↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

866/1334

130-9 異世界大運動会、開催

 そして運動会当日がやってきた。

 朝から日本の運動会のように花火がポンポンと鳴っている。


 鳴らしているのは、当然俺のゴーレム達だ。

 主に新撰組の面々だな。

 きっと花火の打ち上げが大好きなエリーンも、嬉々としてその中に混ざっているのに違いない。


 ここ拡張空間では雨天順延は絶対にありえないので、花火による天気の御報せなどは特に要らないのだけどね。

 アドロスの住人には、もうすっかり御馴染みな音なのだが、他所から来た人とかは馴染みのない花火の音に不思議そうな顔をしていた。


 俺が作った特殊な拡張空間内に在る会場は、アドロスの中央広場に出入り口を設置した。

 うちからはゲートで直接拡張空間へ行けるので問題はない。


 なんというか、会場は少し大きめの市町村クラスが会場にしているようなものだ。

 よくある中央公園的なシステムなのだ。

 とりあえずはポータル・ポイントというのか、入場するとまず会場の中央公園広場に出る。

 そこからグラウンドへ行くのだ。


 会場は子供用大人用と別れており、体育館などの屋内施設も作った。

 太陽光はそのまま空間の外部から十分な量を取り入れているため、自然光が降り注ぐ自然な感じの空間は、とても作り物の空間とは思えない。

 日焼けが嫌な人は日傘や日焼け止めなどが必要だ。


 王都からもゲートで繋がれており、物見遊山で来る人も多い。

 外国人観光客も大勢来ている。

 大陸外からやってきている人なんかもいるので、一日だけしかやられないこのイベントは見逃さない構えのようだ。


 宣伝は十分にしておいた。

 うちの子供達が描いた絵でポスターも作り、街中に張ってもらってあるし。

 それは王都の各所にも配布されている。

 日本で言えば、市役所の企画で市内の小学生からイベント用のポスターを募集するようなもんだな。


 屋台などもたくさん並んでおり、さっそく腹ごしらえをしている人もいる。

 そちらを巡るのに熱中していて腹ごしらえだけで終わりそうな人もいるのだが、それはまあいつもの事だ。


 この世界で初めて大々的にやられる新しい行事だという事なので参加したがる人も多い。

 トレーニングウエアの類はかなり安めに販売されており、地下帝国の連中にも無料配布されている。


 この異世界の人間が、日本のトレパンや短パンに身を包んで運動会に望む姿は、なんとなく笑える。

 この世界に来たばかりの頃には、とても信じられなかっただろう光景だ。

 元々運動会なんていうものは、幼稚園の庭で少人数の子供達とやっていただけだったからな。


「ちわーす」


 織原が彼女を連れて遊びに来た。

 ちょっと浮かない顔なのは、この手の体育会系の催しが苦手だからだろうか。


 まあ何が悲しくて、休日に彼女と一緒に異世界の大運動会に出ないといけないのか。

 だが別に俺が強要したわけではない。

 あいつの彼女の方が来たがるのだから、あれはどうしようもない。


「こんにちは~。

 異世界の大運動会!

 凄いですねー」


 異世界大好きっ子である西田ちゃんは、大張り切りでやる気満々だ。

 両肩にプリティラットを侍らせて、手にはプリティドッグのチビを抱えている。


「ウオン!」


 挨拶してくれているのは、井上隆裕探検隊の特別参加メンバーであるグレートデンのアキレスだ。

 千切れんばかりに振られた尻尾が、その気持ちを代弁している。

 だって仕方が無いじゃないか。

 うちの御義母様が『犬の部』をやれって言うんだから。


 そして当然そうなると、こいつの出番だった。


「あははは。

 園長先生、御招きどうも~」


 だいぶ日本語が上達したジョゼが挨拶してくれる。

 他の犬達も尻尾を振りながら軽く吼えた。


 血統書付きのコンクールクラスの犬が百匹以上いるから実に壮観な眺めだ。

 皆、目をキラキラさせている。

 屋外で大好きな御主人様と一緒に新しい御遊びをするんだからな。


 犬神様フェルドと、キメルとフェメラもいる。

 キメルは本来猫なのだが、犬の血も半分引いているので当然の参加だ。


 あと、物見高い奴らも当然の事ながらいる。

 ジョニーの奴は何故か人型のトレパン姿で張り切っている。


 来賓として、ジョニーの兄貴であるケモミミハイムのシュテルン公爵夫妻もやってきていた。

 こちらはちゃんと犬の姿で、御夫婦でうちの御義母様の腕の中に収まっていらっしゃる。

 いいけど、その扱いは他国の公爵に対して失礼っていうもんじゃないのか?


