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十二

 「僕らの計画は今、遂に達成されようとしている!」

 ある男が高らかに叫んだ。喜びと解放感に満ちた声だ。

 「でも、ここからが本番という見方もあるようですよ」

 その男の隣にいた女が淡々とした口調で言う。

 「しかし、これまでの過程を鑑みても、僕らは充分よくやってきたと、僕は思うよ。本当にあと一つだったんだ」

 「それはそうね。ラストピースが揃ったもの。ただ、これからのことを決して甘くは見ないでね」

 女は忠告する。

 「計画の内容は聞かされているかい?」

 男は女に聞く。

 「ええ、バッチリ。でもまさか、この計画で行くとわね……!」

 女は嬉しげに答える。どこか楽しそうだ。

 「僕は最後まで反対したんだけどね。でも仕方ない。みんなが最も最適な方法を熟慮し選び出したんだからね」

 男は残念そうに、しかし意を決した表情で言う。それほど、大きな事柄なのだろう。

 「あら、意外と乗り気なのね、『お兄ちゃん』」

 女が男をからかう。

 「黙りなさい、『妹』よ」

 男は不機嫌そうに、女に言葉を突き刺す。

 「普通の『お兄ちゃん』は『妹よ。』なんて言わないわよ。リベ。やっぱりあなたは、人間としてのコミュニケーションをイマイチ理解できてないようね」

 男の名は「リベ」らしい。リベは答える。

 「……そうかい?前覗いたところでは、確かにこんな風に身内のことを呼んでいた気がするのだけどね」

 「それはあなたのデータベースが余りにも情報不足なだけよ。たまたまマイノリティを観測しただけね。知見が狭いっていうの。あなたはいつもそういうのに気を遣ってる人だと思うのだけど」

 「ミラ、僕は人間の言葉遣いなんて、いちいち気にしてる場合じゃないんだ。それに、君の知識が正しいという根拠もないからね」

 「あら、私は数千の世界の言語を研究して、星の数ほどの言語を体系化した張本人ですよ?」

 「そういえば、そうだったね。だからこそ頼れるということでもあるね。僕は計画には反対だけど、人選には全くもって異論はないよ」

 「あら、あなた自分を買い被りすぎじゃない?もっと有能なのはいるでしょうに」

 「その言葉、そっくりそのまま君に返してあげたいね、ミラ。なんで君が彼のサポーターになったかは、もちろん十分理解してるよね?」

 「……なんのことかしらね。まあ、少なくともあなたよりは人間の感情に対する理解は優れていると思うわ」

 「感情なんてノイズだ。あのエニシの産物であるシステムも、感情という複雑かつ計量的でないものに対処仕切れていないじゃないか。これは人間の欠点の一つだと言えるね。他にも原因は多々あるけど、だからこそ人間はこの世界を把握する能力を得られていないと、僕は考えるね」

 「むしろ、その複雑で高貴なものを扱える人間は無限の可能性を秘めた種だと私は思うけどね。彼らはどんな壁も壊すことができる」

 「あなたの人間擁護にも、とうに呆れたね。一体どうしてそこまで人間を高く評価するのかい?何度も言うようだけど、彼らは未だ、僕らの世界を知らない」

 「あなた、エニシがどこからやってきて崇高で巨大なシステムを構築したと思ってるの?一説にはある天才的な人間が、一般の人間の情報処理能力を遥かに超え、制御しきれずに爆発的な力を携えて……って話もあるのよ」

 「エニシがなんだっていうんだ。僕らはそれに屈してはならない。全てを解放するべくこれまでやってきたんだ」

 「ええ、そうね。ここまで来れたのも、少し感慨深いわ」

 「……対象が当該地点に意識を持ったらしいよ。僕らも行きましょうか」

 「ええ、準備はできてるわ。『お兄ちゃん』、コードの展開をお願い」

 「黙れ。チッ……ミラ。くそっ、ムズムズするなあ。まあいいさ、さあ最終局面の始まりだ……!」

 「カッコつけなくてもいいのよ、『お兄ちゃん』!」

 「……一回君の体から、発声器官の情報を取り除こうかい?」

 「そんなこと、『妹』にしてもいいの……?というかリベ、あなた早く慣れなさいよ。計画に支障をきたしかねないわよ。システムのように冷たくなるのはやめて」

 「うるさいね。僕も努力しているよ。いちいちからかわないでくれると嬉しいな」

 騒がしい彼ら兄妹(?)は、使命のために飛び立った。



 しかし、何であんな無力感と寂寥感、やるせなさを覚えたのだろう。涙が溢れるほど。

 ここに来る前の俺が何をしていたのかを思い出せない。一体、何があってこの世界に来たのだろうか。

 ああクソっ、これは新しい人生の始まりなのか?

