輪廻転生?
「このたわけ、やらかしてくれおったな」
前に地獄にいたときと同じように黒いお盆にあぐらをかいたエンマのジジイは髪をかきむしっていた。
まあそれも当然だろう。
「三つの掟、全てを破るとはな」
どんな罰を食らうのか、気が気ではない。今、俺は魂の状態でエンマと向き合っている。
基本的には話しかけてはいけないことも、二日ほどまでしか覚えていなかった。
「しかしなあ、一人の少年の心持ちをここまで変えたのはずいぶんなことじゃ。上にうまく報告すれば、ワシも出世するかもしれん」
おい!結局、自分のことかよこのジジイは。大体エンマ大王が出世すると何になるんだ?
「まあ、少年のその後は言えんし、言ってしもうたら聞いたお前もろとも共犯でワシら二人で洗濯ばさみに変えられてしまう」
「やっぱり、合格したかは言えねえのか」
「聞きたいか?」
そう言って、エンマは笑った。
「いや」
オレは風を集めたようなふわふわとした体を揺らす。
「知らないほうが、何か分かってるって気がするんだ。何言ってんのか分かんないだろうけどさ」
エンマは、満足そうに笑うとこう言った。
「とにかく、お前さんの今後を決めんとな。期日もあるし、上司にもうせっつかれておる」
「地獄でエンマが一番偉いわけじゃないんだ」
今度はオレが笑う。たわけ、とつぶやいてからエンマはこう続けた。
「電話するから、ちょっとまっておれ」
バチを取り出し木魚をポーンと叩くと、スマホがエンマの手の中に飛んで、収まった。
すかさず、電話をかける。
「はい、そうです、そうそう、それです。あのエンピツの……そうですか、本人に伝えておきます、はい、奥様によろしく」
スマホを切ると、エンマはニヤッと笑って、
「決まったぞ」
と言う。オレの体の風が集まった。
「上司には逐一お前のことは報告しておった。お前さんは問題児だがの、持ち主への貢献度も考慮して、褒章も無ければ罰則もなし。差し引きゼロじゃ」
ホッとしたオレの風がまたゆるんだ。
「お前は口調に似合わずなかなか役に立つことが分かった。そこでな、お前の相棒が人間だった時に愛用していた時計になって、お前もろとも改心させなさい。タイムスリップじゃ。話しかけても良い。これは命令じゃぞ」
オレは、相棒が自分の時計を愛用どころか、粗っぽく扱っていたことを思い出し青ざめた。
「それだけは辞めてくれー!」
オレの必死の願いは、いつになったら天国へ届くんだ?
(完)
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