◆21◆
お披露目会が始まって十分も経たない内に、クリス・スルーは、好奇心の塊と化したおばさん達に四方を囲まれ、尋問の集中砲火を浴びていた。
しばらくして、上機嫌であちこちの席を飲み回って話をしていたセンガ老人が、ふらふらとした足取りでそこに辿り着き、おばさん包囲網越しに声を掛ける。
「これこれ、初日から手加減無しか。クリスさん、気を付けなされ。このお嬢さん方は、秘密警察の取り調べより怖いぞ」
「あらあら、おじいさん、もう酔っ払っちゃったみたいねえ。こんな優しいお姉さん達をつかまえて、怖いだなんて」
おばさん達の一人が言い返す。
「はっはっは、ワシャ、まだまだ酔っとらん。それはともかく、自分で自分の事を『優しい』なんて言う奴は信用できんわい」
「そうね、酔っ払いが自分の事を『酔ってない』と言い張る様なものかしら」
「はっはっは、こいつはやられたのう。流石のワシも口では女に勝てん。ま、クリスさんや、体調が悪くなったら、無理せんで休んでええからの」
「ありがとうございます、センガさん。でも大丈夫です。皆さんが色々と気を遣ってくれていますし、最近はとても体調が良くて」
そう言って、クリスは幸せそうに微笑んだ。
実際、無理をしている様子もなく、その笑顔に不吉さを感じさせるものは、何一つ表れていない。
「そうよ、それより自分の事を心配した方がいいわよ、おじいさん。これ何本に見える?」
おばさん達の一人が、右手の指を二本立ててセンガに見せる。
「馬鹿にしおって。片手で指を六本も立てる奴があるか」
「誰か、ギィ君呼んで来て。おじいさんが危険な領域に突入したわ」




