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62-5 トラップ砂漠と虫の海

 アドロス裏ダンジョン地下三十九階。

 そこは巨大な御砂場だった。


 砂漠ではない。

 ケモミミ園にあるのと同じような砂場のでっかい奴だ。

 ケモミミを揺らす、でっかい御砂場に夢中な子供達の幻視が見えた。

 ハッと気が付くとファルだけでなくゴーレム達が全員で御砂場遊びに興じていた。


 御丁寧な事に、またあちらこちらに遊び道具がおいてあった。

 やれやれ、うちのパーティはこの手のトラップに一番弱いな。

 タイムアウトで裏ダンジョンから叩き出されそうだ。

 なんと悪辣な。


 だがファルがあまりに楽しそうにしているので、俺も一緒に遊ぶ事にした。


 そして土方に砂をかけまくったので追いかけられていた沖田ちゃんが何かを踏んだ。

 カチリっと軽めの音がして、軽い爆発音及び炎と共に黒煙と砂煙が上がった。


 そこには頭から砂を被って憮然とする土方と、あははははとポニテを揺らしながら明るい笑い声を上げる、同じく砂まみれで若干焦げ加減の沖田ちゃんがいた。


 ここは御砂場じゃなかった。

 地雷原だったわ。

 今時の厄介な中身が宙へ飛び出すタイプとは違って、単に踏んだらアウトという古典的な奴だ。


 ちょっと自衛隊豊川駐屯地の施設科地雷除去部隊(俺の日本の家がある地区を担当)を呼んできてもいいかな。

 あの繋がったロケット弾みたいに一気に道を切り開いてくれる奴で片づけてもらうか。

 あんな物は、すぐ弾切れになりそうだけど。


 地雷処理なんて結局は、あれこれ間に合わなくて人海戦術の手作業になっちまう事が多いんだよな。

 山のようにばら撒かないと意味を為さないし。


 ケモナーな俺的には、訓練を受けて地雷の居場所を探知して教えてくれる賢い大型のアフリカネズミみたいな動物と一緒に作業するのが好みだ。

 あれと一緒に探すのが一番効率的らしい。

 ネズミ系の生き物だから、すぐに増えてくれそうだし。

 その代わり寿命は大変短そうだけど。

 

 アドミンめ、また俺の頭の中から、こういう余計な代物を作りやがったのか。

 個人的に地雷は、ジャングルや未舗装路に置くのが好みかな。


「御館様、どういたしましょう。

 ここは某の漢探知で参りましょうか」


 気合充分な近藤が指をボキボキと鳴らす。


 うん、それでもいいけどさ。

 せっかくのアドミンからの御誘いなんだ。

 俺も遊ばせてもらおう。


「ここは俺にやらせてくれ」


 俺はファルを真理に預けた。

 レインボーファルスは生物であり、また生物とはいえないような存在なのだ。

 物理的には、少々の事ではダメージを食らわないようだ。

 むしろ青鰭蜥蜴のように精神的な物の方がダメージは大きいだろう。


 真理は魔法が使えない場所でも魔素がない場所でも問題なく存在できる。

 さすが錬金魔王謹製だけの事はある。

 周囲に魔素が無くても、自身の残存魔力と魔力バッテリーがあれば充分活動できるのだ。

 通常空間であるならば、魔素から魔力を生み出す魔力コンバーターも搭載しているみたいだし。


 それに地雷を食らっても自分自身の体(魔法)が防御してくれる。

 俺謹製のベスマギル・バテリーも、元々は彼女のために開発された物なので大量に持たせてあるし。

 こういう状況では、うちの面子では一番防御力が高いのではないだろうか。


 ここでは俺も探知魔法が使えない。

 というわけなので、御大に任せる事にした。


「じゃあ、イコマ。後はよろしくな」


 この後、どうするかって?

