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孤独な魔王様と 神々の愛し子  作者: にくきぅ


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19/22

19__〔愛し子〕の産まれた場所

新たな登場人物が現れます。 いえ、前回 ちらりと登場したんですけどね。

今回は、ちゃんと名前が出ます(笑)


では、どうぞ。


___視点:遊撃部隊 隊長 - レン___


オレは レン。 東の魔国で、遊撃部隊を纏めてる。

何人かいる部隊長の 1人で、この魔国の幹部だ。

当然、地位的には偉い立場で 責任あるポジションなんだけど、オレ自身は 威張るのも権力を振り翳(かざ)すのも好きじゃない。

そもそも 性に合わないし、何撰(なによ)り 似合わない。

そんな訳で、肩肘張った様な部下と上司の付き合いなんざ しちゃいない。

実際、部下になった連中からも 他の部隊の連中からも、気兼ねなく談(はな)し掛けられる。

オレ自身は、それで いいと惟(おも)ってる。

でも、でも(・・)、だ。

扉を開けて声を掛けた途端 最大級の攻撃魔法を ぶっ放されて、壁に激突したオレを放置したままにしていい訳じゃない。

大体、そんな態度 オレが相手じゃなくたって やっちゃダメだろ?

況(ま)してや、オレの前で踏ん反り皈(かえ)って 見下してていい理由(わけ)がない。

「それで、何だったんです?」

扉を背に 廊下で仁王立ちになってるのは、リクって名前の 鬼畜な冷血漢だ。

灰色の髪に 淡い 翠(みどり)色の睛(め)をしてる。

身長は 185センチ、骨格からして細身で 如何(いか)にも文官って感じの男だ。

見た感じ 20代-半ばくらいの好青年、って感じだけど 中身は啻(ただ)の鬼畜だ。

そして、4時間前 オレを吹っ飛ばした張本人だ。

「それが 人をブッ飛ばして廊下の壁に減(め)り込ませたまま放置して寝こけてた奴が最初に掛ける一言か⁈ 少しは心配しろよ! んで、その前に土下座して詫びろ! 謝り倒せ!! でも、まずは侑(たす)けろ!」

「喧(うるさ)いですね、死ななかったんだから いいでしょう?」

なに その言い草ァ! 開き直りにしても酷すぎないか⁉︎

オレじゃなかったら死んでるからなっ、あの攻撃!

手加減の手(・)の字もなかったじゃんよ!

而(しか)も、言ってる顔に『何で死ななかったんだ』って 堂々と書いてあんだよ!

匿(かく)せよっ、せめて! そう云う事は!

「それ、やった奴が 踏ん反り皈(かえ)りながら言っていい科白(セリフ)じゃないからなっ⁉︎ 」

「相変わらず 貴方は呶(やかま)しいですね。そして、どうでもいい事を気にし佚(す)ぎですよ。 それより、何の用だったんです?」

「しれっと譚(はなし)を乖(そ)らそうとすんな!」

「貴方が 私の睡眠の邪魔をしようとしたから制裁したまでです。気にする程の事じゃありません。 それで、用件は何です?」

はァ? 緊急だったから 寝ちまう前に報告しようと急いだんだぞ⁉︎

なのに、気にする事じゃない だァア⁈

お前、報告を後回しにしたら 絶対 怒るじゃんかよ!

なのに、何で オレが悪い事になってんの⁈

「何これ? オレが悪いの? 何か そんな流れになってるけど、オレ 悪くないよね?」

「全面的に貴方が悪いに決まっているでしょう? そんな事で悩むなど、頭まで悪い様ですね。ご愁傷様です、早く死ねば痊(なお)ると惟(おも)いますよ。何でしたら、お手伝いしましょう」

