いつもの遊び場に
だがその瞬間、岩陰から自身の何倍もの大きさがある怪物が現れた。ヘルトは能力を扱えない、喰われてしまうかもしれない。「誰か助けて!」と叫んでも、誰も来てくれなさそうだ。
喰われそうになったその瞬間、ある人物が怪物の脳天に剣を刺し、怪物は雄叫びをあげ、その場に倒れ込んだ。
「大丈夫だった?怪我はない?」とその人物は呼びかける。紫の髪をした女性だった。
「あ、ありがとうございます。大丈夫です…!」とヘルトは返す。本当に傷ひとつ無い様子だった。
「そっか、それなら良かった。もう夕方で危ないし、今日は帰りな。一人で戻れる?」
「は、はい!大丈夫です…」
「そっか、じゃあ私は行くね。気をつけてね」
「あ…あの!」
救世主は振り返り、ヘルトのことを見る
「さっき助けてくれたの、ありがとうございました!えっと…!あなたは私にとって、1番のヒーローです!」と輝いた目でヘルトは言う。救世主はニコッと笑い、「ありがとう」と一言だけ発し、そのまま帰って行った。
ヘルトは森から戻り、姉と合流した。「ヘルト、確かにあの森は見つけられないだろうけど、だからこそ危険。だからもうこの時間帯には行っちゃダメ」と注意され、わかったと返事をするが、それ以上に話したいことがある。
「ごめんねお姉ちゃん。でもね!聞いて!怪物に襲われそうになったんだけどね!あるお姉さんが助けてくれたの!すごくかっこよかった!」
「怪物に襲われそうになった!?もうこの森は入っちゃダメ!昼間でも夕方でも!!お母さんとお父さんにも報告するからね!」
「ごめんって〜!もう行かないからママとパパに報告するのだけは〜!」
これが、ヘルトがヒーローに憧れたきっかけである。この経験は彼女にとって忘れられない経験になった。そこから自分の能力で人助けをしようと考え、能力の練習を始めた。
8歳の時、ヘルトの能力は発現した。ヘルトの能力は「色」であった。物の創生、この世からの削除、極めればなんでもできる凄い能力だ。その能力に救われる者がこれから現れることを願う。
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人物紹介
ヘルト・スヴィエート
色の能力を授かった少女。知らないお姉さんに助けられ、ヒーローに憧れる
ヘルトの姉
ヘルトの姉。ヘルトの事が大好きだが、よく困らされている
救世主
ヘルトを怪物から助けたお姉さん。クッキー作りが得意
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これはヘルトが9歳の頃の話
「ねえねえ!起きて起きて!」と父と母を起こす声、ヘルトである。今日は家族で約束した旅行の日であった。
起きているのはヘルトたった一人である。姉すらもまだ起きていない。
「んん…ヘルト、まだ早いぞ、朝の4時じゃないか」
「だってだって!今日は旅行の日だよ!早起きするに決まってるじゃん!」
「まあそうだがなぁ…流石に早いぞ」
母が起き上がり、「別にいいじゃない、ちょっと早いのはそうだけど、それほど楽しみにしている証拠よ」と寝ぼけた声で発する。
「まあ確かにな。じゃあ今から行くか、準備はもう昨日の夜に終わってるしな」と言い、ベッドから起き上がった。
姉を起こし、車に乗り旅行に行った。
天界は5つの州、
普通の天人が住むスカイヒューマンウィークス
天使が住むエンジェルウィークス
宝石の容姿、能力を持つジェリーウィークス
獣、獣人が住んでいるスカイビーストウィークス
機械属に近しい天人が住むマシーンウィークス
に分かれており、ヘルト達が住んでいるのはスカイヒューマンウィークス。旅行先はジェリーウィークスである。
4時間経ち、目的地についた。ジェリーウィークスは住民から景色まで宝石で溢れており、ただの草木も緑の宝石のようだ。
姉が「凄く綺麗。ここに住みたいくらい」と呟いた。「だがあくまで旅行だからな。家を捨てるなんてことはできん」と父が言った。
