24.イベント
明けましておめでとうございます。のんびり更新していくので今年もどうぞ御贔屓におねがいします^^
「リンク」
道場から帰って早々にフェアリードリームをいつもの言葉で起動するが・・・
【只今、メンテナンス兼アップデート中です。終了予定時間は19時になっておりますのでそれまで【MatrializeWouldOnline】はプレイ出来ませんことを御了承ください】
あっ門下生の指導に夢中で忘れてた。俺も水城のこと言えねぇ・・・とりあえず飯の準備しよ
内心、肩をガックリと落としながらリビングに降りると・・・
「何、作ってほしい?」
台所からエプロンを着けた恵美がひょっこりと頭だけ出して聞いてくる
「お袋と親父は?」
「書き置きを見なさい」
言われるままテーブルの上にある書き置きを見ると
昇、恵美ちゃんへ
今日はお父さんと外で食べてくるから晩御飯は二人で何か適当に作って食べときなさいby母
P.S.帰りが遅くなるけど気にないで~
「放任主義なのは知ってることだけど思春期の男女を野放しにするって監督不行き届きだよな」
ろくでもないことを企む気か?
「私と貴方の二人っきりだけど何か起きるとでも思ってるのかしら叔母さんったら」
首をかしげて妖しく笑ってみせる
「・・・無いな。飯はシェフのお任せで」
「了解。暇ならテレビでも見て待ってて」
「風呂洗ってからそうする」
その方がお互いタイムロスがなくていいだろうしな
手早く掃除を済ませてくつろいでいると・・・
「できたわ」
テーブルには炒飯、麻婆豆腐、ワカメスープが並んでいてシェフは中華が食べたかったみたいだ
「恵美の料理はいつも旨そうだ」
「お世辞はいいから早く食べなさい。冷めてしまうわ」
「「いただきます」」
手を合わせて、静かに食器の当たる音だけがしばらく二人の間に流れる
「恵美」
「なにかしら?」
「今日のアップデートって確か武器の進化と属性付加、種族毎に専用イベントがあるんだよな?」
「そうよ。ヒトは“神の使いとなって新たな力を得るか、人をやめて魔となるか”、エルフは“神に見初められて天使になるか、または悪事を尽くして堕天使となるか”獣人、機械、魔族はスキルだそうよ」
「スゲェ説明口調だな」
「サイトに書いてあった通りに言っただけだものしょうがないわ」
「あっそ、ごちそうさまでした」
「お粗末様。流しに置いといてちょうだい洗っておくわ」
「了解」
それからゲーム前にすることはきっちり済ませて、規定の時間に意識をもう一つ世界に飛ばす
【プレイヤーのログインを確認。イベントを開始します】
【1.“神への善行”を開始します】
いきなりかよ!神様なんて見たくねぇ~舞台は広場かよ!
「・・・ひとの子よ、私の声が聞こえますか?」
雲の切れ目からの光が俺だけを照らし、天から声が聞こえる
「・・・」
男か。よし、無視してみよう。高性能AIなら別の反応があるだろ
「・・・もう一度言います。ひとの子よ、私の声が聞こえますか?」
「・・・」
ワンパターンなのって面白くないな。あと少し、無視してみよう
3分後
「オラ!この肉塊が全知全能たるアテン様がてめぇに話し掛けてんだから答えろや」
無視すると面倒くさいなこの神様。しょうがない答えてやろう
「何だよ、チンピラ神様」
「生意気な肉塊がよく聞け!このアテン様が命令する事を全て成せば貴様には勿体ない力と肉体を与えてやる。欲しければ東門前の教会に来い」
「はーい(棒読み)」
横柄な神様だ
【1.神への善行を終了します】
あと一つか。こっちのほうが俺にはメインイベントだな
【2つめ“人をやめますか?”を開始します】
「うわっ!」
開始直後に場所は切り替わり、防具屋、道具屋、露店が軒を連ねる人通りの多い通りに変わった
「何だよ。コレ?」
困惑する俺を他所にイベントは進んでいく
「聞いてくれ、聞いてくれ!誰でもいいから私の話を聞いてくれ!そこの若いの少しでいいから聞いて」
ボロ服のおじさんが何やら叫んでいるが誰も見向きもしない。まるで存在してないようにみえるっていうか仕様だな。とりあえず話し掛けるか
「おっさん、どうしたんだ?」
「おお!若者よ・・・私が見えるのか!」
「見えるけど?」
「・・・やっと私の声が聞こえるが姿が見える者に出会った」
ゲームの仕様とはいえ、こういうやり取りはまどろっこしい
「やっと?おっさんもしかして死んでるのか?」
「理解の早い若者だ。察しの通り私は死んで魂のみで漂う亡者だ!そして・・・もう時間がない。だから用件だけを手短に伝える」
何か、伝えたら消えそうだなこのおっさん
「早く言え、聞いてやる」
「・・・北の門を出てその奥に片腕の鬼がいる。それを殺せば呪いの始まりを得られ、終わるまで終われない、他者の力もない。得るモノには代償がある・・・払ってまで欲しくば向かえ」
おっさんはそれを言い終わると同時にいなくなったというよりは
「消えたな・・・亡霊」
【2.“人をやめますか?”を終了します。すべてのイベントを終了しましたのでイベントモードを終了します】
イベントムービーは終わり、いつもの広場に戻ってきた感覚を噛み締めながらクロノは呟く
「・・・やっと人をやめられる。鬼に戻れる」
《ラビスさんからボイスチャット申請が送られています》
何の用だろ?
「もしもし」
(クロノさん?急に連絡したけど今、大丈夫だったりする?)
「大丈夫だけど、何の用だ?」
(オコしてる?)
「元々、こういう口調だから気にするな。話を続けろ」
(ヒト族のイベント検証とか手伝ってもらっていい?)
情報屋が一介のプレイヤーに検証依頼なんてどういうことだ?
「お前って最近、情報屋ギルドに入ったんじゃなかったっけ?」
(そうなんだけど・・・二つ目のイベントって察するにソロだよね?)
一つ目はおつかいみたいなモノだよな・・・たぶん。二つ目は討伐系のイベントってことは・・・確実に地力がないやつは即死
「だろうな。“他者の力もない”絶対的に孤立無援ってこと。だから死ににくい奴に白羽の矢を立てたわけか?」
(その通りって言いたいんだけど検証班の相方がイベントの意味を理解したみたいなんだよね~)
ボイスチャットごしにラビスが苦笑しているような気がするのが伝わる言い方だった
「そういうことか」
一つ目が簡単で短い。二つ目は最難関仕様で一種の長期イベントで俺にはもってこいか
(その点、クロノさんはいいでしょ?)
「分かった。けど報告書みたいなの書くの苦手だからそこだけは了承してくれよ?」
(了解。ありがと~また連絡するよ)
≪ボイスチャットを終了します≫
情報屋って情報収集や検証に行動が特化してるせいか戦闘能力が低いのが難点だよな。とりあえずギルメンから何にも連絡ないし、このまま北の森まで行くか




