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アイスティー

照りつける太陽は肌を焦がす勢いだ。実際に喫茶店の中にいる人々のほとんどは肌が焼けており、カラメルやチョコレートを塗っているのではないだろうかと思うほど照り輝いており、皆快活な笑顔を浮かべていた。

「暑いねぇ」

「そう思うならローブを脱げはいい」

「いやいや、これを着てるから魔法使いって印象になるでしょう?」

「魔法使いを魔法使いとして見るのは魔法を使うからであって、ローブの有無じゃない。外見で魔法が使えるならみんなそれを着る」

「まったくも〜、そんなカリカリしないの〜ほら、アイスティー美味しいよ?」

2人が座っている窓側の席からは太陽の熱い日差しが入り込んでおり、魔法使いと青年を暑くさせている。青年も暑いのだろう、首筋には汗が垂れていた。

そんな2人が飲んでいるのはアイスティーだ。しかもかなり大きいグラスに入っているそれは、半分ほど氷で埋まっていた。

「たしかに‥ちゃんと氷の分は濃いめに作られてるっぽいから美味い。……レモンさえなければもっと美味い」

「今回は残念だったね。付属じゃなくて最初から入れられてたタイプだった。この星の環境を考えればそれも理解できるだろう?」

「塩分なら塩で摂ればいいんだ!くそ!レモンがなければもっと美味く飲めたのに……!」

恨めしそうに目の前のグラスを睨む青年を魔法使いは微笑ましく見守っていた。


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「よぉ、飲んでるかい?」

「お酒じゃないけどね。飲んでるよ、アイスティー」

「あっはっは!そりゃなによりだ!やっぱうちのアイスティーは美味いよな!」

2人の席に来たのはガタイのいい男だった。喫茶店にいる他の客と同じ様に肌をカラメル色に焼いており、着ているオーバオールの作業服は年季が入っていて良い色を浮かべている。彼は片手に大きいグラスを持っており、その中身はほとんど残っていなかった。

「とても美味しいです。レモンも入っていますが、砂糖も元から入ってますよね?」

「っと、あんた『星跨ぎ』か。そうさ、俺たちのアイスティーには最初からレモンと砂糖がガッツリ入ってんのさ!なんせこの暑さだからな!」

男はグラスを持ってない方の手で窓の外にある太陽を指差す。そこにはずっと変わらずに照りつける太陽がいた。

「なんせ俺たちの星は太陽に近いらしい!だからずっと暑いし、明るい!夜ってやつはないぜ!」

「ただ暑いだけじゃなくて夜も無いのかよ…」

「そうさ。夜ってやつは暗くて寒いんだろう?そんなもんは生まれてこの方経験したことがねぇな。だいたいあいつが見えないってことが殆どねぇからな!」

男が快活と話す姿とは逆に、青年はげんなりとした顔で机に沈んでいく。その対比を面白そうに見てから魔法使いは男に向き直った。

「太陽がずっと空にいるんだろうけど、雨とかは降らないのかい?曇りの日とかは?」

「あるぜ!雨の日っていうのはやっぱ恵みの雨でよ〜。ここら辺のやつ…ってよりはこの星は農業が盛んでな。やっぱ雨が降ってくれると助かるぜ。あ、昔別の『星跨ぎ』に聞いたんだけどよ星によっちゃ、ふゆ?ってやつがあるんだろ?すっげぇ寒くて、農業ができない長い期間があるって聞いてよ…信じらんねぇって仲間と話してたぜ」

「そうですね、星によってはそういう所もありますが。僕達も色んな星を回っていますがここまで太陽が近い星は初めてです。太陽が近いせいか皆さん明るい性格でいい星ですね」

「そりゃ最高の褒め言葉だぜ!あんがとよ!まだ話は聞きたいところだがそろそろ仕事に戻らなきゃなんねぇ」

名残惜しそうに男はグラスに残っていたアイスティーを飲み干してから、口いっぱいに氷を含むとバリボリと音を立てて噛み砕いた。空っぽになったグラスをカウンターに置いた男は少し離れた場所にいた仲間達に手を振ると、再び二人のところに戻ってきた。

「いやぁ、楽しい時間をありがとよ!おふたりさん!良ければ自慢のアイスティーもう一杯飲んでってくれ!店主には話してあるからもう時期来ると思うぜ。じゃあまたな!」

片手を上げて去った男の言葉に沈んでいた青年は勢いよく起き上がる。その目は信じられないと言わんばかりに大きく見開かれ、席には4つのグラスが置かれた。


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