そこからは観光地に行ったり、ご飯を食べたりして時間を潰した。そして夜になる。
ホテルにチェックインし、ヘルト以外の3人は部屋でくつろいでいる中、ヘルトは無断でホテルの外の森に出かけていた。
夜になっても輝いていた森を抜けた所には、これまでの景色と比べると平凡すぎるコンクリートの建物を見つけ、中に入りしばらく歩いていたら檻の中で椅子に括り付けられている茶髪の少年を見つけた。檻の外からヘルトはその少年に「なんでこんな所に居るの?」と話しかける
少年は「お前こそ、何故ここに居る。ここに居るのは宝石天人だけ、しかも見ない顔だ」とカスカスの声で呟いた。
「そんな声で大丈夫?もしかして監禁されてるの?」とヘルトは言う。「ああ、早くここから出たいさ」と少年は呟いた。
「そっか、じゃあ出ようよ!私の能力ならそれができるから!」とヘルトは元気よく呼びかける。「そんなことって、ありえない。だってこの建物は俺の攻撃でも…」と言いかけたところで、縄が消し去られ、檻が消された。
「…!な、なんで」
「言ったでしょ、私の能力なら脱出が可能だって!」
「出口はこっちだよ!ほら!」
「お…おう」と少年は困惑気味に返事をする。ヘルトが差し出した手を握り、そのまま走って行った。
建物の外に出てから少年はヘルトに話しかけた。
「あ、あの…えっとその…助けてくれて、ありがとう」
「いやいや、私がやりたかっただけだからさ、お礼なんていいよ〜」
少年は問いかける。「君の名前は」と
ヘルトは「私はヘルト、スヴィエート。スカイヒューマンウィークスからここに来たんだ!」
「そうか。ヘルト、ありがとう」
そんな会話をしていたら、青色の髪をした女性が少年の所に走り、抱きついた
「やっと見つけた…!名前は分かる?年齢は?そしてそんなボロボロの体で、何されたの?」
「え、えっと」
青髪の女性は「そうよね、急に聞かれてもわからないよね、私の名前はアイオ。この国の女王の秘書よ。私が今日から貴方の親の代わりになるから、よろしくね続きは家で話しましょう」と泣きながら少年に言った。
ヘルトに「貴方がこの子を助けてくれたの?ありがとうね」と言い頭を撫でたあと、「この施設は戦士を育成する為に作られたものなの。子供達を拉致してね、この子も行方不明だったのよ。そんな中、助けてくれて本当にありがとう。」と言い残し、少年と一緒にホテルの方向とは逆に歩いて行った。
ヘルトはホテルに戻り、姉にそのことを話した。
「なるほどね。でも無断で外に出ちゃダメ。また怪物に襲われるかもしれないじゃない」
「そっか〜…ねえお姉ちゃん、またあの子に会えるかな」
「女王の秘書に連れてかれたんでしょ、それなら難しいかもね」
「え〜そんな!仲良くなりたかったのにー!」
この行動がヘルトの今後の運命を変える事となる。それはまだ先の話である。
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人物紹介
母
ヘルトとノゼラーの母。ノゼラーに好かれている
父
ヘルトとノゼラーの父。ヘルトに好かれている
菫青アイオ
天界の女王の秘書。優秀で頼りになる存在。少年のことを気にかけている。
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これはヘルトが11歳の時の話
学校にて、先生が生徒に向かい「転校生を紹介する」と呼びかける
「えーでは、入ってきてくれ」
紅色の髪に猫耳、黒い翼を持った少年が教室に入ってくる。その少年は「ルビー・コランダムです。趣味は運動で、嫌いなものは勉強です。よろしくお願いします」と自己紹介を始めた。
先生は「勉強が苦手なら、この後大変だぞ〜」とルビーのことをいじった。
ルビーはヘルトの席に向かい歩き出し、「ヘルト、えっと…俺と友達になってくれ」と言い、ヘルトは何故自分の名前を知っているのか。と少し疑問を浮かべるが、「うん!じゃあ早速放課後遊ぼう!」と了承する。
