16話 簡単レベル上げ
「ゴブト! 飯の用意出来たぞ!」
「ありがとうございます! おいお前達も」
ゴブトが手で合図をするとハンタースパイダー達は頭を下げる。
これで会話が出来てないなんて嘘みたいだ。
「お前ら……えーと、ヒィとフゥとミィはこっちの肉、ゴブトはそっちの人間の女が飯だ」
「ヒィ、フゥ、ミィ……それってもしかして」
「ああ、今呼ぶのにちょっと困ったから適当だけど名前を付けてみたんだ。でも流石に適当すぎたか――」
「「「ギギギギッ!!」」」
「凄くいい名前! こいつらも喜んでる! 折角だからわかりやすいように後で何かで名前を刻もう!」
「「「ギギギギッ!!」」」
急ごしらえの名前だったけど、これだけ喜んでくれると嬉しいな。ゴブトも自分の事みたいに喜んで……でも名前を刻むって結構痛々しい事するんじゃないか?
「それは後にして今は飯を食べようか。そんじゃいただきます」
俺が食事に手を付けるまでゴブト達は全く食べようとしない。
気まずいからそのうち辞めさせるようにそれとなく仕向けないと、ってやっぱ美味いな人間の肉。
『人間を捕食しました。スキル:【イートリンクlv1】、【料理】、【裁縫】を盗みました。2種類のスキルが重複しました。スキル:【料理】が統合され、スキル:【自動料理】に変化しました。使用方法:対象と完成後の料理を思い浮かべ心中詠唱。スキル:【裁縫】が統合され、スキル:【細部透明裁縫】に変化しました。使用方法;使用したい針や糸を思い浮かべ心中詠唱。貴方に神のご加護が有らんことを』
【複数自動洗浄】はやっぱりもう変化しなかったか。でも、予想通り【料理】や【裁縫】が変化したな。
そろそろ人間の肉を違う形で食べてみたいけど、焼いたり煮たりすると巣の中で匂いが充満したりするから出来ないと思ってた。でも【自動料理】があればそんな事気にせず色んなレパートリーを楽しめそうだ。
やば人間のトマト煮とかステーキとか想像しただけで涎が……。
【細部透明裁縫】は名前から察するに縫い目を見せないように透明の糸を使えるって事なんだろう。
そもそも裁縫をするような機会は無いだろうから正直どうでもいい。でも裁縫する人からしたら画期的なスキルなんだろうな。
それにしてもスキル増えすぎて自分が何を習得しているか分からなくなってきたな。
こまめに【鑑定】だけは癖にしておかないと。
『ってわけで鑑定lv3』
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種族:ミニドラゴン
名前:無し
レベル:1
進化回数:1
状態:良好、リジェネ、【暴力無効契約】
スキル:鑑定lv3、リジェネlv1、ファイアブレスlv1、拳闘術、槍術lv3、ゴブリントーク、掃除、細部透明裁縫、カリスマ、飛行lv1、複数自動洗浄、自動料理、火耐性【大】、ハードクローlv1、イートリンクlv1
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種族:エリートゴブリン
名前:無し
レベル:4
進化回数:1
状態:【暴力無効契約】、【イートリンク】
スキル:声警鐘、性欲筋力リンク、全種族対応種ゴブリン、 火耐性【小】
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種族:ハンタースパイダー
名前:ヒィ
レベル:6
進化回数:0
状態:【暴力無効契約】、【イートリンク】
スキル:パラライズシャワーlv1、スパイダーネット
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種族:ハンタースパイダー
名前:フゥ
レベル:6
進化回数:0
状態:【暴力無効契約】、【イートリンク】
スキル:パラライズシャワーlv1、スパイダーネット
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種族:ハンタースパイダー
名前:ミィ
レベル:6
進化回数:0
状態:【暴力無効契約】、【イートリンク】
スキル:パラライズシャワーlv1、スパイダーネット
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状態に【イートリンク】が追加されてる、それにいつの間にか俺以外の全員レベルが1上がってる。
飯を食っただけでこんなに一気にレベルが上げられるのか……想像を超える便利さと強さだな。
でもスキルの取得が無いのはどういう事なんだろう。
『【イートリンクlv1】による効果の共有は完全ではありません。スキルレベルが上がればオリジナルの効果に近いだけの力を得られますが、全く同一の効果になる事はありません。今回の場合、スキルを100パーセントで盗めるという元の効果の10パーセント以下の効果が反映され、運悪くスキルを取得出来ませんでした。経験値に関してはスキルを取得するという効果以上に高い反映率です。貴方に神のご加護が有らんことを』
ランダム要素って訳か。
例えばこいつにこのスキルを覚えさせたいからって狙い撃つなら、同じスキルを持つ人間を山ほど食う必要があるかもしれないって事ね。
大変だけど仲間のカスタムに幅が広がってちょっと楽しい。
「ネイル様! 俺、ただ飯食ってるだけでレベル上がった!」
「「ギギギッ!」」
「俺のスキルが多少だけど反映されてるらしい。沢山食えば食うだけ強くなるからとにかくこれからは人間をこれでもかってくらい食ってくれ」
「分かった! 俺人間いっぱい食う!」
「「「ギギギッ!」」」
罠も上手い事京佳出来るし、レベルも上がり始めた。
俺も進化してそこそこの強さになった。冒険者と1戦やり合いたい気持ちもあ――
カランカランカラン。
その時警報装置の音が巣の中に鳴り響いた。
タイミングよく飯は食い終わっていたけど、そんなに急に来られるのはちょっと困るぞ。
◇
「村の奴らが慌てるのは分かるが、ゴブリン如きで冒険者があの様なんて情けないよな」
「まぁ、あいつは万年Fランクの雑魚冒険者。俺達Eランク冒険者ならキングゴブリンも2人で戦えば問題ないっすもんね」
「おうよ。キングゴブリンは素材が高く売れる。情けねえけどいいカモを残しといてくれて有難くはあるな」
巣の入り口の方から人間の声が響いてくる。
俺達が仕掛けた警報装置が鳴った事に気付いていないわけではないはず。それなのにこの余裕そうな声。相当な実力者か。
「ゴブト、ヒィ達をこの間の入り口、落とし穴の横辺りに待機させてくれ。相手はかなり手強い冒険者のはず。確実に罠に嵌めて毒攻めにするぞ」
「了解! 全員こっち!」
場を緊張感が包む。
うーん……実力のある冒険者だと多分待ってるだけじゃ罠にかかってくれないよな?
危険だけどリジェネ効果もある俺が冒険者達を罠まで導いてやらないと……。
「ゴブト、俺がこの先にいる人間をおびき寄せる。武器を構えてまっててくれ」
「了解! ネイル様気を付けて」
「「「ギギギッ!」」」
「ああ。行ってくる」
俺は鉄の槍を尻尾で掴むと、のそのそと歩きながら巣の入り口に向かう。
「お、やっとこさ出たか。さぁてゴブリンどもを殲滅――」
「いや、あれゴブリンじゃないっすよ」
「がぁぁあああっ!!」
冒険者に姿を捉えられたのを確認すると俺はあまり溜めずにファイアブレスで威嚇して見せた。
すると冒険者達はこの程度か、とでも言いたげににやりと笑うと走ってこちらに向かって来る。
作戦通り。慢心がお前達の敗因だと教えてさせて……その屈強な身体を食らってやる!!
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