「何それ、戮(ころ)す気-満々じゃん⁈ 第一『手伝う』なんて要らないからなっ⁉︎ 」

ノリで『試しに〜』なんて言ったら最期。

リクの事だ、喜々として オレを戮(ころ)しかねない。

「遠慮は要りません、ちゃんと塋(はか)も建てて差し上げますよ? 気が向いたら」

「それ、建てる気ないって事だよね? 死んだら討ち捨てる気じゃね?」

「失礼ですね、建てて差し上げますよ。ポチの塋(はか)」

「誰が『ポチ』だ!」

「では『クロ』の……… 」

「『クロ』って誰だよ⁉︎ 黒くねェよ! 第一、何で ペットの王道みたいな名前の塋(はか)に入れようとしてんだよ!! 」

「塋(はか)を建てた上に、素敵な名前まで彫ってやると言っているんです。饐(むせ)び泣いて喜びなさい。寧(むし)ろ、貴方の様な駄犬には 勿体莫(もったいな)いくらいでしょう?」

「なっ⁈ 」

駄犬⁈ 駄犬って何だ⁉︎ 犬とか言うなっ!

オレは狼の獣人だ! 間違っても犬じゃねェ!!

後、オレは白狼であって 黒狼でもねェ!

『ポチ』は 未(ま)だしも『クロ』って書かれたら、オレの塋(はか)か どうかも判らないじゃんかよっ。

いや! ポチだって やなんだけど! 有り得ないんだけど!!

「大体『レン』などと彫ったら、参る攸(どころ)か 塋(はか)毎 吹き飛ばしたくなってしまうじゃないですか」

「オレ、お前に何かしたかァ⁈ 」

「存在しているだけで目障りなんです」

なに それーーーェェ………。

本当に 何かしたかァ? オレ、こいつに嫌われる憶えないんだけど。

そもそも、出会い頭から険悪な態度をされたから 何が原因(・・・・)とか判らないんだけど。

「もうやだ、こいつゥ」

関係改善の兆しは見えないし、心当たりがないから 改善しようもないし。

後、オレ まだ壁に減(め)り込んだままなんだけど。

援(たす)け出してくれたりは…………うん、しないな。

うん、有り得ないだろうな。

脱力するオレに対して、リクは 安定的な鬼畜っぷりだった。

「絶望したなら、とっとと生きるのを諦めなさい。そして、死ぬ前に さっさと要件を言いなさい」

死ぬ事-前提なんだ……オレ、遊撃部隊の隊長なんだけどなァ。

いや、ロキ様がいれば 侵入者だって勝手に逃げ出してくれるから 問題ないんだろうけどさ。

だけど、そんなに簡単に死ぬつもりないんだけどなァ。

あ、これって 戮(ころ)されるって譚(はなし)か? 勿論、リクに。


《 うっわー、痛そーーう。考えただけで 倒れそーーう。》


リクの事だから手加減なんかしてくれないだろうし、あっさり死なせてくれないだろうし。

寧(むし)ろ、すんごくイイ笑顔で惨殺されそうだ。

痛そうだなァ。


《 よし、もしも(・・・)の時は 全力で逃げよう。》


取り敢(あ)えず、報告だけはしとくか。

まァ、どうせ 事後報告だしな。

急いだって、もう どうにもならないんだから、いっか。

そう惟(おも)いながら、リクを見た。

あ、改めて言っとくけど オレは壁に減(め)り込んだままだ。

「 ––––––––––––見廻りの序(つい)でに 森の外も見て廻ってたら、焼けてたぞ、あの邨(むら)」

オレは、4時間前に言おうとしてた報告をした。

途端に、リクの表情が変わる。

「何故 それを早く言わないんです!」

怒号を飛ばすと同時に、リクは 廊下を走り去って往(い)った。

オレを壁から救出する事も、追撃を加える事もしない。

そんな暇も惜しいらしく、あっと云う間に見えなくなった。

手短に オレを罵倒しただけだった。

「何それ! オレのせい⁈ 」

オレ、悪くないよねっ? 悪くないよね⁉︎

報告しようとしたのに聴かなかったの あいつじゃん!