それからヘルトとルビーは毎日遊び合う仲になり、側から見たらいつも一緒、親友とも言える中になった。
それから数ヶ月後、ヘルトの体に異常が起きた。ルビーと出かけている最中、「なんか頭がズキズキ痛くて…薬飲んでも全然治らないし、本当何なんだろう」と悩んでいた。
ルビーが返事をしようとした瞬間、ヘルトの周りに虹色の霧が現れ爆発した後、姿が変わったヘルトが現れ、目の前にあった建物を1つの光線で破壊した。その中には50人ほどの天人がおり、それごと消えていた。
ルビーは爆発により吹き飛ばされてしまった為助かったが、ヘルトが建物を破壊したのを見てしまった。その後ヘルトは戻ったが、それを見ていた周りの天人からの批難で自分が殺人をしてしまったことに気付いた。
ヘルトは裁判にかけられ、宝玉刑という天界の刑の中で一番大きな刑を背負うことになった。
宝玉刑とは、天人が罪を犯した際に地上に落とされてしまい、指定された宝玉を集めることで元に戻れるというシステムである。3年間の意識封印の後、罪状によって1〜5個の中のどれかを集めないといけなく、5個が一番重い刑である。
宝玉は事件解決をすることでランダムに自然発生するもの、ヘルトはそれを5つ集める必要がある。
ルビーは疑っていた。確かにヘルトの能力が暴走したのはそうだが、それは本人のせいなのかと。
今まで色の能力は暴走した事例がない能力だった。だがそれが急に暴走したことや、ヘルトは今までちゃんと能力を扱えていたことなどが理由だった。
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人物紹介
ルビー・コランダム
ルビーのような目をした少年。ヘルトの事を尊敬していると同時に大好き
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ルビーは収監されているヘルトに会いに行く為に走った。監視官ことも無視して、ただただ走った。ルビーのスピードはとても早く、監視官は追いつけなかった。一番奥の牢獄にヘルトは居た。
「ヘルト!」と檻を掴み叫ぶ。ヘルトはそれに気づかず、体操座りで俯いていた。だが2回目に名を呼ばれたときには気づいて上を向いた。
「ヘルト、大丈夫か!?」
ヘルトは無言で泣き出し、震えた声でルビーに「ねえルビー、私何で生きてるんだろう。」と訊いた。ルビーはハッとし、少し5秒黙った後、泣きながら言い放った。「それはお前にしか分からない。だが、俺はお前が存在していることが嬉しい。だから、だから負けないでくれ。ヘルト、お前は悪くない。きっと誰か元凶が居る、だってお前の色の能力は今までで暴走したことがない。誰一人としてなんだ。俺はヘルト、お前を信じてる。だって俺にとってお前は…」
そう言った時、監視官に捕まった。襟を掴まれ、「このガキ!無断で侵入して、何をしている!ここに入っていいのは俺たち監視官と女王様だけだ!」と言われ、頬を殴られた。「ルビー!」と言ってヘルトは手を伸ばすが、檻に手が当たりその場に崩れ落ちた。ルビーはそのまま監視官に連れて行かれ、建物の外に放り出された。
数日後、ヘルトが意識を失い、堕界する前、意識の無いヘルトに向かってルビーが走ってきた。飛び降りる前、後ろからルビーを追っていたアイオ、「何をしようとしているの!?」と背中を掴み止める。
振り向きルビーは「俺はあいつと一緒に生きたいんだ!あいつが居なかったら俺は…耐えられない」と強く言い放ち、女王の秘書であるアイオを睨む。それを聞いたアイオは「…そんな目で言われたら、断れないな。私も大切な人が死んだとき、一緒に死んでやろうって思うもん。いいよ、行ってきな。」と優しい目で答え、ルビーの背中を押した。
沢山の天人が見ている中、ルビーは「ヘルト!俺はお前の暴走はお前のせいじゃないって信じてる!お前はきっと悪くない!だって…だって!!」と言い、ヘルトと一緒に天界から落ちた。
ここから、ルビーはヘルトを探す旅に出た。そして3年後、ヘルトの物語が、奇跡が始まる。




