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あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~  作者: 深楽朱夜
第5部 ここで生きていく 晴れた日は海を見て編

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4 てんやわんやわんや

「随分連れてきたな、詠斗。おい、調合出来る奴はこっち来てくれ!熱冷まし、吐き気止めの調合だ」

「私が…ナイルに連絡しておきます」

「僕も出来ます」

「薬草だ、磨り潰すのは出来る」

ジラの傍らにナイデル、オリガ、アゲイルが立ち作業に取りかかる。

「こっちは彼等は栄養が足りないていないから滋養のある食事の支度を手伝っ…君は…」

「有守 晴海…さっき日本から来た」

「え!ごめん!慌てて連れて来ちゃった」

「いいよ、別に。俺も手伝う…料理できるから…」

「そうか、助かる。俺は峯尾 大河だ」

「ありがとう、俺は時永 詠斗!」

「今スマホ見ました!神様達からライン来てました。僕は成澤 率です」

「僕は更科 綴と言います。よろしくお願いします」

吐いている小さな子供の背を擦る率と、布団に職員を寝かせていた綴が挨拶する。

「俺も料理するぞー」

「切るだけなら」

「僕もやるやる」

「がんばる…」

「我は病人の世話を率殿達としよう」

「なら、晴海くん、ラドゥ、タッセル、テトラ、カルはバルタルと千眼と飲み物と食事の支度を…アルケールさんは、率くん綴さん、レグと行動してくれ。孤児院の人達は仕事に出ている以外はいるか…」

テーブルを持ち込み、調理器具を並べバルタルが手際よく野菜をたっぷり煮込んだスープ、ギョロリを柔らかくなるまで煮込んだ物を用意していく。

果物を刻み冷蔵庫に入れたり、追加のスープを作る為に皆で野菜を刻む。

「まだ元気な子供もいるな!よしこういう時は肉だな!あ、俺だ今肉ダンジョンに…おお、ちょうどいいな!その肉取りにいく!おーい、今肉ダンジョンで遊んでいるカークとエンフが最終階層のボスの肉ドロップしたって、誰か行けるか?」

「俺が行ってくるよ!後、ベルンの所からモギのミルクを貰ってくる」

「酸味のある果物の果汁を白湯に入れて砂糖を入れた物だ…主達の世界のホットレモネードという飲み物だな…」

「半分運ぶよ」

「ああ…」

詠斗が肉ダンジョンに転移し、千眼が盆に乗せた物を半分晴海が運ぶ、自力で飲める者には渡し、難しいのであれば介助して飲ませる。

「おいしー」

「もっとのむー」

「身体を起こせるか?ゆっくり口を開けて、うむ!良い調子だ」

「えぇ!!?落石!怪我は?あ…今チグリスさんが!?ケガ人も!すぐ向かいます!大変です、迎えに行った先で落石事故が起きてチグリスさん達が巻き込まれたそうです!」

「チグリスならば岩位なんともないぞ!アイツは硬い!」

「それが…チグリスさんは一緒にいた人達や周辺の人達を守る結界を張っている為、脱出に割けないと、とにかく行かないと…」

「俺が行く」

「なら俺も行くぞ」

「ケガならお俺も!」

「スマホがある…すぐ転移出来る」

「俺も行くよ、たぶん俺の魔法役に立つかも…?」

『もぐ!』『もぐ!』『もぐぅ!』

千眼、レグ、ラドゥ、オリガ、ハル達が手を挙げる、大河が頷き千眼に頼み晴海の目を見て頷く。

「なら、来てくれ」

「うん」


「ベルンさん、カタン食事を持って来ましたよ」

「ナイーごはんー」

「ナイルさんありがとうございます」

「ナイーごはんたべようー」

ナイルがカタン達の家に入り食事を渡す、スープとサラダと果物とパンにチーズを挟み、肉とキノコを炒めた物を入れた籠をベルンに渡した。

「良いんですか?お邪魔して?」

「はい!一緒に食べましょう!ミルク用意しますね」

「では、一緒に食べましょうか…」

カタンとベルンが一緒にナイルの手を引いて笑う、今日は詠斗達も恐らくナイデル達も帰って来ないだろう、畑にはナイルとカタンとベルンとモギ達しかいない、モギ達も寛いで過ごしている、森で草や果物を食べているせいか毛艶も良い。

