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銀世界の執行者  作者: 亀丸
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災禍を招く獣

文字数気にせず書いていたら、また長くなりました



 


  -突如街に訪れた、招かれざる2組の客-


 -彼らの存在が混乱をもたらすは必然-


 -彼らの交錯する思惑が求めるものは何なのか-


 -そんなことは分からない、知ろうとも思わない-


 -ただ、少年達は抗う。大切な時間を-


 -日常という『幸せ』を守るために-




「今日は何も起きてないか…、魔力も落ち着いてるな…。」


  珍しく、本当に久しぶりに、自然に目を覚ました竜武は、起き上がって部屋を見回した。


  最近は魔皇化の影響で魔力が乱れ、朝起きると部屋全体が凍りついているといったこともあったのだが、今日は何ともなかった。


(どういう事だ?まだ完全に制御できた訳じゃねえし…でも魔力は落ち着いてる。考えられるきっかけとすると、昨日の戦闘しか…)


  制御に苦労していた魔力が突然安定した理由を考え始めたところで、竜武の耳に聞き慣れた声が響いてきた。


「たつむー、起きてるー?…って起きてるわけないか〜。」


  自分で言っておいてありえないと首を振りながらドアを開けた雹華は、ベッドの上で不機嫌そうにこちらを睨んでいる竜武の姿を視界に収めた途端、驚愕に目を見開いた。


「おいコラ、人を珍獣を見つけたみたいな目で見んじゃねえよ。…目を背けんな!」


  竜武はどうしてそんな目で見られなければいけないのかと憤慨した。


「有り得ない、竜武が自分で起きるなんてそんなこと有り得ちゃいけない。絶対どっか悪いんだわ。早く病院に……」


「全部聞こえてんだよ!俺は病気じゃねえ!というか、俺が自分で目を覚ますことがあってもいいだろ…。」


 自分が自力で起きたことを、病気の兆候のように扱われ不機嫌になる竜武。確かにそれは当然だ。普通の人間なら、だが。


  「ここ数年毎日私に起こしてもらってた人の口から出てくる言葉とは思えないけどね〜。そこんとこどうなのかしら?」


「ぐっ…、言い返す言葉もございません…。そのことに関しては感謝してもしきれないというか…。」


  そう、彼は普通の人ではない。


  彼は朝にものすごく弱い。その上起こしてくれる幼馴染みがいるのに甘んじているせいで、それが酷くなってしまっていた。

  その結果、中学から今に至るまで自力で起きた回数は指で数えられる程しかない、という究極のダメ人間が爆誕してしまったのだ。

 

  …まあ、起こしてくれるのが物凄い美人である点で学校ではとても羨ましがられているが、当の本人たちにその認識はなく、周りの評価に揃って首を傾げているのだが。


「それに……毎日起こすのは私の仕事っていうか…寝顔が見れるから意外と気に入ってたっていうか……。」


  竜武が感謝の言葉を述べている間も雹華の言葉は続いていた。が、しかし、お互いの声が被っていたことと、雹華の声がどんどん小さくなっていったことから、竜武の耳にその声が届くことはなかった。



 -----------


  「…ねえ、2人ともどうしたの?随分硬い感じだけど、喧嘩でもした?」


  登校していつものメンバーで集まって喋っていると、真涼がふと疑問を口にした。


「あっ、やっぱりお前も気になってたか。そうだよな、なんか今災禍呼ぶ獣(キャスパリーグ)日すごいギクシャクしてるよなこの2人。」


  どこかいつもと違う雰囲気の2人に疑問を持っていたのは嘉弥斗も同じなようで、2人して、じーっと竜武と雹華の方を見つめた。


「いやっ、なんもないって!なあ?」


「そ、そうよ。何もないよ!…朝から恥ずかしいこと言っちゃって気まずいなんて、そんなことある訳……」


 上手く言い訳しようとして、2人とも動揺を隠すことが全然出来ていなかった。


「は?恥ずかしいことって何だよ?」


「〜〜っ!?何でもないわよ!……もう!」


  竜武が身に覚えのない内容に引っかかり、何のことか分からないといった表情で雹華に尋ねると、雹華は不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。


(何よ!聞こえてなかったなら、さっきまでの私の心配はなんだったのよ!)

 

  自分の心配が無駄だったことへの苛つきや、竜武が話を聞いていてくれなかった(あくまで雹華の認識だが)ことへの怒りなどが湧いてきて、どんどん不機嫌になる雹華。

  しかし、雹華が不機嫌になっている理由に心当たりがない竜武はどうすることも出来ず、ただ困惑するしかなかった。


  そんな2人の光景に、嘉弥斗と真涼は顔を見合わせて肩を竦め、そのまま微笑ましげに眺めるのだった。…まあ、先程の疑問について後で追及することを忘れてはいなかったのだが。


