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第三章 11話 厄災の昇華


(セレグ……なんか気がついたら、私、後方支援に回っているんですけど?)


「そのようだな……まあ、ゆっくりしててくれ」

「今回は、簡単にはエネルギー切れには、ならなそうだ」


(ふっ……じゃあ、任せるわ!なんかまだ眠いし)


周りに存在する圧を気にせず、眠る気満々のエリカだった……


しかし、その時そこに別の圧が加わってきた


――ゾワッ……


巨大空間そのものが、震えた。


空気が変わる。


先ほどまでの、

ザリエルによる重圧とは明らかに違う。


もっと静かで。


もっと冷たく。


そして――絶対的。


神代機兵達が、一斉に動きを止めた。


ギギ……


ギギギ……


まるで、上位存在の気配を察知したように。


「……あ?」


ザリエルが、僅かに眉をひそめる。


その瞬間。


巨大空間の上空に、白い亀裂が走った。


ピシィッ――!!


空間そのものが割れる。


そこから、無数の白い羽根が舞い落ちた。


光だった。


神々しいほどの白光が、空間全体を包み込んでゆく。


「えっ……まぶしっ……」


安祐美が目を細める。


そして――


ゆっくりと。


亀裂の奥から、一人の存在が降り立った。


純白の長衣。


黄金にも見える淡い光輪。


静かな瞳。


感情を感じさせない、美しすぎる顔立ち。


その姿は、もはや“人”ではない。


まるで――


神話そのもの。


「うわっ……ガリエルだっ!」


サマエルの表情が、嫌そうな顔に変わる


その名を聞いた瞬間。


周囲の神代機兵達が、一斉に跪いた。


空間に、絶対的な静寂が降りる。


そして。


天界最高位の天使長は――


静かに、ザリエルを見下ろした。


「……随分と、好き勝手をしているようですね」


穏やかな声だった。


だが、その一言だけで。


巨大空間の圧力が、さらに増大した。


ギギ……


ギギギ……


周囲の神代機兵達が、小刻みに震え始める。


先ほどまで無機質に動いていた兵士達が、まるで“恐怖”を感じているかのようだった。


そして次の瞬間――


カシュン……


カシュン……


神代機兵達の赤い瞳が、一斉に消灯した。


「えっ……?」


安祐美が、困惑した声を漏らす。


「止まった……?」


「違います……」

サマエルの表情は険しかった。


「あれは、“待機命令”です……」


「上位権限による、強制停止……」


その言葉に。


安祐美の顔が、少し引きつった。


「なにそれ……怖っ……」


一方。


ザリエルだけは、跪いていなかった。


「相変わらずだな……兄貴!」


ザリエルは、肩をすくめながら笑う。


だが。


その額には、わずかに汗が浮かんでいた。


それを見て――


サマエルの目が、僅かに細くなる。


「……珍しい」


「ザリエルさんが、そんな顔をするなんて……」


「誤解するな」


ザリエルは、笑みを崩さない。


「ただ……少し面倒な人が来たと思っただけだ」


その瞬間――


サマエルの胸元の紋章が、淡く光った。


「……えっ?」


サマエルが、僅かに目を見開く。


次の瞬間だった。


「うっ?!……」


――サマエルの身体が、唐突に崩れ落ちた。


「ふふっ……すまないが、サマエルの身柄は預からせてもらう」


「万が一の保険だったのだが……今、使うことにしょう」


そして、サマエルの体がフワリと無抵抗に漂い……ザリエルの側へ辿り着いた


「兄貴……すまないが、無駄な抵抗はやめてもらおう」


「……なるほど……」


「サマエルに戻しておいた紋章に、細工をしておいたと……言う事ですか?」


初めて。


感情のないはずの天使長が、僅かに興味を示した。


「では次に……ダメ押しさせてもらう」


と、つぶやくと……ザリエルのチカラが、唐突に膨れ上がった……


それは……もはや……世界をゆるがせる程のパワーを持っていた。


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