 さすがに騎士団長のケインズも苦笑いしている。

 だが抱かれている本人達は、いかにも自然体といった有様なのだが。


 まあ放っておこう。

 相手は、ゆるゆるケモミミハイム王国の公爵なんだしな。

 第一、あそこの王様自体が孫(レミ)の手を引いて張り切っているのだ。


 爺様ってば、いい歳をしてランニングシャツと短パン姿なんだが、すげえ体をしていやがる。

 以前は御腹が出ていたような気がしたのだが、あれはフェイクだったらしい。

 なんというか、全体の線自体はスリムで細いのだが、鍛え上げた固そうな筋肉がはち切れそうだ。


 いつもは、ゆったりとした服装で体の線が出ないようにしているようなのだ。

 これも相手を油断させるためなのだろうか。

 爺だとばかり思って馬鹿にしていると痛い目に遭うってか。

 相変わらず食えない爺だな。


 そして何故かウサギどもまでいた。


「初めに言っておくが、ベルーナ。

 本日はウサギの部などはないからな」


「いいよ、一般の部で」

「一般か……」


 まあいいかな。

 もふもふ大運動会という事でさ。

 一緒に競技する奴が災難だが、別にオリンピック選手を決めるわけじゃない。


 格闘ウサギが二百羽もいると壮観だ。

 こいつらは、へたな魔物よりも手強いからな。

 Fランク冒険者では相手にもならないだろう。


「あっ、こらこら。

 ベルーナ、今日は勝負を仕掛けるのは止めさせてやってくれ」


 既にウサギにぶっとばされている被害者が出始めていたので、慌てて止めさせる。

 四天王や帝王アレクは賢いのでいいのだが、他の奴らは面倒を起こしていた。

 何故、他の奴らまで連れてきたんだよ。

 まあ数を頼みにするシーンも少なくない運動会だからなんだろうけど。


 いかんな。

 もう最近は、このウサギどもとかがいても極々普通に感じてしまう。

 俺も、だいぶ異世界に毒されているようだ。

 生憎とあのウサギは地球産なのだが。

 しかし、これだけの数がいると、もうウサギの部を作ってもいいようなもんだな。


 久し振りにエルミアの子供達も来ていた。

 最初に、あの辺境にあった街から王都へ行く時は随分遠くに感じたものだ。

 自前の足で走って旅をしていたりしたしなあ。


 ゲートの魔法があるので、この子達も今は比較的気楽に来れるのだが、あの子達も忙しいのだ。

 かなりの量の教材をうちから送りつけているし、将来への展望もある。

 皆、夢を追いかけて頑張っているのだ。


 ダニエルも、もうすっかり教師役が板についている。

 エルミアの教会も、俺が異世界に来たばかりの頃とは訳が違う。

 建物も大規模修繕を施され、子供達も立派な格好をして、ボランティアの人も大勢来てくれている。


 神父様の奥さんは子供が出来たらしく、もう御腹が大きいそうだ。

 御祝いの品は、既に素敵ラッピングと共に送られている。

 奥さんの親父さんも、毎日娘のところに顔出しをしているようだ。


 親父さんの商会はアルフォンス商会のエルミア代理店みたいなものなので、今は商売の方もすこぶる順調だ。

 あれだけ結婚に反対していたのに、今では神父様とも凄く仲がいい。


 エルミアの子供達も、親とも頼む優しい神父様がそうしているのを見て、新しい家族が生まれてくるのを大変楽しみにしているようだ。


 そして彼らもいつか立派に巣立って家庭を築くのだ。

 一応、それに関してはアルフォンス商会からの支援も予定しており、それは全部親父さんに一任してある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。