第二十一話 訓練④
「彼、最近どうだい?」
「大分マシになったと思います。ドロテア様」
更に一ヶ月経ったとある夕方、夕食の準備をしながらドロテアとケイトは話をしていた。修行に明け暮れている、グレイの事だ。
「へえ……そろそろいい具合かな?」
「ええ」
ドロテアがそうケイトに聞けば、ケイトはそれを肯定する。ドロテアはその返事を聞けば、満足そうに頷いて、スープの入っている鍋を見つめるのをやめて立ち上がった。
「彼を連れておいで」
「はい、わかりました」
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「おい、来い」
「いや扱いィ!」
夕食前、休憩をしていればケイトが現れて首根っこを思い切り掴まれ、有無を言わさずに引き摺られていった。
「なんだよーううー……」
「ドロテア様、連れて参りました」
家の中に戻ればドロテアが椅子に座っている。紅茶を一口のみ、入ってきた俺へ視線を向ける。
「来たね。最近どうかな」
「ええと、ケイトのおかげでかなり上達したかな。まだ一本も取れてないけど……」
悔しいことだが事実だ。歯噛みしながらそう答えれば、ドロテアは小さく微笑んでいる。
「ふふ、ケイトは強いからね。でも、なかなか頑張ってるみたいだ。賞賛に値する」
「ありがとう……ございます」
褒められた。ケイトと違ってちゃんと褒めてくれる。しかもいい匂いする美人。やっぱりこの人に修行つけて貰いたい。ケイトが弟子の立場なの羨ましすぎて暴れそう。
「それでだけど、そろそろ実践した方がいいんじゃないかと思ってね」
「実践……?」
嫌な予感がする。実践、実際にやるということだ。いつもは木の剣だったのに、それは最初腰に提げていた鉄のものへと変わって……
「丁度この近くに魔物が出たみたいだよ。それをケイトと一緒に狩りにいってくるんだ」
「ま、魔物……」
最悪。ホワイトウルフにボコボコにされた記憶が蘇る。あの時の二の舞はもうごめんだ!しかし、ドロテアはくすくすと笑って手元から一枚のメモを取り出し、俺に差し出してくる。
「あんたなら大丈夫さ。これが地図だよ、簡易的なものだけどね」
「あ、どうも……」
受け取って見てみれば、確かにそれは地図だ。かなり簡易的だけど、わかりやすい。ドロテアが書いたのだろう。頭の良い人は地図を書くのも上手いのか。
「じゃ、いってらっしゃい」
「え、今!?」
「ほら、行くぞ」
いってらっしゃい。そう告げられた瞬間、またケイトに引き摺られていくことになった。しかも今度は首根っこではなく。
「あだだだ!!!!!なんで耳!?!?せめて腕!腕ェーーーーー!!!!」
ギリギリギリと嫌な音をたてながら引っ張られていく。痛みには慣れてきたがやっぱり痛いのは嫌だ!っていうか、まだ夕食食べてなかったのに!




