優しい時間
小説進行禁止令———が出た。
メグミからの特別命令だ。
私を気づかったメグミの優しい命令。
溜まりに溜まった有給休暇を消費して会社は長期休暇をもらっていたが、体はなぜか疲れている。
やっぱり頭使うと身体も疲れるものなんだな…と、つくづく実感していた。
「そもそも〜、長期休暇中なら早く言ってよね〜!こっちは今絶賛夏休み中なんだよ!」
「それなら少しは高校生を楽しみなさいよ…。」
下を向き頬を赤く染めながらメグミがぼそっと呟く。
「少しくらい……女心を理解してよね」
「ん?」
「いいのぉ気にしないで!それより、今日は買い物にいくんだよ〜」
部屋は意外と清潔に保たれているが、冷蔵庫の中身はがらっがら。
見兼ねたメグミがスーパーへ買い出しの提案をしてくれた。
なんだかんだ買い物を済ませて帰宅すると、休む間もなく家の近所の大きな公園へ散歩に出かけることになった。
夕方の空———
ここ最近小説詰めの生活で正直息苦しさを感じていた。正確には、そんな状況に私自身が気づいていなかった。
何も考えない時間。営業をしていた時には当たり前に大事にしていたその瞬間を、今ではすっかり忘れていた。
冷静な判断ができなくなっていたのかもしれない。
それもこれも、メグミとの時間はとても穏やかで、ゆっくりと時間が過ぎている気がした。
公園のベンチに2人で座りハルが口を開く。
「なんかメグミと居ると落ち着く。今日は来てくれてありがとう」
「ううん。来たかったから来たの。だから気にしないで」
素直で真っ直ぐなメグミの意見が嬉しかった。
空も薄暗くなってくる頃、2人はそっと公園を後にした。
この何よりも優しい時間を、私は大切にしていきたいと思う———




