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フェイタル・ゲート  作者: 神城 奏翔
第一章 決意の書
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Chapter11 ーもうひとりの秘密ー


 背後からの急襲に気付けなかったボクの胸から剣が突き出ており、剣の先を見てみると目が狂っていながらも、奥底では助けてと叫んでいるプレイヤーの姿があった。


 彼らもまた、何者かによって操られているのだ。

 本当は自分と同じプレイヤーを手に掛けるのは嫌なんだ。だけど、操作され、まったく抵抗出来ない。


 彼らも被害者なんだーー。


「リンっ!!」

「リンちゃん!」


 呼ばれた方向に視界を動かすと、そこにはサツキとアスカがいた。

 勝手に怒り、勝手にダンジョンに入って、勝手に死にかけているのに二人はボクを心配していた。


 いくら死にかけとはいえ、忠告を無視してダンジョンに向かい、生死の境目を彷徨っているのだから、当然の報いだと思っていればいいのに。


「……だいじょうぶだから」


 サツキやアスカ、レイン、それに被害を受けたレッドプレイヤー。

 この場にいる全員に聞こえるか聞こえないかわからないぐらい小さな声で呟く。


「ほんとうにだいじょうぶだから、しんぱい……しないで」


 リンの意識が遠ざかっていく。多数の色により彩られていた世界は、その色をなくしていき最終的には真っ白になっていった。


「……私がなんとかしてあげるから」


 意識をなくしたリンの代わりに現れたのはリンと瓜二つの人間。

 力がまだ不十分なリンを護るさながら騎士のようだった。力ないリンが死ねば自らも死ぬからなのか、リンを護ろうとする理由がわからない。

 彼女の思惑が精神が同化しているリンにすらわかっていない。

 ただ一つだけわかることと言えば。


 今の彼女はリンを護るためなら戦ってくれる味方ということだけ。


「リンちゃん……?」

「違う。あれはリンだけど、リンじゃない。もう一人の方だ」

 レインの問い掛けに平然と言葉を返すサツキ。しかし、彼はリンを護ることが出来なかったことを後悔していた。


 もう一人のリンに頼まれたことをろくに果たせていない。それが、とても歯痒くて。おまけにリンを自分の手の届く距離に引き止めておこうとする保守的な思考。

 その考え方は一見、正解とも言えるが不正解とも言える。


 自分が伸ばせる範囲に引き止め、接近して来た敵を滅ぼせばいい。ただし、護る対象が抜け出さなければだが。

 リンが黙って抜け出した理由は、強くなり一人でもやっていけることを証明したかったから。それが出来ないと頭ごなしに否定したのは誰だ? 成長する機会をなくしたのは誰だ?

 自分が成長するきっかけを奪い、リンの意思を否定するような行為をしたのは自分だ。

 もし、次の機会を与えてくれるのであれば、次こそは頑張ってリンの意思を尊重させなければと思ったサツキだった。


「あ、傷が治っていく」


 サツキが自分の間違いを実感していた頃、アスカはリンを真剣に見続け異変はないだろうか、治療は必要かどうかを考えていたのだが、もう一人のリンが現れた瞬間に傷がなくなり普通の状態になるのがわかる。


 まさに異常(イレギュラー)ーー。


「あなたは……いったい……」

「私はリンを護るとある方と誓った、このゲームのシステムだ」


 ーー自分はゲームのシステムだと豪語する少女と、巻き込まれた少女。彼女らが交わる時、この世界に何が起きるのだろうか。

 それは、誰にも予想出来ない。



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