↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 外伝 ~昔々、山奥の道場で~  作者: 真宵 駆
◆第一章◆ 仙人の眠る場所

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/634

◆24◆

 興奮状態のヴェレを何とか落ち着かせてから、クリスはヴォーンに相談し、ヴォーンは道場に来ていたセンガ老人にこの件を丸投げした。


 そんな訳で、センガは居間でヴェレとちゃぶ台を挟んで話し合う事になった。


「事情は大体分かった。じゃがのう、男が一度大望を抱いて決心したからには、相当の覚悟があっての事じゃ。説得するのは容易な事ではないぞ」


 落ち着き払ったセンガに対し、


「じゃあ、私と子供はどうなるんですか。その大望とやらには妻子を捨てるだけの価値があるんですか。そんなの勝手過ぎるじゃないですか。夫を返して下さい、今すぐ」


 ヴェレが猛然と食って掛かる。

 

「返せも何も、まだここへ来とらん。まあ、お聞きなされ。男が熱狂的な何かに取り憑かれて、家族の忠告を聞かずに暴走するなんてのは、世間じゃ良くある話じゃ。熱が冷めん内は、何を言っても無駄じゃ。ま、これは男に限った事でなく、周囲の反対を押し切って恋愛結婚に持ち込もうとする、若い娘さんにも良く見られる現象じゃがの」


「クリス、このおじいさんに、私とザントの結婚の経緯を教えたの?」


 ヴェレはきょとんとして、少し離れて見ていたクリスに問い質した。


「教えてないわ」


 クリスは首を横に振る。


「はっはっは、お前さん自身がやらかしておったか。似た者夫婦じゃのう。そんな時は反対されればされる程強情になる、と、自分でも分かるじゃろ」


「それはそれ、これはこれです。純粋で一途な女の決心と、男の身勝手な一時の妄想を一緒にしないでください」


「同じ物じゃよ。自分にとって利となるか害となるか、それだけの違いじゃ。まあ、そういきり立ちなさんな。旦那とて、妻子の事は気に掛かっておる筈じゃ。そこに問題解決のカギがある。どうじゃ、旦那をしばらくここに入門させてみては?」


「私はそれを阻止する為にここに来たんです!」


「目的が達成されない内は、旦那の熱は冷めんぞ。じゃが一度入門してしまえば、時が経つにつれ、今度はお前さんや子供の事を思い出す様になる。それによって当初の熱も冷めていき、色々と考えた末、やがて妥協に至る。『武芸は趣味として続けていけば良い。まずは妻子の事を考えなければ』とかの」


「入門してどの位で妥協に至るんです?」


「それは分からん。早くて一ヶ月、長くて数年」


「それじゃ困ります。何とか三日位で妥協してください」


「お前の旦那の決意はプレハブ小屋並か」


 センガは呆れた様に言う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。