なのに、何で怒られなきゃいけないんだ⁈

「理不尽だーーーァ!! 」

オレは、リクの部屋の前の 廊下の壁に五体を食い込ませた状態だ。

首も動かせないままで叫ぶしかなかった。

オレの叫びは、虚(むな)しく 廊下に木霊(こだま)した。


《 出来ないかな、同僚に因(よ)る『不条理(イジメ)-被害者の会』とか。》


絶対 入るのになァ。




   ▽   ▽   ▽   ▽   ▽




___視点:東の魔王の側近 - リク___


魔王城を飛び出したリクは、東の魔国を包んでいる広大な樹海の外にまで出ていた。

樹海の外には 草原が拡がり、遠くに 小さな邨(むら)がある。

その筈だった。

「 –––––––––––––………… 」

この世界は 魔物が多く生息しており、人間達は 城塞(かべ)の中に国や街を築いていた。

この邨(むら)も 多分に漏れず、その周囲を 高い壁で蔽(おお)っていた。

尤(もっと)も、この邨(むら)の場合は 丸太の杭を聯(つら)ねた様な壁だ。

差し詰め、堅牢そうな柵と云った攸(ところ)か。

盗賊などは防げるだろうが、通常 魔物には有効とは言えない造りだった。

しかし、この邨(むら)は 魔物に襲われた事がない。

東の魔国の傍(そば)に在(あ)った為だ。

代々 勍(つよ)い魔王を擁していた東の魔国の周辺には、魔物の出現が尠(すくな)いのだ。

国外とは云え、その影響力は絶大なのだ。

故に、木材などと云う 魔物に対しては脆弱な壁であっても、邨(むら)は襲撃される事なく存続出来た。

だが、その邨(むら)は もうない。


《 人間とは、浅ましい事をするモノですね。》


リクが竚(た)っているのは、邨(むら)の入口だ。

小さくはない邨(むら)だったが、中に立ち入らなくとも 此処で綜(すべ)てが見通せた。

周辺には、木材や生物が燃やされた匂いが充満していた。

見渡す視界には、黒く焼け残った残骸だけが映っている。

「生存者は、いないでしょうね」

ぽつり と、リクが呟いた。

此処は、シシィが産まれた邨(むら)だった。

野生動物や 弱小な魔物に、こんな事は出来ない。

事故なのか 故意なのか、人間に起因する出火としか惟(おも)えない。

更に云えば、これ程 綺麗に全焼しているとなれば、故意である以外はない。

その事が良く判る焼け具合だった。


《 手を下したのは、誰でしょうね。》


何が原因で この邨(むら)の惨劇が繰り広げられたのか、その事に考えを繞(めぐ)らせる。

まず 惟(おも)い當(あ)たったのは、シシィの存在だった。

神々の〔愛し子〕の存在は、他の国でも察知していただろう。

寧(むし)ろ、大きな教会を擁する国ならば、神託と云う形で察知していても可妙(おか)しくはない。


《 そんな国の使者が、この邨(むら)へやって来て〔愛し子〕の処遇を知ったら……。》


神々への冒涜だと言って この惨劇に繋がる事は、容易に想像が付く。

邨(むら)の住人の綜(すべ)てを惨殺した上で、油を撒き 火を放つ。

この臭気の中に含まれる生物-以外の異臭は それだろう、と見当を付ける。

他にも 幾つかの理由を惟(おも)い付いたが、最重要候補は 揺るがなかった。


《 調査は……ミゥにさせましょうか。》


諜報部隊の中から この任務に適した者を惟(おも)い泛(う)かべ、リクは踵(きびす)を皈(かえ)した。

レンは、前回 登場した途端 リクの魔法で吹っ飛ばされたカワイソウな人でした。

1ヶ月近い時間がかかって、漸く 彼の名前と待遇の悪さを書けました(笑)

一体 どうしてリクに嫌われているのか、それを書く日は来るのでしょうか……。


まぁ、本編には関係ないので 書かなくてもいいでしょう。

レンは、きっと逞しく生きていけるから 知らなくても たぶん大丈夫ですねっ。

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