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夜明けのゾンビ  作者: 天本一三


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2/14

9月6日

 今日も相変わらず寝起きがダルい。最近は起きているのか、まだ夢の中なのかわからない時間が長くなっている気がする。それでも朝起きてすぐのSNSチェックをしていると、先日少し話題になっていた噛みつき事件の被害者だった女性が、勤務先で上司の首筋に噛みついた、というニュースが流れてきた。噛みつかれた奴がまた誰かを噛むって、まるでゾンビ映画じゃんと俺は思った。

 みんなも同じように思ったようで、『えぇ…まじでゾンビ発生事件じゃないよね?』『でも感染症とかだったらヤバくない?』とざわついている。その噛みついた女性はどうやら錯乱状態にあるらしく、とりあえず警察に保護されているらしい。噛みつかれた方の上司はただ噛まれただけではなく肉を食いちぎられているようで、かなりの重傷のようだ。

 そういえばこの前の噛みつき犯はまだ捕まっていないのだろうか。そんなことをなんとなく考えていると、プウが俺の足を噛みだした。こいつはポメラニアンらしく気が大きいので、要求があるとギャウギャウ言いながら足を攻撃してくる。

「ウチの噛みつき犯は、ご飯かな?」

 俺はドッグフードと水を用意すると、プウの前に置き、「待て」と言った。

 プウはクルクル回ったあとお座りをして待っている。「ヨシ」と言うとプウは急いで食べ出したが、少し食べると首を傾げている。また少し食べて、止めてを何回か繰り返していた。プウももう十歳になってシニアになってきたので、今までのフードでは合わないのかもな、と俺は思った。

「ご飯変えてみるか?」とプウに言ってみたが、知らんふりして水を飲んでいる。

 次は俺の番だ。トーストとゆで卵、それとコーヒーが俺のいつものメニューだ。俺は食事にはあまりこだわりがなく、いつも同じものでも平気だったが、今日はなんだか物足りなく感じて、たまには肉でも食うようにしようかと思った。親父は逆に食欲が無いのか朝飯を少し残していたので、母さんが心配していた。夏バテにはまだ早いし、なんだか疲れ気味のようだ。

「あんたも最近顔色が悪いわよ」と母さんに言われた。そういえば俺もだいぶ運動不足だし、明日からは早起きして、親父の代わりにプウの散歩に行かせてもらおう。少しでも何か役に立って、このいづらさを紛らわせようと思った。

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