拝啓、おじさん、おばさん、いかがお過ごしでしょうか。俺は元気にやってます
こんにちは。おじさん、おばさん。この手紙が届くことはないでしょう、というよりこの手紙が届くということは俺が帰還しているということなので、渡すこともないのでしょうが。
何となく、日記代わりにもなるだろうということで、手紙を書いてみることとしました。
改めまして、おじさん、おばさん、お久しぶりです。二人の義理の息子のソウジです。
今は認定勇者をやってます。
認定勇者って何かって? どういうことかって?
話せば長くなります。とにかく―――
俺はわけの分からない異世界なんぞに降り立って、そこでならず者集団に拾われ、ワイルドライフに染まり、魔法や戦い方、この世界で生き抜く術を身につけ、冒険者活動にも精を出して頭角を現し、そして王国の王様に見初められて認定勇者となった。
―――ざっくり話すとそんな感じです。
ちなみに認定勇者というのは、いわゆる仮免というやつに近いでしょうか。
あるいは勇者としての修行中、つまり研修生?
世の中にお披露目するにはちと早いということで、まだ国民向けの大々的な発表はしていませんが、内々では勇者の認定式は済ませているので、勇者として王国側は自由に使えるという、向こうにとって何とも都合の良い駒のような立ち位置です。ちなみに、滅茶苦茶ブラックです。正直、今のお仕事が自分には合ってないんじゃないかなって思ってます。
けれどもこれをやらないと、どうやら王国のこわ~い部分が、つまりあの怖い王様率いる王国陣営の魔の手が、俺と、そして俺の大切な人達に何をするか分かったものじゃないので。
そうとはっきり言われたわけではないですが、とにかく色々なものを人質に取られているような状態で、日々を過ごしています。
そう、この世界で俺を拾ってくれた傭兵団が、実は密かにピンチなのです。だから俺は大切にしたい。
この世界で俺を拾ってくれた傭兵団の方々には、もはや頭が上がりませんし。
今でこそ勇者認定されるくらいクソ強い俺ですが、この世界に降り立った当初は、竜の風圧に煽られ谷底に落っこちるという、物語の雑魚キャラもびっくりの三下ぶりを発揮していました。
正直、俺はあの時に死んでいてもおかしくはなかった。
あるいは、アレで生き残っていたとしても、その後の展開ではおそらくきっと、死を迎えていたでしょう。
その辺の魔物にも苦戦するへっぴり腰、あと、身体がなぜかガキの頃のそれにまで縮んでいたこともあり、当初は本当に俺は無力だったのです。
そんな俺を拾い、養いつつ、この世界で生き抜く力をじっくり育ててくれた―――それが、今の俺の傭兵団。第二の故郷というわけですね。
帰還が遅れて申し訳ありません。俺もかなり頑張ってはいるつもりですが、どうにも上手くいかないことも多いのです。なるはやで帰りたい。
それと、どうにも最近、巷ではきな臭い話もちらほら聞くので、色々な心配もありますし。
あと、王国付近では滅多に意識することはありませんが、どうやらこの世界では、人間は魔族とかいう存在と戦争状態にあるようですし。
………まあ、色々不安はあるのですが、とにかく今のところ、俺は元気にやってます。
だからどうか、おじさん、おばさん、二人ともお元気で。
きっと、いや、絶対に帰りますから。待っていてください。
二人の義理の息子 ソウジより