 まずは、この世界の雰囲気とこの辺りの状況だけでも知りたいな。

 ひとまず、俺が寝ていたのは藁の上ではないようだ。何かの動物の毛でも詰めたものだろうか?ガラスらしきものが見える。それに反射して自分の姿が目に映る。……そうか、俺はこんなにも小さくなってしまったんだな。

 そういえば着ている服、違和感が全くない。さながら現代日本のベビー服のようだ。この母親の温もりが胸と胸を通して伝わってくる。こうして愛されて育っていくのが人間なんだよな……俺はこの気持ちを噛み締める。大人になって忘れていたことをこう体験できるのは貴重なことなんじゃないか。反抗期なんて、幼児の記憶が残っていれば起こるはずのないものじゃないのかと、俺は思ってしまう。

 それはそうと、またベッドの上か。この身体では好きに動けないな。こういうこともどこかデジャヴのような気がしてならない。嫌な感覚だ。俺じゃない俺が感情を支配しているようだ。心の底から気持ち悪い。

 数時間経っただろうか、俺は自らの意思を持つはずなのに、本能的に快眠に陥っていたようだ。そして不機嫌な寝起きに、これまた本能的になってしまい、しまいにはぐずり始めてしまった。すまない母よ、ずっと迷惑をかけてしまって……

 泣き喚く俺を母親は懸命にあやす。その言葉はとても優しく、どこか懐かしく、どこか難しく……難しい?「なぜだろう」と考えたが、答えはすぐに降りてきた。当たり前だ、ここは日本ではない。見た景色が全て見覚えがあるような気がしていたからつい錯覚していたけれど、場所が違えば言語は変わる。

 難しさを覚えたのは英語を勉強していた時の名残か?異言語はやっぱり心に来るところがある。思い出したくもないあの頃の記憶が蘇ってきてしまった。俺は他文化を進んで学べる人を尊敬する。本当に、心の底から。

 しかし、泣き言を並べていても仕方ない。せっかく与えられた第二の人生なんだ。無駄にはできん。ここにも、宗教というのはあるのだろうか?いや、あるだろう。自らの姿を映して見ることができるまで文明が発達した社会なんだ。少なくとも、神という存在は共通の意識として根付いているだろうな。特に俺は、神様を信じざるを得なくなったしな。別にこれまで信じていなかったというわけではないが、こんなことを体験してしまったんだ。これでも信じないという方がおかしいよな。

 独り言でも呟くようにブツブツと考え事をしていたら、気がつけばガラスの向こうが暗くなっていた。窓の向こうは木が一本と青空しか見えない。けれども青空は、俺の心を支えてくれている。陽が傾いているのか少し赤みがかっている。いつも変わらない景色を見せてくれた空、異世界にやってきても変わらず俺を見守ってくれる空、俺はそんな青空に勇気をもらった。

 母の声が聞こえた。やっぱり何て言っているのかは分からんが、俺のことを呼んでいるのだろうと、なんとなく理解はできた。まあ分かったところでこちらからは動けないのだが……

 平凡ながらも希望に満ちた新生活が幕を開けようとした時、それは突然起こった。

 嫌だ、寒気がする。恐ろしいという感情が心の全てを支配している。

 母親が、倒れた。

 恐らく家族が集まって食事をするはずであったテーブルに支えられて。器が倒れている。粥のようなものがこぼれている。

 兄が呼吸をさせようと懸命に母をゆする。姉が母に懸命に声をかけ、テーブルの周りを掃除する。父は、外出しているようだ。なんてこと。母は口を大きく開いて、うめき声を上げて苦しそうにしている。泡を吹いて、目が虚ろ…まるで操られてるみたいだ。誰かの仕業か?殺人?

