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しばらくすると、ギィ青年の腕の中ではしゃいでいたアリッサが、うつらうつらとし始めた。
「おねむの様じゃな。寝かせてやれ」
センガ老人がそう言うと、ギィは座っていた縁側からゆっくり立ち上がって部屋の中に戻り、そこに置いてあるゆりかごの中に、アリッサをそうっと横たえた。
「あら、ちょうど寝付いた所?」
その時、廊下側から部屋に入って来たヴェレが、赤ん坊を起こさぬ様に小さな声で、中の二人に聞く。
センガとギィは無言の笑顔で、ヴェレに頷いて見せた。
抜き足差し足でヴェレがゆりかごに近づき、その後から、四歳になるヴェレの息子のリーガがひょこっと現れ、母親の真似をしてこっそりとついて来る。
二人はゆりかごの上から、すやすやと眠るアリッサを眺めた。
と、アリッサは、ぱちっ、と目を開けて、自分を覗きこんで微笑んでいる親子の顔を確認し、その内の一人がリーガだと気付くや、急に上機嫌になり、そちらへ手をのばす。
「あらあら、起きちゃったわね。寝ていてもリーガのいる気配が分かるのかしら。リーガ、手は洗った?」
「あらったよ。アリッサ、あくしゅ」
そう言ってリーガが差し出した手を、アリッサは嬉しそうにはっしとつかむ。
「もうかなり、リーガは懐かれておる様じゃな」
センガがその様子を見ながら、微笑ましそうに言う。
「ええ、すっかり気に入られたみたいで。リーガ、あまり興奮させちゃだめよ。アリッサちゃん、寝付いた所だったんだから」
「じゃあ、アリッサ。ねーんね」
リーガがそう言うと、アリッサは急に力が抜けた様になり、目をとろんとさせた。まだ起きてリーガと遊んでいたいという気持ちと睡眠への欲求との葛藤が続いていたが、やがてリーガの手を離し、アリッサは再びすやすやと眠りに付いた。
「これで、アリッサはしばらくおきないよ」
リーガはそう言って手を引っ込めた。
「魔法の様じゃのう。恐れ入った。全国の若い母親が泣いて羨む能力じゃな」
センガが心底感心した様に言う。




