第一話 目覚め
あまりにも呆気ない終わりだった。
最近、なんとなくと短期で始めたバイトの長い残業が終わって、フラフラと帰路についていた最中。示された青信号に従って足を踏み出せば、横から自動車が突っ込んできて俺の身体を吹き飛ばした。
居眠り運転、だったらしい。叫び声、遠くから鳴り響く救急車のサイレン、寒くて仕方がない温度が奪われていく身体。恐怖は無かった。ゆっくりと目を閉じて、俺の命はそこで終わった。
「……イ! ……き……」
誰かの声が聞こえる。
知らない、女の人の声だ。
「グ…………だ…………!お……」
よく聞こえない。音が遠い。
もっとちゃんと聞かなくては。俺の意識がゆっくりと浮上する。
「レイ…………!」
目が開いたらしい。ぼんやりとした視界に誰かの顔が映っている。
温い液体が頬にかかる。なんだろう。
「グレイ!起きてよ!」
はっきりと聞こえた声に、思わずびくりと肩を震わせて飛び起きる。
「……ッ、う……」
「グレイ!良かったぁ!」
ぎゅ、と誰かに抱き締められる感覚がする。まだ状況が把握しきれていないが、やっと覚醒した意識と共に目を動かして周りを見渡した。ここは……どこだ?
「グレイ、大丈夫?痛いところは無い?」
ここは何処かの家らしい。木製の壁と床が見える。そして俺が今いるのはベッドの上だ。病院……では無いようだけど。というか、この子……
「誰?」
「……えっ?」