 毒か……!毒なのか……!?どうしてこんなことに……俺にできることはないのか?解毒するための薬はどこだ?……そうか、俺になす術はない。悲しいことだな。俺の行動範囲は広くてもこの家だけだ。やってきた初日だし、何も勝手が分からない。

 くそっ、俺には何もできないというのか。ただ、何が起こったのか分からない赤ん坊として、泣き叫ぶことしかできないのか……姉が涙を拭いながら母に声をかけ、俺をあやす。まだ小さい娘じゃないか。小学校には入れる年齢なのかも怪しい。それでも彼女は必死に母を助けようとする。

 「お母さん、お母さん!」

 彼女は必死に呼びかける。

 兄が母を抱きしめた、と同時に下を向いた。……心臓は止まってしまったのだろうか。母の胸に手を当てる少年。何かを察したように、とても暗い顔でこちらを向いた。ボソッと呟いた言葉が、「死んだ」と言っているのだと直感的に分かった。兄はおぼつかない足取りで部屋を出ていき、外へ出て行った。彼は泣かなかったが、目は冷たく光っていた。弟や妹に弱い姿は見せまいという兄なりの意地だろうか。

 姉は母に抱きついて泣きじゃくっていた。この娘の心情は到底測りきれない。きっと俺には分からないほどの悲しさに溢れているだろう。まだこんなにも幼いのに、母を亡くした女の子というのは、果たしてどうやって成長するのだろう。彼女には間違いなく一番の大切な人だったはずだ。見るに堪えない。俺の視線の先には、無惨にも倒れ亡くなった母と、取り残された可哀想な女の子。

 何もすることができない俺は、ついに自分に腹が立ってきた。俺がもし大人だったら、ここの言葉が話せたら、何か有効な薬を取っておけば、母は助かったかもしれない。赤ん坊であるという制約を恨めしく思った。心の底から憎んだ。そして誓った。俺の人生はこの兄と姉のために捧げようと。たとえどんな形でも、彼らが母親を早くに失ったという過去を乗り越えて育つように。

 そのためには何でもしよう。言語覚え、外に出て世界を知る、成長して動く…他人の幸せのためだ。

 これは俺に与えられた第二の人生の使命と言えるだろうか。ここまできたらやるしかないだろう。二度目の人生なんだ、自分のことなんかもはやどうでもいい。他人を幸せにするために生きるんだ。

 騒ぎを聞きつけたのだろう、知らない夫婦が家に入ってきた。隣の家の人だろうか。この惨状を見るなり奥さんは顔を手で覆って嗚咽をもらせる。旦那さんは急いで外に出る駆け出して行った。コミュニティがしっかりとあるんだろうな。俺はそんなことに感心してしまった。

 どこかの動物の鳴き声が部屋に虚しく響く。辺りはすっかり暗くなってしまった。さっきは俺を支えくれるような顔をしていた空が、今は俺に試練を投げかけるように、冷たく見放しているようだ。

 隣人のような人たちが母の骸を片付けている。片付けるといっても、まだ埋めたり、火にかけたりはしていない。ただ、綺麗にされて静かに横になっている。貫禄のある老人が家に入ってくると、大人たちは一歩引いて畏まった。この近辺でも偉い人なのだろう。その老人がじっと母の骸を眺めているのを俺は姉と並んで、知らない女性に抱っこされながら見る。その女性も目には涙を浮かべている。老人は何かを言い残して、厳しい顔つきで家を出て行った。でも老人の目が一瞬光った……気のせいだろうが。

 母はよほど人望の厚い人だったのは容易に想像できる。女性たちが俺と姉に集まってきて、口々に何かを言ってくる。慰めの言葉なのだろうが、俺には具体的なことは分からない。それでも皆、俺らきょうだいを慰めんとしているのは十分に伝わってきた。どこの人間もこう、温かさを持った生物なのだろうか。そうすると、人間というのは本当に素晴らしいものなんだな……

 そんな淡い感心を打ち砕こうというのか、外から、重く心にのしかかってくるような獣の遠吠えが聞こえてきた。

 同時に兄が帰宅した。父を連れている。父の両隣に兄とさっきのご老人がいる。……周りの女性たちが息を呑んだ。ああ、なんてことだよ……俺の転生譚は始めからメチャクチャさ……

 父の顔には文字通り、生気がなかった。身体には痛々しい引っ掻き傷があった。傷は獣の爪痕みたいだが、人間の仕業?殺人?もうすっかり夜中であった。遺体が見つかっただけでも運が良かったというべきなのだろうか。

