Ⅸ
「ぐっ!?」
数秒遅れて痛みが現実味を帯び、明確に痛み始めた
突き刺さっているものが槍ということに気が付いた
「雪羽よぉー獲物がいたら殺せって言わなかったか?」
どこかに隠れていたのか彼は腹部に刺さった槍を引き抜き、壊れたソファーにどっかりと座った
「…赤嶺さん」
雪羽は赤嶺という男に明確な殺意を向けている
「あー、テメェ上司に刃向かう感じ?」
赤嶺は僕の腹から槍を引き抜き雪羽にその槍を向けた
「いえ、本部の私に向かい槍の投擲を行ったことについて弁明を聞かせて頂きたい」
「あぁ?」
赤嶺は槍を担ぎ直し、首を鳴らす
「テメェはその本部から俺の部下にされちまったんだろ?」
雪羽は無言で剣を構えた
それが、合図のように二人の殺気というものが交差した
「雪羽…あの人と戦ったら駄目だよ」
左の腕だけでどうにか起き上がり、赤嶺を見据えた
赤い血がボタボタと落ちて、正直憂鬱になるがここまでやられればもう痛覚も機能しないらしい
「あぁ?テメェまだ立てんのかよ」
赤嶺は槍を構える
そして、次の瞬間には僕の後ろに赤嶺は移動していた
「え?」
僕の身体はストンと地面に落ちた
いや、
「足がない?」
感覚が麻痺している
恐らくは足が断ち切られたのだろう
「雑魚がいきがるなよ」
赤嶺は槍を背中の金具にセットし、雪羽に向き直った
赤嶺は僕の首を掴み、雪羽に向かって投げる
「雪羽…コイツを殺せばさっきの不敬は見逃してやるよ」
そして、赤嶺はまた壊れたソファーにどっかりと腰掛けた




