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第三章 12話 厄災の終焉 前編


ガリエルは、巨大空間全体をゆっくりと見回した。


停止した神代機兵。


歪んだ領域。


そして――


異常なまでに膨れ上がったザリエルの力。


静かな視線が、最後にザリエルへ向けられる。


「で……この状況をご説明いただきましょうか?」


「なぜ、神代機兵がここにあるのかを?」


「…………?!」


ザリエルの表情が、僅かに歪む。


「まだ……そんな余裕があるのか……なぜだっ?」


だが次の瞬間。


その顔へ、怒気が浮かび上がった。


「俺は、昔からあんたが気に食わなかった」


「俺を、ずっと見下していた……」


「それを、今日、精算する!!」


黒い雷光が、空間へ迸る。


だが――


「私が聞いた事の……」


「説明になっていないようですが?」


ガリエルは、淡々としていた。


まるで感情が動いていない。


その温度差に。


サマエルが、小さくため息をつく。


「頭はいいけど……理解力は、ないのよね……」


と、いいながら……サマエルが突然に、おきあがった


かなり小声だった言葉だが


ガリエルには、しっかり聞こえていたらしい。


「サマエルさん……何か言いたい事でも?」


少しだけ。


ほんの少しだけ、ムッとしている。


「いえ……何も……」


サマエルは、肩をすくめた。


「なぜ……お前が動ける……」

「拘束したはずだぞっ……?」


ザリエルは、目を見開いた


「ああ……紋章の状態を見れば、誰でもわかる事ですよ?」


「とっくに、対策はしておきました……」

と、サマエルは微笑んだ


「ただ、何をするつもりなのかが……よく、わからなかったので……様子見を……」


「でも……意外な行動では、ありませんでしたね?」


その瞬間――


「くっ……くそっ、なんなんだ……どいつも、こいつも!」


ザリエルの力が、また一気に跳ね上がる。


バチバチバチッ!!


黒い雷光が、全身を駆け抜けた。


直後――


《ジャジメント・ガーデン》そのものが、脈動を始める。


ドクン……


ドクン……


まるで、生き物の心臓のようだった。


停止していた神代機兵達の瞳が、再び赤く点灯する。


ギギギギ……


巨大な機体達が、ゆっくりと動き始めた。


「なっ……!?」


サマエルの表情が変わる。


「ガリエルの停止命令を……上書きした!?」


空間が軋む。


重力が歪む。


黒い粒子が、暴風のように吹き荒れた。


そして――


ザリエルの背後に、巨大な漆黒の光輪が浮かび上がる。


それは、まるで巨大な“災厄の門”だった。


「今の俺は……天界ですら止められん」


その時だった。


――ザリエルの脳内で、異様な“会議”が始まった。


『どういう事だザリエル!』

『説明せよ!』


『急に我々との接点を繋ぐなど……危険すぎる行為だぞ!』


複数の声が響く。


老人のような声。


冷たい声。


怒気を孕んだ声。


その全てが、異様な圧を放っていた。


『お許しを……元老院元首様』


ザリエルは、内心で静かに頭を下げる。


『しかし、今は千載一遇のチャンスなのです』


『今でしたら……元老院様方のお力をお借りすれば、全てに決着をつける事ができます』


『ぜひ、お力添えを!!』


わずかな沈黙。


そして――


『使っておきながら、何を言っておる』


低い声が響いた。


『始めた以上は……完全にやり遂げよ』


その言葉を最後に。


脳内会議は、唐突に終了した。


「フッ……」


ザリエルの口元に、余裕の笑みが浮かぶ。


その全身から放たれる圧力は、先ほどまでとは比較にならなかった。


神代機兵達が、一斉に跪く。


まるで、新たな支配者へ服従するように。


ザリエルは――


圧倒的な力を手に入れたのだった。


だが。


ガリエルは、そんな光景を静かに見つめていた。


「すみません……」


「神代機兵は、皆さんにお任せしてよろしいでしょうか?」


「私は、弟と話がありますので」


「皆さんって……誰と誰を指してるんです?」


サマエルが、嫌そうな顔で確認する。


「それは、皆さんでご確認してください」


「では――」


次の瞬間。


ガリエルの身体が、ふわりと浮かび上がった。


それを追うように。


ザリエルも空中へ浮上する。


二人の存在だけで、空間が軋んでいた。


(本当……勝手なんだから……)


サマエルは、深いため息をつく。


――そして、3人は……迫り来る、神代機兵に対峙した




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