第十三話 ドロテア
「まずあたしの紹介からしよう。あたしはドロテア。魔女のドロテアだよ」
「ど、ドロテア……!?」
ドロテアが自己紹介すると、セシルが息を飲む。知り合いなんだろうか。
「おい、ドロテア様の言葉を遮るな」
「構わないよ。続けるね」
ケイトの憤った主張を抑え、ドロテアは言葉を続ける。
「こっちはケイト。あたしの愛弟子だよ。可愛いだろう」
ケイトと紹介された青年は冷たい目線でこちらを見る。ニコリともしない。冷たい男だ……!
「で、ここはあたしの家。あんた達が道端で倒れてたから、ケイトに頼んで連れてきたんだ。余計なお世話じゃなかったならいいんだけれど」
「そ、そんな!寧ろ、助けていただいてありがとうございます……!」
「あ、ありがとうございます」
セシルはベッドの上でふかぶかと頭を下げた。それにつられて頭をさげる。だけども、さっきからセシルの汗が酷いような気がする。気になってセシルへ声をかけた。
「セシル、なんか汗凄くないか?体調でも悪いのか?」
「グレイ……あのね、目の前にいるのはあのドロテアなのよ!無礼のないようにして!」
セシルの焦ったような瞳が俺を射抜く。ドロテア、ドロテア?俺は初めて聞いたけど、そんな凄い人なんだろうか。おそるおそる顔をあげ、ドロテアを見つめればその後ろにいたケイトと目が合う。
「お前、ドロテア様を知らないのか」
「う……はい」
心底軽蔑した目だ。セシルよりも酷く冷ややかで辛い。俺が何をしたって言うんだ。
「そんなに怒ることないよ、ケイト。あたしがまだまだだってことさ」
「そんなことは……!」
「あぁ〜〜〜〜……っ」
ドロテアは落ち着き払っているが、ケイトは俺への怒りが凄まじいことになってる。セシルは小声で声にならない声を漏らしながら頭を抱えていた。
「ふふ、こう名乗るのは久しぶりだね。改めましてもう一度。あたしはドロテア。生命の魔女、ドロテアだよ」




