125-18 地下帝国発足
とりあえずは、今までに作った奴を一通り引っ張り出してきた。
デパートの屋上で使っていたようなライド物(十円入れると動く奴)とか、遊園地で使う遊具などだ。
一般の遊具も置こう。
それだと只の公園設備になってしまうが、まあ無料には違いない。
日本で探すと、その手の昔に使っていたものが、捨てるのが忍びなくて結構売りに出されていた。
その志し、確かにこの俺様が頂いた。
ネットオークションに出ていれば、ズバっと御布施代わりの高値を付けて一撃でかっさらった。
その手の物が置いてある倉庫は、俺自らトラックで乗り付けて急襲し、札束に物を言わせて貰い受けてきた。
それらの古物達も俺の再生スキルにかかれば、あのアル・グランド騎士団のように鮮やかに時を越えて蘇るぜ。
後は自前の魔物ライドの出番だ。
よくあるポニーの乗馬なんかの感覚で、ここの魔物にやらせてみる。
魔物の衣装も裁縫グループの子にやらせてみた。
ただでさえユニークな容姿の魔物達が更に可愛くなったのでチビ達が大喜びだ。
更に定番のパターゴルフなんかもやってみる。
コースの設営はプロの庭師であるドライアド達に資料を渡して任せた。
そして工作コーナーの出番だ。
廃品をリサイクルなどして、物の大切さも教えよう。
日本の、うちの街にあるクリーンセンターは、そういう部分も中々のものなのだ。
そこの職員さんを異世界へ招待して、少し御指導を願うのもいいかもしれない。
金に物を言わせて集めた地球からの発掘品や購入品や俺の情熱などを潤沢に注ぎ込まれて、多くの無料アトラクションを展開したゾーンが完成した。
テーマパークの杮落としの式典には、国王陛下もいらしてくれた。
多くの地下帝国の者が見守る中、彼の御言葉が齎された。
「皆の者、大変済まなかった。
王国が至らなくて、お前達にも大層な苦労をかけてしまったのう。
だが、当時は王国も大変な状態であった。
心がゆき届かない部分も多々あったのじゃ。
許せ。
そしてこれからは、皆でここ地下帝国を盛り上げておくれ。
無論、お前達には王国市民としての正式な資格を与えよう。
よいな、アルフォンス」
俺はにっこりと笑顔を添えて、王族仕様の裏地が金色となる黒マントの端を持った手を翻し、ゆっくりと大きく儀礼的な礼をして返事に代えた。
多くの地下帝国市民が、涙を浮かべてそれを見定めた。
彼らは、もう日陰者ではないのだ。
王都アルバにさえ普通に入る事を許されるだろう。
泣いている者達もいた。
そして笑っている者も。
だが笑っている者も次第に涙を溢れさせ、泣いている者もまた笑みも浮かべながら、やっぱり泣いているのであった。
参列していたのは、アルバトロス国王夫妻・同王太子夫妻・その他全王子王女に、日頃忙しい宰相までいる。
既に嫁いだメリーヌ元第一王女と、うちのカミさんもいる。
ハイドの国王と俺が並んで、そしてここのために自らが精魂込めて製作した数々の品物を提供してくれたエルドア王国の国王夫妻もその隣に立って優しげに、その様子を見守ってくれているのであった。
壮大な来賓を迎えて、「アンダーグラウンド・オブ・アドロス(アドロス地下帝国)」は正式にアルバトロス王国国王陛下の名において発足したのであった。
(どうだい、龍神大和。
俺はこの異世界でも、あんたの龍王を立派に務めているんだぜ。
まあ、せいぜい楽しんでくれよな。
この先も生きている限り、あんた達を退屈させるつもりはないのだからな。
オマケ野郎のアエラグリスタなんかは、ただのついでなのさ!)