 しかし、兄は終始うつむいたばかりだ。それは至極当然のことだろう。この短時間に、両親に亡くなられたのだ。それでも強くあろうとするその姿は、やはり長男としてのこの子の強さなのだろう。

 姉が兄にすがりつく。こんな悲しい家族の風景を転生早々見せられるとはな……

 俺もそうだ。この状況、これ以上は静観できないぞ?ずっと傍観者ぶってたがな、もう心の限界だぁ……泣き叫びたい!こんな場面、俺にはもう耐えられん!もうすでに、赤ん坊の本能がずっとぐずってるけどよ、「俺」の精神的にももう全てを投げ出したくなるくらいだぜ。おい、八つ当たりをさせろ。気持ちが落ち着くまで暴れさせてくれ……!

 ……まあ大の大人の精神を持つこの俺が、そんな幼い子供みたいなことをするわけないからな?感情をぶちまけたかったのは本当だが、さすがに自分の中で収められるぜ……?

 ただ、傍観しすぎていた俺に嫌気がさしたような、そんな気はする。俺はこれでも両親を失ったんだ。兄と姉はいるが、まだどちらも幼い。俺には昔の記憶があるが、身体は幼児な上、この世界での勝手が分からない。

 だからこそ、もっと俺が頑張って、この二人を養えるまでにならないといけないだろ……!頑張ってねえ……何をだ?初めての地では何をすればいいかも分からない。ここは大人を頼るべきなのだろうか。幸い、ここに集まった大人を見ている限りでは、この辺りには信用できる人が多そうだ。

 頭が重い。そう感じた次の瞬間には瞼を閉じていた。


 目を開けると爽やかな陽光が俺の身体を優しく包んでいた。

 ……そうか、俺はあれから眠ってしまったみたいだ。どうやら今の俺の頭のキャパを超えていたらしい。あんなところで眠ってしまったということに自分に対してとにかく負の感情を覚えるが、今俺はどこにいるんだ?

 こんなに晴れた、どこまでも広がっていくような青空を見たのはいつ以来だろうか。本当に懐かしい。顔の角度を変えると、少女の晴れない曇った表情が見えた。……俺たちはどこへ向かっているんだ?

 どうやら、兄と姉と俺は外を出歩いているようだが、荷物が散歩にしては多い。兄は大きな荷物を引き車に載せて引っ張っている。……まさき家を払ったのか?!おいおい、ちょっと待ってくれよ。両親を失った三兄弟を、村の人たちはみんな見捨てたのか?

 いや、そんなはずはないよな。でも村人が近づいてくる目が変だった……まるで殺意、みたいな。

 普通に家財道具を移しているだけだよな。早とちり、だよな。状況が状況だから焦って変な結論を立てるところだったぜ。辺りには何も見えないが……一面に広がる草原、晴れ晴れとした青空。ピクニックにはちょうどいいだろう。でも、小さな小屋の一つも見えない。

 「早く歩け、妹」

 「うるさいなぁ、ちょっと持ってみてよ。ユカリちゃんすっごく重いんだよ」

 兄妹が会話する。兄は不器用な人間なんだろうな。口数が少ないところとか、なんとなく想像できる。姉の方は、まだ可愛らしいな。両親を亡くしたことが本当に悔やまれる……俺はこの子に何事も起こらないように、どんなことだってしてやるさ……

 「見晴らしがいい。この辺りで昼食でもとろうか」

 「そうだね、ほらユカリちゃん、ここまで歩いてきたんだよ!」

 そう言われて後ろを初めて見た。……ここはどこなんだ?水平線はどこまでも遠くに伸びている。一面草原というわけだ。一体この兄妹はどれほど歩いてきたんだ?大分疲れたに違いない。しっかり休んでほしいね。

 ……いや待て、おかしいだろ。どこか移る家を教えてもらったら、こんな遠いところへ来る必要なんてあるのか?元いた村の外だと、俺たちが居候するなんて話、つくわけないじゃないか。

 もっともよろしくないシチュエーションになる可能性が現実味を帯びてきた。


失礼します。初めまして、当作を執筆しました無垢です。以後お見知り置きを。

まずは、私の拙作に最後までお付き合いいただきましたこと、本当にありがとうございました。

こんな形に終わらせて消化不良感が私にはあるのです。続きの用意はないことはないのですが、それについては今から淡々と一人語りを始めるので、そこでお話しできればと。全くの蛇足ですが、これも私にとってやっておきたいことですので。