「どうぞ!」

「ありがとうございます」

「いただきますー」

『いただきます』

家の中にいるモギからコップに搾ったミルクをナイルに渡す、花の香がし甘味とコクがあって美味しい。

「ナイーおいしいねー」

「チーズとパンおいしいです!」

「沢山ありますから、いっぱい食べて下さい」

コクコクとミルクを飲むカタンの口元のパンくずを取ってやるベルン、兄弟の様で微笑ましい。

「ナイーいっしょにねてー」

「いいね!カタン!」

「そうですね、今日は1人ですし…皆で寝ましょう」

『わぁーい』

此処に来てからは1人で寝る事は無かった、自分も人が恐ろしいと思う200年前ならば詠斗達に付いて店を手伝い、今日だって一緒に行きたかったが…まだ人は怖い…。

「お風呂行ってきますから」

『はーい』

明日話しを皆から聞こう、明日起きたら食事の準備をしてテントでお菓子の本を読むか、またドーナッツを作っても良いかと思い耽りながら風呂へ向かった…。


「ここが荷運び倉庫か…チグリス聞こえるか?」

『大河か…」

「怪我人は?」

『分かる範囲で4人…全員生きてはいるが…傷の程度は分からない…俺達を入れて9人いる…」

千眼に連れて来て貰った場所、荷車を押して岩場の道から荷物を倉庫に運ぶ途中で上から大小の岩が降って来たようで、荷車があったであろう場所は岩によって潰されていた。

スマホでチグリスに連絡を取るとすぐに繋がる、声もいつも通りで大河もホッとする。

『もぐ!』『もぐぅ!』『もぐ!』

「ハル達、この地面を潜って行くのか?俺も行ければ回復魔法を掛けられるんだが…」

「あ、ならこの紙に回復魔法を掛けて…これをえと…モグラ?くん達に持って行って貰ってケガしている人がいる所で使って貰えたら多分…回復魔法が使えると思う」

「そうなのか?」

「うん、俺の固有スキルらしい?」

「よし、やってみてくれ。ハル達いけるな?まずケガ人の治療からだ」

レグの困った表情に晴海が思いつく、術者が行けないのなら魔法だけを運べば良いと、紙魔法を使い札のような紙をイメージすると薄い銀色の固めな短冊サイズの紙が手に現れ、レグに4枚渡して回復魔法を発動させてみると札に魔法が入ったような感覚がした。

「魔法がこの紙に入った感じがする!いける!ハル達頼んだぞ!」

「ケガをしている者は…一番奥…右…左…あと一人は結界があるが危険な状態だ…場所も岩と岩に挟まれている…他は」

ハル達が力強く頷き受け取った札を巾着袋にしまって、さっそく落石した岩の手前から土を掘り潜って行く。

「ケガ人の治療が済み次第岩をどけて救助する、待てるか?チグリス?」

「ああ…待っている」


時間は遡り、チグリスとカイネが荷運びの倉庫に着いた頃まで戻る。

「チグリスさん、ここが荷運び場です。あの道から荷車を押して荷物や魔石を運んで来たりするんです」

「ん…カイネの所の子供達はどこだ?」

「あ、ちょうどあの道で荷車押している子達ですね」

細い道の周辺には大きな岩が馬車の通行を阻むため、細い道の手前で馬車から荷を荷車に入れ替え小さい子供も含め7名で押していた。

荷車に乗せた荷物は1つ、大きな黒い木箱のみだった。

過酷な労働、道は狭くがたつく荷車、落石もあり非常に危険だが孤児院の子供が出来る仕事は限られていた。

「熱も出るかもしれないからな…早く連れていく…」

「そうですね、俺達も手伝って…」

荷車を運んでいる道中の上、切り立った崖の上から視線を感じチグリスが視認した。

「ん…?」

フードを被り顔が分からないが人ではない、チグリスが顔を確認しようと更に目を凝らすと視線に気づいた何者かが、持っていた剣で崖の先端に一閃放ちスパっと崖の先端が落下していく、フードを被った何者かはそのまま立ち去ると同時に「逃げろ!」チグリスが叫び、その場にいた荷車を運んでいた者達に結界を張り、地面から跳躍し落ちてくる巨大な岩と化した崖の周辺にも結界を張り広範囲に広がらないようにして細かくした。

とにかく時間がない、結界の精度も悪い全員無傷とはいかないがカイネに向かって走っていく子供達、その子供達に駆け寄るカイネ達位ならば無傷で…。

「みんな!チグリスさん!」

ドスドス…岩が雨の様に降り注ぎ、周囲を潰していった…。


『もぐ!』『もぐ!』『もぐぅ』

「ハル、ナツ、アキ…来たか…頼む」

大河と通話を続けながら痛みを訴える声泣き叫ぶ声、うめき声、息が微かにしか聞こえない者達の元へ向かうハル達の気配を感じた。

「大河…先に言う」

『なんだ?」

「この落石は崖の上にいた何者かがやった」

『だろうな…崖の所に刃物で斬ったような跡がある』

「顔は分からないが…そいつの目的は…多分荷の破壊…」

『…荷物は?』

「ただの荷なら潰れているだろう…」

『そうか…ただの荷物なら…か」

晴海がくれた紙…札が上手く発動したのだろう声や息が喜びの声に変わる、チグリスとカイネの足元からハル達が岩を柔らかい土の様に掘り出して出て来た。

「みんな!ありがとう!」

それまでじっとしていたカイネがハル達を抱きしめる、涙が零れて地面に吸い込まれていった。

「カイネお兄ちゃん」

「カイネにー」

「カイネにいちゃん!」

「みんな痛い所はない?大丈夫?」

「うん」

「へいきー」

「大丈夫」

「ハルくん、ナツくん、アキくん。みんなを安心させてくれる?」

『もぐっ』『もぐぅ』『もぐ」

ハル達が頷き合いまた掘った穴を戻り、バラバラになったカイネと同じ孤児院の子供達の元へ向かう。

「かわいいー」

「わぁー」

「ふかふかー」

ハル達のお陰で恐怖や不安が少しでも拭えるのなら良かった、大河から岩をどかしているので間も無く救出出来るとの事でほっとした。

傍らのチグリスは崖の上にいた者と荷物の関連性を考え、荷物の状況の確認を千眼にして貰う。

「千眼に荷物の状況みて欲しい…」

『ああ、そうだな。千眼、岩の中の荷物の中身を見て欲しい』

『分かった…』

千眼が岩の中の荷物を探る、黒い木箱は無事だった…。

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