1372 エリカとの再会
こんにちは、クウちゃんさまです。
学院祭2日目の朝。
武闘会の参加メンバーを迎えにジルドリア王国の王城に行くと、すでに待ち合わせの中庭にエリカと参加者たちは来ていた。
みんな、遅刻せず時間通りで偉い。
私も頑張ってちゃんと起きて良かったです。
「おはよー、エリカ」
「ごきげんよう、クウ。今日も元気そうで何よりですわ」
「あはは。まあねー。エリカはどう?」
「お陰様で元気ですわ」
エリカは、今回は帝国には来ない。
ジルドリア王国では今、エリカ政権に反抗的な勢力への圧力が強められている。
先日には公爵家を潰した。
エリカは女王となるより先に、国内をひとつにまとめる決意なのだ。
遊ぶのは、それに一段落がついてからにするらしい。
「困ったことはある? 難敵がいるなら、手伝ってあげるよ?」
「悪魔の気配があればお願いしたいところですが、今のところ、そうした気配はありませんし大丈夫ですわ」
「そっか。ならいいけど。帝国だとさ、昨日、悪魔に関わる組織を見つけてね」
「あら、そうですの?」
「具体的にはまだ不明なんだけど、こっちも油断はしないでね」
「ええ。もちろんです」
私の生活は平和だけど、世界は平和ではない。
エリカのまわりは特にまだ大変だ。
とはいえエリカには、ハースティオさんやエンナージスさんを始めとした古代竜たちが側近としてついている。
なので、そんなに心配はしていない。
メイド隊「ローズ・レイピア」も、今ではすっかり精鋭だしね。
「ハースティオさんもおはようございます」
「おはようございます、クウちゃんさま」
エリカのとなりにはハースティオさんがいた。
ハースティオさんとも挨拶を交わす。
ハースティオさんは、最初にエリカに仕えた古代竜で、エリカの右腕としてエリカ政権を支えている。
人化した姿はスタイル抜群の美女さんだ。
エリカとハースティオさんのうしろには、今日の参加者が並んでいた。
私とも面識のある三人だ。
トーノ・ク・ウネル。
私の前世と氏名の重なる運命の子。
ファラータ・ディ・オスタル。
貴族令嬢ながら刺激を求めて真っ先に「ローズ・レイピア」に志願した変わり者。
エンゼ・ディ・ロデス。
ジルドリアから帝都中央学院に来ている男装の令嬢。
ここ最近はジルドリアに戻ってトーノさんたちと訓練をしていた。
三人はジルドリア王立学校の制服姿だった。
エンゼは帝都中央学院に留学中ではあるけど、今日についてはジルドリア王立学校の制服を身にまとっている。
しかもなんとエンゼはスカートをはいていた。
学院ではスボン姿だったので実に新鮮だ。
スカート姿のエンゼは、それでもクールなハンサム系ではあったけど。
「エンゼ、久しぶり。調子はどう?」
「完璧に仕上げました、マイヤ様。本日の帝都中央学院との交流試合は、王国学生として勝たせていただきます」
「対戦相手のアンジェリカは剣も魔法も得意な難敵だよ。頑張ってね」
「はい。ありがとうございます」
エンゼとは友達なのだけど、エリカの前で砕けた会話は無理か。
もちろん無理強いはしない。
「ファラータさんとトーノさんもお久しぶり」
次に私は二人にも挨拶して、軽く会話した。
二人の相手は、帝都中央学院が誇る戦闘狂。
高位の貴族令嬢なのに「狂犬」と呼ばれるメイヴィスさんとブレンダさんだ。
メイヴィスVSトーノ。
ブレンダVSファラータ。
対戦は、戦闘スタイルの似た者同士で組まれた。
果たして、どちらが勝つのか。
まったくわからない互角の対決に思える。
楽しみだ。
二人の文官さんにも挨拶した。
彼らは大宮殿で、主に交易の拡大についてを話すことになっている。
今回はこの五人が帝国に来る。
重要人物は不在の、カジュアルな訪問だ。
帝国学生と王国学生の対決は、あくまでも力試し程度の交流であり、威信を賭けた真剣勝負ではない。
それを外的に示す意味もあって、今回はそうなった。
対決自体は真剣勝負だけど。
「じゃあ、エリカ。行くね」
「ええ。お願いします。三人に武運を」
最後にエリカに声をかけて、私は転移魔法を使った。
帝国に戻る。
転移先は、いつもの大宮殿の奥庭園だ。
奥庭園では、アリーシャお姉さまが学院の制服姿で私たちを待っていてくれた。
「ジルドリアの皆様、ようこそおいで下さいました」
「お出迎え感謝いたします、殿下」
代表してファラータさんが挨拶を交わす。
お姉さまとファラータさんトーノさんは、以前の御前試合で面識があるのでこれが初対面ではない。
なのですぐに打ち解けた会話になる。
エンゼも面識はあるけど、この中では若輩とあって明らかにカチカチだった。
私がフォローしてあげたいところだけど……。
残念ながら私はこれから学校だ。
なにしろ生徒なのです。
学院祭には普通に参加するのだ。
二人の文官さんは、帝国側の文官さんに連れられて先に歩き出した。
「じゃあ、お姉さま。三人のことはお願いします」
「ええ。次は園遊会でお会いしましょう」
「はい」
私は姿を消して、空に飛んで、学院を目指した。
これでやっと一段落。
ただ運ぶだけとはいえ、気を使う挨拶が多くて大変だった。
あとは二日目の学院祭を楽しむぞー!




