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第11話 2日目の朝と学校

久しぶりの投稿です。次回の投稿は未定です。

朝、龍生が目を覚ました時、横に花達の姿は見えなかった。


「やっぱり花が生き返って4人になるなんて有り得ないよなあ」


起き上がって布団の上を見ると、4人分の服が布団の上に置かれていた。


「夢ではなかったのか…。寝ている時に花が着ていた服がすぐそこに…。いやいや、こんなことを考えるな」


龍生は邪念を振り払いながらリビングへ向かった。


「おはよう」


「「「「おはよう」」」」


花達は4人揃って朝ごはんを食べていた。4人とも食パンが僅かに残っているだけなので、もうすぐ食べ終わるところだろう。


「みんな早いね。僕のほうが先に寝たはずなのに」


「いつも弁当を作るために早く起きてたからね」

「これからは学校に出かけないから朝早く起きて弁当を作る必要もないんだけどね」

「普段から早くに起きているから目が覚めちゃって」

「これまで週5で自分のを作っていたから特に負担にならないし、作ってあげよっか?」


「気持ちは嬉しいけど遠慮しておくよ。なんで急に弁当にしたか聞かれたら困るし」


「彼女っぽいことしてあげようと思ったんだけど…」


「彼女が作ってくれたという話になって、その彼女について根掘り葉掘り聞かれたら僕達は困るからなあ。本当の事を言えるはずもないし、花が亡くなった直後だから他に彼女が出来たと言うのも気が引けるし…。本当はここにいるけど」


「それもそっか」

「私の事は他の人に話せないからね」

「他に何か彼女がしてあげるようなことって何があるのかな」

「私達付き合っているからね」


「高校生カップルで同居したり一緒の布団で寝たりはあまりしないと思うけど…」


龍生がそう言った途端花達の顔が赤くなっていった。


「「「「よく考えたらそうだわ…。高校生でこれはやり過ぎかしら」」」」


「そんなことないから。一緒の布団で寝ているのは布団が足りないからだし、同居しているのは花の事が知られないようにするためだから」


「「「「それもそうよね。やり過ぎって言うわけではないよね」」」」


「3人がかりで押さえつけたり乗っかってきたりするのはやり過ぎだと思うけど…」


「「「「…やっぱり?」」」」


「自覚はあるんだ」


「私にだって龍生にどうしても知られたくない事はあるし…」

「誰にも知られたくない事があれば必死に知られないようにしないの?」


「まあ、どうしても知られたくない事があったら必死になるのは分かるけど、昨日の寝る前のあれは違うよね」


「龍生が多少のことは許してくれるということもあるけど…」

「私達みんな龍生の彼女だけど恋のライバルでもあるからね」

「他の花とは差を付けられたくないのよ」

「私達が険悪なムードになっても問題ないのなら別にいいけど」


「それは勘弁して…」


「こっちもなるべく龍生の前で喧嘩はしたくないけど、みんな抜け駆けをよくするからね」

「それはあんたもでしょ。まあ抜け駆けをするのは4人全員が一緒に住んでいて龍生と2人きりになる機会がないからなんだけど」

「龍生が誰が抜け駆けをしているか区別できるのであれば問題ないけど」

「私でも見た目で区別が出来ないのに龍生が区別するのは到底無理な話よね」


「全員本物の花だからね。今でも信じられないけど。それに区別できるならその時点で偽物は一緒に住まわせないし。それはともかく、花達はもう食べ終わるところ?」


「うん。10分前にはもう食べ始めてたからね。龍生がいつ起きるのか分からないから冷める前に食べようって話になって」

「朝ごはんを5人で一緒に食べるかどうか決めていなかったからね」

「それに学校に出かける時間が迫っていたらゆっくり話も出来ないから一緒に食べる意味があまりないよね…」


「確かに朝はあまり時間がないしな。早起きすれば時間はできるけど、正直言うと朝はゆっくり寝ていたいし」


「そっかあ」

「それだったら朝は起こさないほうがいい?遅刻しそうな時間まで寝ていたら別だけど」


「うん。明日からもそうしてくれる?」


「「「「分かったわ」」」」

「もし龍生が起きてこなかったらどうやって起こす?」

「みんなで思いっきり抱きつくとか?」

「みんなで乗っかったりとか?」


「全部聞こえてるし普段から1人で起きれているから」


「「「「そっか…」」」」


4人の花達は少し残念そうにしていた。僕が寝ている間に何をしようと考えているの?それにさっきやり過ぎだと言った事ばかりなんだけど?