「ささっ、陛下。
いや義父上。
まずは、これからどうぞ。
おばはん、是非あんたも。
こいつは俺の最高傑作なんだぜ!」
そう言ってまず勧めたのは、もちろん俺の作ったトロッコだ。
三コースまとめての、文字通りのフルコースだぜ。
「もう、あんたって子は。
最近、私の扱いが雑というか軽過ぎるのじゃありませんこと?」
あーあ、子ときたもんだぜ。
確かに義理の親子ではあるのだが。
「よく言うぜ~。
陛下が御仕事をしている時でも、あんたはいつだってやりたい放題じゃないかー」
「こう見えても、そう出来るようになるまでには結構苦労したのですよ!」
「へー、どれくらいかかったの?」
「うーん、嫁いで一週間くらいかしら」
駄目だ、このおばはん。
本気でアカン。
それを聞いて、陛下と宰相は笑ってしまっているが。
まあ、この人が睨みを利かしているので、この文官肌の国王でも謗られたり軽んじられたりはしないのだが。
この二人、実にバランスの取れたいい夫婦だな。
まあ、うちだって「マジで魔王アルフォンスを止められるのは嫁のチョップだけ」とか言われているのだが。
俺の本気は全長五十メートルのゴン太にだって止められない。
バルドスの爺ならば、どうだろうか。
そういや、バルドスの昔の武勇伝は特に聞いた事がない。
心得だけなら、武芸百般どころか武芸万般くらいありそうだけど。
あの船橋武と組んでアルバトロス王国の建国にも大きく関わったのだから、半端ない力の持ち主であるのは確かなのだが、日頃はもう腹芸一本の爺さんだからな。
俺のような寿命の短い人族の若造なんかじゃ、あの域には生きている間に到底辿り着けん。
そして園内移動用の列車だ。
これも無料運行だ。
おっさん達のアイデアで作られている、のほほんとした感じが、またなんともいえない味を出していた。
何故お猿の機関車とかではなく、ハードゲイのようなスタイルをした「おっさん列車」なのかが意味不明なのだが。
それに無料の御茶や果実水のサービスも行なった。
ジュースではなく果実水だ。
果物風味の只の水だな。
確かにタダ、無料なんだけど。
こういう物は日本でもペットボトルで売られていて大人気だった。
さっぱりしていて美味しいので俺もよく買って飲んでいた。
でもまあ充分に美味しいよ。
うちの子も喜んで飲んでいた。
王都の孤児院の子供達なども、随時招待していく予定だ。
これ自体はアドロスの遊園地でもやった企画なのだが、ここでは色々と貧しい一般の子供達も優遇されるのだ。
ハッと気が付くと、子供姿の精霊が子供達の手を引いて走り回っていた。
杮落としのイベントで、もう子供招待企画を始めているのだ。
この世界の子供達に、精霊と、地球の龍神大和も含めた両世界の神々からの加護があらん事を。
もちろん、金持ち向けの特別有料企画も満載だ。
無料企画を始めたんだから、頂くところからはしっかりと頂いておかないとな。
今日はバラック料理店なども、御試し企画としての開店だ。
日頃慣れ親しんだ雰囲気と趣が違うので、招待された貴族なども興味津々といった感じだ。
そこにはエルフ製、しかも日頃はあまり御目にかかれないような、エルフの里謹製の品で溢れているのだ。
やはりそこは、一目でわかるほどの趣の違いがある。
俺からの招待を受けるクラスの貴族ともなれば、その違いをあっさりと理解してくれることだろう。
英国王室・デンマーク王室・日本の皇室などの各御用達のように、違う国々で各国の最高の職人の手によって作られた品は、同じ分野の物でも決して同じじゃないみたいなものだ。
うちの王族達も日本から持ち込んだ調度の上で、並んで寛いでいる。
この人達は物の価値がわかる人達だからな。
シド国王は、野趣溢れるドワーフ製のセットを選んだようだ。
さすが海賊王だけの事はあるな。
親方達も自分が納めた丈夫な椅子に座っている。
どうも、他の軟な椅子だと心許ないようだ。
この地下帝国UOA、アンダーグラウンド・オブ・アドロスの船出は上々のようだった。
今後も俺の管轄で、この地下帝国に住み着いていた不遇な人々のような案件が無きよう、俺も精進して心を配るとするか。
地球の龍神大和や、この世界で俺と関わった神々なども、きっとそう願ってくれることだろう。
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