リィカトからの最後の手紙
「畏怖の念に思わず体が震えた。この手紙を自分が手にするまでに、いったいどれだけの偶然が折り重なったのだろう。もはやそれは奇跡などではなく、必然のことだったように思われる。とすれば、私はこの地上でいちばんの果報者だと、感激で胸がいっぱいになった」
シナーチの港町の少年グロン。ある日、親友であるトーチと忍び込んだ町外れの聖堂で、何通ものくたびれた手紙を発見する。そこにはかつて滅んだ国、カナンの文字が羊皮紙いっぱいに綴られていた。この邂逅が、今後の彼の歩む道を決定的に変えてしまうとは知る由もなかった。
カナンの人々すべてへ、そして親愛なるあなたへ。
シナーチの港町の少年グロン。ある日、親友であるトーチと忍び込んだ町外れの聖堂で、何通ものくたびれた手紙を発見する。そこにはかつて滅んだ国、カナンの文字が羊皮紙いっぱいに綴られていた。この邂逅が、今後の彼の歩む道を決定的に変えてしまうとは知る由もなかった。
カナンの人々すべてへ、そして親愛なるあなたへ。