 俺はただ何も考えずに歩くだけだ。

 無数に埋められた地雷の只中を。


 それだけでいいのだ。

 あいつに任せたのだから。


 これは恐らく地球時代にもやれたはずの芸当だ。

 さすがに何の防御的恩恵もない生身の体で試したいとは思わないけどな。


 もちろん、地雷を踏んだところで今の俺の体はチャチな地雷にはビクともしないが、そういう問題ではない。


【踏んだら負け】


 きっと、そういうルールなのだ。

 というか俺が勝手にそう決めた。

 あるいは、ここの主が。


「お前ら。絶対に俺の足跡を踏み外すなよ」


 そして俺は水のペットボトルを片手に約一時間ほど砂漠の道程を歩き通して、四十階への入り口に辿り着いた。

 たぶん地雷ギリギリのところも歩いてきたのではないかと思うが、一応は踏まずに来れた。

 途中でファルが砂場で遊びたがってしょうがないので、おやつを与えて宥めながら。


 最後まで地雷は踏まなかったので、なんとなく勝った気分で次の階層に臨んだが、今度は「虫の海」だった。


 さすがに、ちょっとキモイ。

 トレジャーハンター物や冒険物の映画では定番のコースだな。

 どうでもいいけど、俺の記憶から罠を製作するのは止めて欲しいな。


 最初は竹馬を使ってみたのだが、これではあまりにのろい。

 というわけで出してみたのがホッピングだった。

 無数に続く小さな虫の海を、そいつに乗って飛びぬけていく。


 ファルが自分でやりたがったが、さすがにそれをやるにはまだちっこいので俺が肩車して飛んだ。

 この態勢で飛び過ぎると、ファルが頭から天井に突っ込みそうでヤバいから慎重に行った。

 だがファルは大はしゃぎであった。


 チラっと真理の方を見たが、かなり嫌そうな顔をしていた。

 着地の時に虫を踏みつける嫌な感触が耐えがたいらしい。

 何気に精神的にはデリケートな魔導ホムンクルス。


 俺も昔はよく工場内でフォークリフトを走らせながらコオロギとかを踏んだけど、あのパシンっと潰れる嫌な感じはよく覚えている。

 俺だって虫を踏むのは嫌なんだけど、直接足で踏んで歩くよりはマシだ。

 さすがにホッピングしながらで、真理を御姫様抱っこするのは無理だな。


 ゴーレム連中は、これも楽しんでいた。

 高さ五~六メートルの狭い洞窟内で、くるくるとアクロバット・ジャンプを堪能している。


 ベル君は何か必死な感じで飛んでいる。

 たかがホッピングと言えども、この面子についていくには体力的に厳しいものがあるんだろう。

 まあ、彼の事は鍛えようと思っていたところだから丁度いいかな。

 ここではリジェネレートによる回復も敵によって封じられている。

 頑張れ、若者よ。


 そして俺達はなんとか無事に虫の海を渡りきった。

 とりあえずは御茶の時間にする。

 もうベル君が限界のようだから。


「ひゃあ、参りました~。

 何か、地味に嫌がらせされているような気がしませんか?」


 間違いなくその通りなのだが、これはアレだな。

「あの兄ちゃん穴だぜー。狙っていけ-」的な話なんだろうか。


 俺なら間違いなくそうするがな。

 誰だ、俺とアドミンは考えが似ているとか言う奴は。


ダンジョンクライシス日本、たくさん読んでいただけたので、何故か「おっさんキャンプ」の方まで活況となり、久々にランキングでも顔を見かけました。

ありがとうございます。


そういえば、書籍版でとんでもないミスがあったのを確認しました。

見て、ちょっと頭抱えてしまいました。

「もちろん」が「もろちん」になっていたとかではないので、ご安心のほどを。

そういうのを実際にやった作家さんがいるらしいので。

ワードを使っていると、ありうるミスです~。


ツギクルさんのサイトで、口絵が公開されております(試し読みつき)

ツイッターのところです。


『おっさんのリメイク冒険日記~オートキャンプから始まる異世界満喫ライフ~』をアニメイト様、とらのあな様にてご購入いただくと、サイン入り書下ろしSSリーフレットがもらえます!

アニメイト:『ダーチョパーティ』(エリーンネタ)

とらのあな:『エリちゃんの美容室』

です!

 https://twitter.com/tugikuru


ダンジョンクライシス日本

http://ncode.syosetu.com/n8186eb/

こちらもよろしくお願いいたします。


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