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屋上少女  作者: 悠(はるか)
第二章「黄昏の雨は死神を濡らして」
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1.非情

 天気予報は後二日ほど雨が続くと言っている。こいつらは晴れてほしいと思うとぴったり予報を当てて、二日雨を降らしてくるから困る。

「んじゃ、行って来ます」

 透明なビニル傘で雨を防ぎながら、雨が降る以外に違いの見当たらない通学路を歩く。

「あ、そういえば今日テストじゃなかったっけか?」

 昨日まったくといっていいほど勉強していないが大丈夫だろうか……。その点に関しては掛川も一緒なのだが。

「まぁ、それなりにがんばるか。結果は翌日発表するとか教師陣もがんばりすぎやしないか?」

 そんなこだわりでもあるのだろうか?

 教室では掛川が倒れていた。

「勉強するの忘れてたな」

「國定も一緒か……一緒に死のう」

「誰が死ぬか。僕はお前より百個上の位に乗ろう」

「俺を馬鹿にしてないか?」

「馬鹿じゃないのか?」

「図星過ぎて反論できないんだから困るよ……」

 雨の日というのは憂鬱だ。さらに今はもっと憂鬱だ。

「今から悪あがきでもするかな」

 そういいながら掛川は教科書を取り出す。

 一時間目の予鈴が鳴る。テストか、一時間目が数学、二時間目が物理、三時間目が英語、四時間目が情報だったよな。まぁ、なんだかんだ退院してから勉強にも力入れてるし、すごい簡単なんだけどさ、なんて掛川に言ったらどんな反応するだろうか。

 一時間目の終わりのチャイムが鳴り、二時間目、三時間目、そしてテストが終わった。

「はぁ、終わった……」

「The Endだな、掛川」

「finishedと言いたい」

 しっかりと過去形にするところが、掛川らしい。

 雨なので、今日は昼飯を掛川ほか何人かと食っている。

「新聞屋はどうよ、今回」

 新聞屋、新聞委員だか新聞同好会に属してる望月 澪だ。名前は覚えた。男みたいな口調だが、女だ。

「その呼び方どうにかならないのか?」

「無理だ」

 見事なまでの即答だった。

「加法定理、倍角の公式とかをさくっと忘れて無事死亡だよ」

「もう何だよそれ……」

「お前の頭が何だよそれ」

「そんなことより、英語のあれ、『何々していたものだった』ってあれ何?」

「used toだろうが」

「オウノー! とか言いたいけど、もはやピンとこないや」

「お前それで大丈夫なのかよ」

「大丈夫、学年でも真ん中ぐらいに位置してるから」

 ほかのやつらが掛川より馬鹿だと思うと酷く滑稽だ。

「國定君、だっけ。話変わるけどこのクラスどうよ?」

 新聞屋がこちらへと話を向ける。

「どう? まぁ、居心地のいいクラスだよな。いくら訳あるとしたって、留年したやつをここまで構ってくれるなんてそうそうないからな。まぁ、留年生が余程インパクトあるやつだとしたら別だけど」

「ふぅん」

 聞いてきたのに興味なさそうに鼻を鳴らす。

「おぅし、学級新聞的なの作って、初号は國定君のプロフィール決定だね」

 ……は?

「お前去年も同じこと言ってなかったか? 全員のプロフィール乗せるって。いや、実現しなかったじゃねぇか」

「ノーノーノー」

 指を振る新聞屋。

「今回は先生が許してくれたのだー」

「逆に言えば去年は許してくれなかったってことなのか?」

「……國定君はグサッと心をえぐるような言葉を連続するねぇ」

 シュンとしなる新聞屋。

 そんな時、昼休みの終わりの予鈴が鳴る。次はホームルームか。

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