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チェロ・ソーニョ再び

 僕とビアンカは世界樹の麓のアルコバレーノ村へと戻って来ていた。


 ビアンカのお母さんお父さんに結婚の報告をする為だ。


「ビアンカ、とりあえず果樹園に向かおう」


「ん。分かった」


「お父さん」


 バフッとお父さんにハグをするビアンカ。


「どうした? ビアンカ?」


「ただいま」


「うん。おかえり」


「ただいま帰りました」


「うん。アルコバレーノくん、おかえり」


「あの、お父さんとお母さんにお知らせがあるのですが、お時間ありますか?」


「ああ、もう果樹園も終わりの時間だし、時間ならあるよ」


 僕らはお父さん、お母さんのお家へと向かう。


「アルコバレーノくん、顔つきが変わったねぇ」


「そうでしょうか?」


「うん。急に大人になったよ」


「そうですか……」


 僕らはお父さんお母さんの家へと着く。


「あら、おかえりなさい。あなた、ビアンカ、アルコバレーノくん」


 ビアンカが今度はお母さんにバフッと抱きついた。


「ただいま、お母さん」


「おかえりなさい、フフ」


「どうしたの、お母さん?」


「なんだかビアンカが子どもに戻ったように思えて」


「そんなことない……」


「まあ、いいのよ。思っただけだから。それよりもアルコバレーノくんは、大人っぽい顔つきになったわね」


「そうでしょうか?」


「ええ、何かお話があるんでしょ?」


「はい」


「そう。今日は頑張ってお料理しないと。ビアンカも手伝ってね」


「うん」


「ねえ、お母さん」


「なあに?」


「お貴族様は、本妻の他に側室がいるでしょう?」


「ええ、いるわね」


「もしも私がその側室になるのだったら、どうすればいいと思う?」


「ビアンカがそれでいいのなら仕方ないわね」


 ネギを刻むお母さんと、出汁を取るビアンカ。


「私は本当は戸惑ってるの。だけど好きなの」


「ビアンカ以外の本妻の方も、側室の方も、同じように不安や嫉妬を感じてるかもしれないわね」


「私と同じ気持ち?」


「あら、私にはビアンカが一番大事にされてるように見えるから、本妻の方も他の側室の方もビアンカ以上の不安を感じているのじゃないかしら?」


「そう……かな?」


「うん。アルコバレーノくんがモテるから仕方ないわね。好きになった方が負けよ」


 ※※※


「それで、アルコバレーノくん。王国の女王陛下とは何か進展があったのかい?」


 お父さんが僕のコップにビールを注ぎながら言う。


「はい、女王陛下と結婚することになりました」


「そうか、やはりね。それで、ビアンカのことはどうするんだい?」


 僕はお酒を煽る。お返しにお父さんのコップにビールを注ぐ。


「それは、お母さんとビアンカが揃ってからで」


「うん、分かった」


 お母さんとビアンカがテーブルに料理を並べていく。


 お母さんがお父さんの隣に座り、ビアンカが僕の隣に座った。


「それじゃあ、いただきます」


「「「いただきます」」」


「アルコバレーノくん、話の続きをいいかな?」


「はい」


「僕は、この女神王国領の王様となり、女神様を本妻に、ビアンカとフォルマーレ様を側室にすることになりました」


 僕は一歩下がり、お辞儀をする。


「……なので話が後になってしまいましたが、お嬢さんを僕に下さい」


 お父さんが立ち上がり、僕の前に立つ。


「アルコバレーノくん」


 お父さんが拳を握る。


 右手を振り、勢いよく僕の頬をぶん殴った。僕は、後ろへと倒れる。


「アルコバレーノくん。こんな娘だが、大事な我が家の一人娘だ。大事にしておくれ」


 僕はお父さんよりも圧倒的にレベルが高いはずなのに、その拳がとても痛かった。


 僕は立ち上がり、もう一度お辞儀をする。


「ビアンカのことは、必ず幸せにします」


 お父さんが涙を拭きながら答える。


「うん……うん。ありがとうアルコバレーノくん。それと、良かったなビアンカ。夢が叶ったな」


「……ん。うん。お父さん、ありがとう」


 お母さんが泣いていた。それを見てビアンカが泣き、お父さんが泣き出した。


「アルコバレーノくん。これからも娘共々、仲良くしてくれると助かる」


「はい。よろしくお願いします」


 僕とお父さんとお母さんそれとビアンカは、酔うまで酒を飲み、ウザ絡みしてくるビアンカと、泣き上戸のお父さんに、笑い上戸のお母さんと、みんなが眠りにつくまでお酒を飲み続けた。


 皆が寝た後、毒耐性を持ってる僕は酔えなかったので、三人に毛布をかけて、その日はお暇した。


 僕は家へと帰る途中、チェロの、弟の姿を確かに見た。その次の瞬間、僕の意識が飛んだ。


「やったのか?」


「いや、まだだ。こいつ、硬すぎる」


 エレミータのクナイが砕ける。


「まさか、ここまで来て殺れないとは言わないだろうな?」


「まあ、待て。殺し方ならいくらでもある」


 エレミータは僕を水責めにしたり、火焙りにしたり、土に埋めたりしたが、一向に死なない僕を見て慌て始める。僕は途中で覚醒していたが、意識の無いフリをしていた。


 弟のチェロが慌てだす。


「こいつ目を覚まさないだろうな?」


「象をも眠らせる毒で眠らせたんだ。そんなに早くはあり得ない」


 エレミータは自棄になってあらゆる毒を僕に打ち続けるのだった。


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