モンスター乱入! 巨大魔獣グリフォンを狩れ!(3)
ヒュンッ
『―――』
ヒーミルが放った鋭い一矢を、空中のグリフォンは難なく躱して見せた。
やはりグリフォンの敏捷性の前では人間の道具による攻撃など命中すらさせてもらえないらしい。
あの怪鳥、図体はデカいくせに、あの素早さ。どこまでもファンタジーだが、今の状況ではどこか呪わしい事実。
『ギュエエエエエエ―――』
フリフォンが唸り、再び地上急襲の構えを取った。
先程はヤツがエレンを襲おうとしたところ、俺の【土の槍】で妨害してやったばかりだが、今度はヒーミルを狙おうとしている。また同じ技で阻まれるとは考えていない? いや、攻撃が通じるまで同じ戦法を貫くつもりか。知能があるのか無いのか分からない。
とにかく、向こうがヒーミルに対して狙いを絞ったのはこちらにとって都合が良い。
『ギュゥッ―――――』
グリフォンが高く短い声を出し、ヒーミルに向かって急降下。先程と同じ動きだ。
「そらきたッ!」
ヒーミルは待ってましたとばかり、その場からバックステップを踏んで大きく遠ざかる。
空中のグリフォンはあっという間に地上に接近していたが、ヒーミルの急な移動に対応すべく、地上すれすれだというのに姿勢を制御し、軌道を変えた。
そりゃあ、そんな曲芸もできるだろう。ずば抜けた反射神経を持ち、姿勢制御も神がかっているからな。
だから、そんなグリフォンが、地上すれすれを低空飛行してヒーミルを追いかけた、その一瞬が狙い目だった。
「そこッ! いっけぇぇぇぇ―――ッ!」
ヒーミルがいつの間にか地上に投げ捨てていた、小さな花火のような爆弾が、小さく爆発。
パシパシと散る火花に合わせて、ほんのわずかな時間差で、ドドドンッ、とこの辺りが揺れるような爆発が起き、水柱ならぬ砂柱が、空高く上がった。
『ギュッ!?』
一瞬、グリフォンが驚いたように見えたが、おそらくは魔法でもないのに爆発が起きたためだろう。
魔法の兆候は分かっても、人の道具などは分からないようだ。
『ギュォォ………』
「やった!」
ヒーミルが顔に喜色を浮かべる気持ちも分かる。ヒーミルが仕掛けた地雷は、グリフォンの両脚及び腹部、翼の一部から血を流させるほどの大ダメージ。深手を負わせることに成功したからだ。
『ギュエェ、ギュエェ………………』
グリフォンが遠くの地面に落下し、砂ぼこりの中から悲痛な叫び声を上げていた。
あのような声を聞いてしまうと可哀想という気持ちにもさせられるものだが………生憎と、世界は弱肉強食だ。それに、先に襲ってきたそちらが悪い。
煙が晴れたら、あのグリフォンにとどめを刺すとしよう。
そう、考えた時だ。
ポゥン―――
「「「!?」」」
俺も、エレンも、ヒーミルだって驚いた。
だって、砂ぼこりの向こうにかすかに見えたあの緑色の光は、回復魔法行使の証だ。
砂ぼこりが晴れた、その向こうには―――。
『ギュエエエエェェェェェェエッ!』
全快した、巨大魔獣グリフォンが、大きな翼を優雅に広げて、空に飛び上がるところだった。
『ギュウゥェエエエエエエエエエッ!』
怒り心頭といった様子のグリフォンが、空高くからこちらを見下ろしている。睨んでいる。
「嘘だろ」
「どうしよう、ソウジっ……!」
「バカなっ!? グリフォンは回復魔法まで使うのかい!?」
俺も、エレンも、ヒーミルも驚いていた。
『ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「「「――ッ!?」」」
ビリビリと、大気を揺らすほどのここ一番の大きな咆哮に、俺達は持っていた武器だのを取り落として両耳を塞いだ。
「クッ……ソ、が!」
まさかの第二ラウンド、開始である。