「ふあぁ〜〜。…………あれ?みんなどうしたの?」


  …時雨は、途中から寝ていたようで、机から体を起こし大きな伸びと欠伸をして眠たそうに瞼を擦っていた。その後、4人の顔を見回すと、不思議そうに首を傾げるのだった。




 ----


  昼休みになり、生徒達は各々昼食をとり始めた。学食や他の教室などで食べる者もいるため、教室は比較的に空いた状態になる。

  竜武達は教室に残り、空いた席を勝手に使って昼飯を食べながら雑談をしていた。


「そういえばさ〜、昨日夜中に揺れなかった?」


「え?昨日地震なんてあったっけ?」


  突然時雨が話し始めたが、昨日は地震が起きた覚えのない真涼は首を傾げた。


「そうじゃないよー。急にどわーって魔力が膨れ上がったでしょ〜。今朝のニュースにも出てたし、空気がビリビリして凄かったんだから。」


「「!?」」


  話の内容が昨日の一連の騒動のことだと分かった竜武と雹華は互いに顔を見合せた。


「……なあ、これって…」


「…うん。間違いなく、昨日の夜の事だと思う…。」


  2人は、他の人間に気づかれないように小声で確認し合う。


「ああ、あれね。急に来たから私もびっくりした。あの規模の魔力暴発なんてなかなか無いんじゃない?」


  真涼や時雨は、混住区域で偶に起きる工場の魔力炉の暴走か何かだと思っているようだ。


「でもよー、魔力の反応があったとこの近くにそんなに大きな魔力炉を使ってる工場は無かったって話だぜ?」


「そうなんだよね〜。…もしかして誰か喧嘩して、その時に魔術をぶっぱなしたとか?」


「かもね。だとしても規模が異常だったけど…。実は誰か有名人が来てんじゃないの?」


  時雨や真涼の答えが徐々に真実に近づいていき、このままじゃバレると気が気ではない竜武と雹華だったが、ちょうどいいタイミングで昼休みの終わりの予鈴が鳴りそれぞれ席に戻っていった。


「はぁ〜〜。…ったく、こういう時の時雨の勘は恐ろしいぜ…。」


  竜武は3人が離れたのを確認して、安堵のため息をついた。


「そうね…。普段ボーっとしてるけど、真面目にやり始めると頭すごい冴えるし。さっきのも流石に驚いたわ。」


「本人はあれを冗談のつもりで言ってるのかもしれねえけど、聞いてるこっちはヒヤヒヤしっぱなしだっての。」


  普段の学校生活の中ではぼんやりとしていることが多い時雨だが、急に鋭いことを言って皆をドキッとさせることがある。

  そのまま答えに辿り着く時もそこで終わる時もあるが、今回は後者だったので助かったというのが竜武たちの今の心境だった。


  昼休みを終え次の授業のために廊下を移動しているとき、それは突然起こった。


「グルゥ、グガァァァァ〜!!」


  突如響き渡る獣の唸り声。それにより校内では悲鳴があちこちで上がった。唸り声は街の工場地帯の一角、昨日の夜竜武たちがワーデンと交戦した場所にほど近い所から聞こえてきている。

  そのことに気付いた竜武と雹華は顔色を失った。


「おいおい、まじかよ!?」


「竜武!そんなことより行かなきゃ!」


「おい!行くってどこにだよ!?」


「…まさか、あそこに?流石に危ないよ、それに授業はどうするの?」


  唸り声のする場所に向かおうとする2人に嘉弥斗と時雨が慌てて声をかけるが、竜武と雹華はそのまま近くの空き教室の窓から外に飛び出し走っていった。


「悪い!教師には適当に理由作って早退したって言っといてくれ!」


「ほんとごめん!今度今日の分で何か奢るから!」


  片手をあげて返事をする竜武と、こちらを振り返り両手を合わせてから走っていく雹華。

  嘉弥斗と時雨と真涼はそんな2人の後ろ姿をただ見送ることしか出来なかった。


(((ええ〜〜!?どうするのこれ?)))


 ーーーーー


  唸り声のしている工場地帯に辿り着いた竜武と雹華を待っていたのは信じられない光景だった。

 

「なにが起きてんだよ…?」


「嘘でしょ…。こんなことって…」


  まず視界に飛び込んできたのは、派手に壊されたいくつもの工場の残骸。そして…


「…なんじゃこりゃ?」


「これは、猫…?でもこんなサイズは…」


  それは猫であった。しかし、そこらの猫より何倍も大きく、なにより、体から魔力を放っているという点で彼らの知る猫からはかけ離れていたのだが。


「ある程度の段階まで来ているとは踏んでいたがまさかここまで進んでいるとは…。予想外だったな。」


「呑気に構えてるからこういう事になるんですよ。だからさっさと終わらせて帰りましょうって言ったのに、何にも聞いてくれやしない。」


  突然後ろから聞こえてきた会話に驚き、竜武と雹華は慌てて後ろを振り向いた。


「なっ!?オルド・ワーデン、お前なんでここに!?」


「随分な挨拶だな少年。そちらのお嬢さんも昨夜ぶりか?」


「あなた、なぜここに?あの獣のことを知っているようでしたが。」


「それはなぁ、私が元々追っていたものなのだから知っていて当然だろう。知りたいのか?」


「ああ。あれは何だ?」


「あれは《災禍呼ぶ獣(キャスパリーグ)》。はるか昔伝承の時代から存在し続ける化猫さ。」


「「〜〜〜っ!?」」


  伝説級の怪物であることを知った2人はしばらく言葉を失った。



  化猫が暴れ続ける中、太陽は真上から竜武たちを照らしている。




 

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fgoレクイエムコラボ今から楽しみです



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