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夜明けのゾンビ  作者: 天本一三


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4/14

9月30日

 ここ最近ニュースが多い噛みつき事件だが、今日は一気に増えて四十件になったと報道されていた。一日で四十件だ。これはどういう事だ?

 政府もさすがに問題を棚上げしておくことができなくなったのか、警察関係や保健所などに調査報告を早急に出すように求めたらしい。もし何らかの感染症なんかだったら大変なことだし、他にも薬物中毒が急に拡まっているとなっても早急に対策が必要だと説明していた。

 もしこれが感染症だったらどうなるんだろうか?またコロナの時のようにロックダウンとかになるのか?でも今のところ事件は首都圏だけのようだから、何かの違法薬物の疑いが濃厚という線で動いているらしい。確かにSNSでも海外の街中でゾンビのようになっている人々の映像が流れてくることがある。でもあの中毒者たちは動けなくなって、その場で立ち尽くしている印象がある。今回の事件のように人に噛みつくといった一貫した攻撃性はどんな薬物で起こるのだろう。

 噛みついた犯人は一様に錯乱状態らしく、それぞれ隔離して身柄を拘束されているらしい。そのため場所の確保が大変だと、インタビューに答えた警察関係者がこぼしていた。

 そういえば今日は朝の散歩中にいつも会う人に会わなかった。みんな少し警戒してるんだろうか。俺もこれからは少し気をつけたほうがいいかもしれない。でも何をどう警戒すればいいのかが分からないのが問題なんだよな。マスクとかでは意味なさそうだし。

 母さんは今日はパートを休んだようだ。季節の変わり目で体調が少し悪いらしい。こんな時こそ役に立つところを見せなければと、俺は代わりに買い物に行った。久しぶりにスーパーに来てみると、このご時世だからか平日の昼間だと言うのになんとなく閑散としていた。俺は早速肉のコーナーを見に行ってみたが、肉はあまり置いていなかった。店員に訊いてみると、朝から肉だけは良く売れているらしい。俺は仕方なく、残っていた少し高めの肉と、プウにも安めの赤身肉を買って帰ることにした。

 プウはやっぱりシニア用のご飯はお気に召さないようだ。家に帰って生の肉を小さく切ってあげてみると、美味しそうに食べてくれたので一安心だ。まあ多少食費はかかるが、小型犬一匹用の金額など知れている。それに俺も肉を食べる口実ができて、以前より少しましな食事になってるんじゃないかと思っていた。

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