Chapter12 ―希望を護る騎士―
「リンを護るための……ゲームシステム」
「そうだ。彼女を護ることがゲームクリアへの近道となる」
ゲームクリア。その単語に目を輝かせたサツキ達であるが、リンとゲームクリアがどうしても結びつかない彼らは頭を傾けた。
ゲームクリアする上でどうしてもリンの力が必要になるのか、リンにしかない力がまだ秘められているのかわからないが、ゲームのシステムがそう言っているのだ。似たような試練は登場するのだろう。
「……リンっ!?」
悠長に話していたリンの後ろにレッドプレイヤー達が集まりだした。侵入者がいることを知らされたのだろうか、集まって来たレッドプレイヤーの数はとても多い。
「わかっている。だが、今の私はリンじゃない」
「じゃあ、どう呼べばいいんだ」
振り向き様に敵を切り裂くリンの隙をカバーするかのように戦闘するサツキ。
彼らの剣舞はとても美しく、絵になっていた。
プレイヤーが消滅する際に発する結晶が割れて粉々に散っていくエフェクトが、彼らの剣舞を更に綺麗にする。
現にアスカとレインの二人は手を止め、二人の戦闘に惹かれていた。
「私のことは仮に、レンと呼べ。そこで突っ立っているレインという奴と少し被るが致し方ない」
「おい、お前ら! 何棒立ちしてんだ。さっさと戦え」
レンの言葉により以下二人が何もしていなかった事実に気づき、聞いた直後にサツキは声を荒げる。
「わ、わかってるよ」
「りょ、了解」
目前で行われた剣舞に魅了され、自らの動きを止めていた二人は、いきなり指摘された事実に驚愕し、焦りながら戦闘態勢を取る。
「サツキ! 『アシスト』行くぞ」
「ああ」
これまではレベルの低いプレイヤーばかりだったのだが、奥に入るに連れ、比較的にレベルの高い敵と遭遇することになる。
防御力が高い敵と対峙し、打つ術がないと思っていたときに思いついた作戦がこれだ。
『アシスト』――。それは一方が相討ち覚悟で力いっぱいの攻撃をする。相方の隙をフォロー、また攻撃により出来た敵の隙を突く連携型スキル。
サツキ達もレッドプレイヤーを倒していくうちに会得したスキルなので、まだ安定して使えてはいないが、今でも様にはなっていた。
「はぁーーっ!」
レンの下段からの攻撃を防御したレッドプレイヤー。だがしかし、思っていた以上に威力が込もっていた攻撃を受けて両者共に跳ね返されてしまう。その隙を補うようにサツキは行動し、衝撃を受けて後ろに下がったレンと入れ替わり敵を斬る。
一度、攻撃が入ってしまえばこちらのもの。と言わんばかりに連続で攻撃を仕掛ける。
このチャンスを逃したくないレン達は、決定打をサツキに任せて彼の邪魔をされないよう近づく敵を殺していく。
「……キリがないな」
サツキの猛攻撃を視界に入れつつも雑魚の処理をしているレン達は、サツキの集中力を切らさないよう小さな声で話す。
彼女達の視界には攻撃の手を止めないサツキの姿を、その先に別空間へ飛ぶことの出来る移動結晶が置いてある。
「サツキ、レイン、アスカ! 一気にあの場所まで走り抜けるぞ」
その移動結晶がどこへ通じているかは知らない。が、ここで戦い続けていてもジリ貧になるだけだ。
だったら、少しでも別方面へ賭けてみたいと思うのはおかしくない。
「了解」
問題のサツキから返事を聞けたところで、全員一緒に移動結晶まで走りきる。後ろからレッドプレイヤーが追いかけて来るが、気にせずに抜ける。
その際にレンはあることに気づく。
レッドプレイヤー達の目が生きた人間の目と全然別物であることに。
色彩が違うといえばいいのだろうか。まったく別物だった。
(もしかして、こいつらは……)
レンが辿り着いた結論。それは考えることも出来ないものだろう。
「……ワープしたらわかる話か」
(私の予想が正しければ、この移動結晶は真の最深部に繋がっているはず)
最深部に繋がっていると予想しているのに、引き返すことを知らない自分はちょっとおかしいのだろうなと自嘲すると同時にこの体だけは護りきらないと。と決意を新たに気を引き締めるレンだった。
(私が彼女を護るんだ。私達……全プレイヤーにとって彼女は希望なのだから)