まず、この作品は私が2年前に既に執筆を辞めていたものであり、どういうわけか筆をとって書いた初めての小説であります。

何から話そうかと幾分か迷いましたが、まあ投稿に至った経緯は至ってシンプルで、「自分の黒歴史をどうせならインターネットの海に放って供養してやろう」というものです。どうやらこの稿も含めて忘れたい思い出になりそうですが。

そもそも、この作品を自分の中でも忘れ去ることに成功していたはずだったのに、今このタイミングで都合よく記憶の中に帰ってきたのには理由があるわけです。

2026/9/18、「劇場版まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天」が公開された日に私の中で悪夢が蘇りました。(この悪魔め!)

私の書きました作品は「死」、それも他殺というものをまあうにゃうにゃする「システム」があって、一人のそのシステムに組み込まれた男がバグで存在に意味が与えられて云々なるものであります。

そして、まどマギの方ですが、ネタバレにならない程度に語りましょう。「名塚根底」というこれまた「システム」がどうのこうのという話でした。劇場で妙な既視感と共に、その「システム」なる語が台詞で流れた時、私はIMAXの席でビクッと思わず飛び跳ねてしまいました。

それから一旦は、視聴者に理解というものができるかと挑戦してくる芸術作品と格闘していたので、嫌な思い出も薄れかけていたのですが、帰り道、人間はなぜ歩いていると思考が冴えるのでしょうか。猛烈にあの悍ましさすら感じられる苦いものが込み上げてくるのですね。

もうあれから1ヶ月ほど経つのかと、時の流れにしみじみしてしまいますが、Icloudのメモの最終更新は確かに2024年を示していて、あれから2年かと思うと、なんでしょう私もよくわからないです。

書いてて思ったんですけど、結局何か都合をつけて、きっかけが欲しくてずっと閉じこもっていただけなのかもしれないなと、自分を思い返しております。


投稿するにあたって、ザッと読みながらところどころ推敲したのですが、これがまたまあ酷いもので。

そもそも主人公の無限に続く内省に耐えられない自分がいるのです。そして、「……」のなんとまあ多いこと!

文字より目についてしまっておよそ作品に集中できるものではなかったので、苦笑しっぱなしの校正作業の時間でした。

中身はもはや見るに耐えれなかったので、ほとんど直していません。


2年前といえば、私事ですが「涼宮ハルヒの憂鬱」を初めて視聴した時期ですね。読み返している間、というか当時から影響受けてるなぁとは常々感じていました。

ずっと臭い男のモノローグを書いてるのに飽き飽きしたので女キャラを出したのですが、これがもう「ハルヒ」で。自分ってこんなのしか書けないのかなと悲しくなったのを、今書いててですけど思い出しました。


当作は恐らく二部に入って、そこらで私の筆がピタリと止まって、「ああもうこれ以上書けないや」となって終わったのですが、なんとなくやりたいことは自分の中であったので、ネタ切れだということはないのです。ただ、これが書きたくて続けてきたのかと振り返った時、何かが違うと思ってから、全く続きのアイデアが浮かんでこないのですね。プロットというものを初めてちゃんと整理したのもこの二部に入ってからだと記憶しているのですが、何度も修正修正で、結局いい形に落とし込めませんでした。


「雨宮縁」についても話さないといけないでしょうか。私はまず、転生した「俺」にもドイツを夢見た少女にも名前をつけませんでした。登場人物の名前を考えるというのは自分にとって大事なことではあるはずなのに、どうしても面倒臭さく億劫になるところでした。結局初めて名前をつけたのがこの「雨宮縁」です。彼の雰囲気から自然と名前がつけられたので、これはありがたかったのをおぼえていますら、

あとあのエピソード——八辺りの話は、これはもっとこの作品が続くなら、彼らの会話の中で登場させるのも手だったと思っています。一話にまとめた情報を小出しにして。ただまだ下手なものですから設定資料を作ってから、それをほとんどコピペした記憶があります。そういうのを考えるのは割と好きなので、普段とは違った心持ちで書いていたような気もあります。


この経験が生きればいいなと思い、のほほんと生きているところです。

こんな作者の備忘録に、もし最後までお付き合い頂いた方がいらっしゃいましたら、こんな愚者をどうか許してほしいのと、本当にここまで読んでいただいてありがとうございますということを重ねて申し上げたい次第であります。

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