第3話転校生の歓迎会後編
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はぁ......聞いてないし、完全に油断していた。
まさかここにあの子がいるなんて……。
「2人とも早く席座った座った!」
「ほら!陽翔行こーぜ!」
まさか、こんな展開になるとは。
(あぁ……)
そう言って席に着くと、偶然か――いや、運命か――紫帆の正面に座ることになってしまった。
「それで佐藤さんってサイゼ行ったことないってホントなの!」
「はい、北海道って言っても少し田舎だったもので、こういったレストランはなかったんです」
「だから今日こうやってお誘い頂いて、すごく嬉しかったです!ありがとうございます!」
「いいよ!いいよ!」
クラスのみんなは、紫帆の上品で落ち着いた声に、少し照れたような表情を浮かべていた。
「陽翔、何か頼むか?」
一虎がメニュー表を渡してくる。
とにかく自然体で――そう自分に言い聞かせる。
「ありがとう。そうだな、ペペロンチーノと辛味チキンにしよっかな」
「あいよ! 紫帆さんは何にする?」
「そうですね、色々あって困っちゃいますね……それじゃ、カルボナーラと辛味チキン?にしてみます」
「陽翔と似てるね! 他のみんなはー?」
そうして注文がひと通り終わる。
「ごめん、少しトイレ」
「着いてってやろーか!」
「頼む、着いてこないでくれ」
一虎は笑いながら、上手く場を和ませてくれる。
……高校生って、意外と疲れるんだな。まあ、どうでもいい話をする上司の相手よりはマシか。
手を洗い、ドアを開けると――またしても紫帆が目の前にいた。
「おぉわっ! びっ、びっくりした!」
思わず声が出る。
紫帆も驚いた表情を見せたが、すぐにふっと笑った。
「ごめんなさい、私もびっくりしちゃった」
「こちらこそ、ごめん」
「陽翔くん、改めて昨日はほんとにありがとうございました。見知らぬ土地で知り合いもいない中、親切にしてくれて……陽翔くんは優しいんだね」
「いや、そんなことないですよ。日本人なら誰だって、聞かれたら答えますって」
苦笑いしながら席に戻る。
「おー! 陽翔、ご飯来てるぞー!」
トイレに行っている間に料理は揃っていた。
その後はみんなで食事と雑談を楽しみ、転校生の歓迎会は無事に幕を閉じた。
――話しているうちに、もうこんな時間か。
「それじゃ、みんな今日はお開きにしよーか! また明日学校でな!!」
一虎の声で、それぞれが自分の帰る方向へ歩き出す。
「あ、陽翔は佐藤さんを、途中まで送って行ってやりな! 途中まで一緒みたいだから!」
あいつ……! また余計なことを!
「途中までご一緒してもいいですか?」
「はい、途中まで一緒みたいなので行きましょうか」
一虎……グッ! じゃねーよ!
ウィンク顔も腹立つし……。
まあ、でも二人きりになれたのは、ある意味チャンスかもしれない。
――数分後。
気まずい!!
話したい事は山ほどあるのに、緊張しているのか全然言葉が出てこない。
「あの、陽翔さん」
「えっ」
「私ここ右なのでここまでで大丈夫です。」
結局何も聞けずに終わるのか。
「あぁ、うん。それじゃまた、」
数歩進み振り返ると......そこには紫帆の姿はなかった。
このままでいいのか……何も聞けずにせめて沙織の事だけでも、彼女の事を考えてると、自然と彼女を追いかけた。先程までの重かった足取りはそこにはなかった。
「あの!佐藤さん」
どこかやっぱり沙織と似ている雰囲気、後ろ姿、
「どうかしたんですか?」
少し驚いた顔、紫帆は首に巻いてたマフラーを口元へ持っていった。
「佐藤さんに聞きたい事があるんだ。佐藤さんのいた学校に白瀬沙織って人は居ませんでしたか?」
「白瀬沙織さんですか?」
紫帆は少し考えた表情をした。
「いいえ、私のいた学校にはその名前の方はいなかったと思います。」
あぁそうか、まぁだよな
「ありがとう!ごめんさない引き止めちゃって。」
「あの!陽翔さん」
振り返ると、紫帆は少しだけ俯きながら、言葉を選ぶように口を開いた。
「……私、雪を見ると少し寂しくなるんです。」
「え?」
「小さいころ、雪が降る日に大切な人とよく一緒に遊んでいて……。でも、もう会えない人だから……なんか、思い出しちゃって。」
紫帆はそう言うと、ふっと笑った。
「変なこと言っちゃいましたね。じゃあ、また明日。」
そう言って、紫帆は静かに歩き出した。
白い息が夜の街灯の下で消えていく。
陽翔はしばらくその背中を見つめていた。
(……やっぱり、ただの偶然じゃないのかもしれない)
彼女は俺の知らない転校生。
でも、どこかで沙織と繋がっている気がする。
胸の奥で、さっきよりも強い焦燥感が灯った。
(沙織……俺は君を絶対、見つけるから)
そう心の中でつぶやき、陽翔は雪を踏みしめて帰路についた。
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