第三章 6話 厄災の始まり
今日のエリカのカオス室は、少し静かだった
なぜならば……安祐美と山地が、仕事でいなかったから
室は、エリカとエル(サマエル)だけだったが、エリカは、すでにぐっすりと寝ていた
サマエルは、少し微笑みながら、イヤホンで音楽を聴いているようだった
そこへ、音もなくドアが開いて……セルが顔を覗かせる
(サマエル様……ちょっと、宜しいでしようか?)
こそこそと、念話で話しかけてきた
(なんでしょう……?)
サマエルは、いかにも嫌そうな顔をして答えた
(……あの、ちょっと大事なお話しがあるのですが?)
(申し訳ございませんが……ちょっと、外へ来ていただけないでしょうか?)
いかにも、済まなそうな顔で囁いた
(ええっ……いま、忙しいんですけど……)おそらく、音楽を楽しんでいるだけ……
(…………?!)セルは、ちょっと考えて
(申し訳ございません……あまり、お手間はおかけしませんので……)
と、すでに土下座をしていそうな、悲壮感のある顔でささやいた
(はあ〜〜っ……しょうがないですね……)
サマエルは仕方なく、セルと一緒に室を出ていった
『………………?!』
セレグは少し気になったが、エリカを起こすのも気の毒だから、見送る事にした
そして、サマエルとセルは、建物の屋上へ来ていた
セルは姿が見えない為に、はたからみれば、サマエルが一人でたたずんでいた
「でっ……セルさん、なんですか?」
「私、今、音楽とやらを楽しんでいましたのに?」
「はっ……すみません……」
「実は、さるお方から……この様なものをお預かり致しまして……」
セルは、ペンダントの様な……紋章の様なものをみせた
「あっ……それは、私のですね!」
「どこで、これを……?」
「それは、お答え頂けませんでした……」
「ただ、お返しするようにと……」
サマエルは、その紋章をマジマジと見つめ……そして、怪しげな微笑みをもらした
「ありがとう、ございます……」
「これは、天使長補佐の認知紋章なのですよ!」
「最近、見かけないな……とは、思っていたんですけどね……」
(えっ……認知紋章って、それがなかったら、天使長補佐をクビになるのでは?)
セルは、一瞬、アングリと口をあけた……
そして、気を取り直して
「それは、よろしゅうございました……」
「まあ……ザリエルさんには、お礼を言っといて下さい!」サマエルは、怪しげに微笑んだ
「えっ……ど、どおして、それを?」
「まあ……勘です!」
「でも……よく、返してくれたものですね……」
サマエルは、少し首をかしげた
「でっ、では……わたくしは、これで……」
セルは、飛んでゆこうとしたが……サマエルに止められた
「あっ……こちらにいたければ、別にいてもいいですよ?」
「えっ……お邪魔なのでは?」
「別に、そこまで意地悪じゃありませんよ!」
サマエルは、セルのほっぺを両側から引っ張った
「ふっ……ふみまへん!」
セルは、複雑な顔をして笑った……
「でも……余計な事は、言わない様にして下さいね!」
と、ウインクをした
セルは、愛想笑いをしながらも、背筋がゾッとした