「それはそれとして目玉焼き作ったけど食べる?作ってから時間が経っているから冷めていると思うけど」


「食べる食べる。ありがとう。どこにある?」


「台所のコンロよ」

「龍生が起きる時間が分からなかったから食パンは自分で焼いてね」


龍生は食パンをオーブントースターに入れてつまみを回した。


「龍生はいつもこの時間に起きているの?」


「いつもこの時間。朝ごはんは食パンだけだし、弁当を作ったりしないから」


「「「「それなら明日は私が龍生の分も焼いてあげるわ」」」」


「流石に4枚もいらないよ」


「私が焼くから他の花はしなくていいわ」

「いや、私がするからあんたが焼く必要はないわ」

「何勝手に決めてるのよ、私が焼くから」

「みんな何言ってるのよ、焼くのは私よ」


「誰が焼くかで喧嘩するぐらいならそれくらい自分で焼くから。落ち着かないから僕の家で争わないでよ」


それを聞いた花達は少ししょんぼりとしていた。


龍生は朝ごはんを食べ終わった後、いつものように学校へ行く準備をし、学校へ向かった。花達が仲良くするためにはどうすればいいか考えながら…。



教室に入ると普段よりもざわざわしていた。


「昨日踏切事故について何か知らないか質問された」

「俺もそう。どうやら事故の方向で調べてるみたいだぜ」

「そうみたいだね。相川がどんな人で最近の様子がどうだったか聞いていたし」

「そうそう。いじめを受けてたかって。むしろ嫌がらせをしてた方だっつーの!」


「昨日学校帰りに相川の事について質問されたけど、みんなはどう?」

「私も。どんな生徒だったか聞かれたわ」

「私もよ。花が自殺する原因について心当たりがないか聞かれたわ。そんなの知らないわよ!こっちからしたら人に迷惑をかけときながら勝手に自殺したとしか思えないわよ!」


どうやら一昨日の踏切事故について質問された話で持ちきりになっているようだが、花の悪口しか聞こえてこないので龍生は今日もか…とうんざりしながら教室に入った。入った途端に僕に気づいたクラスメイトが


「ちょっとストップ!!池田君が来てるのよ!」


と言ってそれでピタッと止まった。よく見れば昨日止めてくれた人と同じ人だ。花の悪口を聞くのは嫌だからすぐに止めてくれるのはありがたい。もっと言えば僕が来る前に止めて欲しいのだけど…。


この日は休み時間のクラスメイトの会話が踏切事故や花の事について質問された話ばっかりだったことを除くと普段通りだった。僕はそんな質問されていないからこの会話には入れないな…。むしろ花の悪口ばかりで入りたくないし…。会話を聞きたくないので昼休みは購買のパンを食べ終わったら次の授業が始まるまで人のいない校舎裏で時間を潰した。


授業も終わり、部活に向かったが、顧問の先生が


「昨日も言ったが相川が亡くなったばかりで部活に身も入らないだろ。集中を欠いて怪我でもされたら困るから今週はずっと休みな」


と言って、参加させてくれないので今日もいつもより早く帰ることとなった。実際には花は生きているけど本当の事は言えないしな…。まあ、本当の事を言っても精神が壊れておかしくなっているのだと思われて病院に連れて行かれる可能性が高そうだけど。亡くなった人が生き返って4人になっているなんて普通有り得ないし。


そんなこともあり、2日連続で普段よりも早く帰宅したのだが、


「ただいま」


「「「「おかえり〜。龍生は何があっても私の味方だよね〜!」」」」


とドアを開けた途端に花達が4人揃って泣きながら抱きついてきた。僕が出かけている間に一体何があったのか…。

曜日の設定は

(水):同居生活の初日(第2話〜第10話)

(木):今ここ(第11話〜)

(金):翌日の話し合いの相談

(土):花の両親と直接会っての話し合い

です。

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