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第12話 2日目の帰宅直後

僕が自宅に帰ってくるなり4人の泣いている花達に抱きつかれた。いきなりのことに戸惑った僕は


「えっ?何?どういうこと?」


と声を出すことしかできなかった。

すると花達が泣きながら僕が出掛けている間に何があったか説明を始めてきた。


「亡くなったはずの人が生きていることが分かればネットやテレビで取り上げられて話題になってしまっていると思って」

「そうなっていないか確かめるためにテレビでニュースや報道番組を見ていたら、私が死んだ人身事故について多くの番組で取り上げていたのだけど」

「どのチャンネルも私のことを完全に悪者扱いしていて街頭インタビューでも私のことを悪く言っているものばっかり」

「私のことをかばうようなことを言っていた人は1人もいなかったわ」

「いじめられていたのは私の方なのにいじめていた天罰だとか死ぬなら周りを巻き込むなとか」

「そもそもいじめっ子の方が自殺なんて意味分かんないって。意味分かんないのはこっちの方だよ」

「しかもどこも私を問題児扱いしているし…。問題なのは他のみんなの方だよ…」

「もう高校は誰も信用できない…。龍生以外は全員…」


花達は不満を言いたいだけ言ったと思ったら、「龍生だけは私の味方だよね」とか言いながら思いっきり泣きついてきた。

まだ制服姿だから着替えてからにして欲しかったんだけど…。涙や鼻水が付いてしまうし…。

僕は「何があっても花の味方だよ」などと言いながら数分間ほど花達をなだめていた。

というよりは4人に泣きつかれていて玄関で動けなくなってしまったのでなだめるしか選択肢がなかった。



数分後、ようやく花達が落ち着いてきたのでやっと玄関から動けるようになった。

荷物を置いて家用の服に着替えた後、気になることがあったので花達に質問した。


「それで花達が生きていることや4人になっていることは世間にバレているの?」


「それは大丈夫だと思うわ。どの番組でも私のことは亡くなったとしか言っていなかったし、死体が無くなった原因についても調査中としか言ってなかったから」


それは良かった。テレビで取り上げられていたからてっきり何かバレてしまったのかと思ったがそうではないようだ。


「電車の人身事故ってそこまでテレビで取り上げられるものなの?事故のあった日かその次の日にニュースで流れるのなら分かるんだけど、もう一昨日のことだよね」


「亡くなったのがいじめっ子だったから取り上げているみたい。どうしてこんなことになったのか、教育現場はどうなっていたのかとか言っていたし」

「番組によってはどうして自殺したのか討論が繰り広げられていたわ。いじめられっ子が自殺するパターンはあってもいじめっ子が自殺するパターンはあまりないからって」

「いじめられていたのは本当はこっちなんだけど…」

「しかも自殺ってことになっているし…」


「こういうのって普通自殺か他殺か位は分かるものだよね?花の場合は突き飛ばされたわけだし」


「本当は分かるはずなんだけど、死体がないから調べようがないみたいで」

「情報が運転手の目撃情報しかないからね…。しかも線路に対して垂直に寝転んでいたから自殺にしか見えないって」

「私が突き飛ばされているところを誰か見ていれば話は変わってきたとは思うんだけど…」

「亡くなったはずの私達が証言するわけにもいかないし」

「突き飛ばした人が自白したら他殺だと分かるんだけど…」


「まあ、自分が突き飛ばしたのが原因で事故が起こったって分かったら本当の事は言わないだろうな。かといって僕が証言するわけにもいかないしな。なぜ知っているのか聞かれたら答えに困るし」


花が生きていることを隠すとなるとこの事故の話は沈静化してくれた方が助かるし、自殺か他殺かをどうこう言うべきではないな。花が完全な悪者になっていることも気になるが僕1人が言ったところであまり意味もないだろうし。

たださっきの話の中に気になる点があったので僕は質問を続けた。


「死体が無くなっていることについて問題にはなってないの?」


「問題にはなっているわ。ただメディアはいじめっ子が自殺したことについてばっかり取り上げるからテレビでは一言二言言って終わりになっているわ」

「目撃証言が全く無いから捜査が全然進んでいないみたいで、情報提供を呼びかけているみたいだけど」

「病院からここまでは誰にもすれ違わずに来たから、証言はこの先も出ないと思っているわ。このまま迷宮入りして放置してくれると助かるんだけど」

「何者かが証拠を隠すために遺体を隠したと警察は思っているみたいだわ」


「それで、捜査はどこまで進んでいるかニュースで言ってた?」


「窓が開いていたことやシーツが無くなっていることから誰かがシーツにくるんで持って行ったものだとして捜査しているみたい」

「あの時は窓のことまで頭が回らなかったから開けっ放しにしていたわ。閉めていたほうが良かったかしら?」


「いや、閉めていても変わらないと思う。遺体とシーツが無くなっていることは変わらないし、鍵がかかっていたはずの窓に鍵がかかってない時点でおかしいと思われるだろうから」


花達が僕の家に来た時は3人が裸にシーツをまとっていた。病院で無くなっているシーツはこのシーツで間違いないだろう。あの時シーツは洗濯機に入れてないし気付いた時にはなくなっていたから今どこにあるのか分からない。


「そういえばあの時まとっていたシーツはどうしたんだ?」


「あのシーツなら血や土で汚れていたから金曜日の燃えるゴミの日に捨てようと思ってゴミ袋の中に入れているわ」


「それなら捨てるのはやめたほうがいいかもな。血のついたシーツをこのタイミングで捨てたら怪しまれる」


「それもそうね。とりあえず明日捨てるのはやめるわ。でもどうするのこのシーツ。こんなに汚れているシーツ使いたくないわ」


「…解決法を思いつくまでとりあえず人目につかない所に置いておくか」


花達のことをこのまま隠し通せるか少し不安を覚えるのであった。

前話でも書きましたが曜日の設定は

(水):同居生活の初日(第2話〜第10話)

(木):今ここ(第11話〜)

(金):翌日の話し合いの相談

(土):花の両親と直接会っての話し合い

です。

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