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転生ガチャ~悪役令嬢の後日譚  作者: 帆船
第四章:再生
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【エピローグ】

 明日はヴィクトリアとクララそれに国王の学園入学式だ。


『今日の午後にはステアを出て王都に向かう予定だから』

「うん、分かった。こっちも夕方までには王都に着くようにクラッチを出るつもり」

『ところでオーリス公はどうするって?』

「忙しいみたいね。ヴィクトリアのためだけに王都に行ってる余裕がないみたい。だから私たちに頼むって」

『ん、了解。じゃあ後で』


 そう言って私は受話器を置いた。


 数年前に中村さんがついに電話を開発した。前世でスマホ動画で見た事がある黒電話。ただし電話番号を入れる事ができない。中村さんは『ピア・ツー・ピア』って言う言葉を使ってたけど、要するに糸電話と同じく直通で一対一でしかつながらない。


 これを最初はアクセルとステアで試験的につないだ。成功を確認してから、ステアとクラッチを結んだ。さらにクラッチとシフト、クラッチとペダル、クラッチとダンパーとつないでいった。


 おかげで一時期は、クラッチにある私の執務室には五台くらいの黒電話がズラーッと並ぶ状態になった。


 今は、私の執務机の上に一台の黒電話と大きめのボードが置いてある。着信があるとボードからベルの音が響き、光魔法を使ったランプがどこからの着信かを知らせてくれる。

 ベルが鳴ったら光ったランプを確認して黒電話を自分で配線してから受話器を取る形になってる。


 電話が出始めた初期の頃は、『交換手』と呼ばれるオペレータが手動で配線をしてたそうだ。それの実験を兼ねて、一番連絡先が多い私のところにこの切り替え器みたいなボードが配置されたってわけ。


 でも、交換手を使った方法には私も中村さんも二つの理由で消極的だった。


 一つ目の理由は二十四時間稼働を考えると交換手の負担が大きくなること。そして二つ目は事典で『クロスバー交換機』を見つけてしまったガラムの職人魂に火が点いたから。中村さん曰く『電磁石がどう』とか『ステップバイステップに比べて耐久性が』なんて聞いたけどチンプンカンプン。いずれにしてもこの世界では完全なオーバーテクノロジーなんでどうやって世の中に広めていくかは慎重にしないといけないんだけどね。



 翌日は学園の入学式。国王が入学するとあって警備も厳重だ。王太后陛下が保護者席にいるけど私も摂政として隣に座ってる。そのせいでクララとヴィクトリアの保護者としてはマリアが出席。


 新入生代表あいさつは当然のように国王。実は試験の成績はクララのほうが良かったんだけど大人の事情で国王が主席入学って事にしてある。王家のメンツと、魔に堕ちた元王子みたいに増長するリスクを天秤にかけた結果だ。メンツを優先したのは王太后、私はどちらかと言うと増長危惧のほうに傾いてたんだけど、国政に関する事じゃなくてたかが学園の入学式に摂政が口出しもできない。結局は学園側が王太后に忖度したって形になった。


 中村さんは気にしてないみたいなのが救いだけど、国王が増長して悲劇を繰り返さないように周りの大人がしっかりしないといけない。

 まあ、闇落ち元王子に関してはその後の調査でかなり幼い頃から他国の間者に変な事を吹き込まれていたことが判明してる。その辺は徹底排除に努めてきたからあまり神経質になり過ぎるのも良くないんだけどね。


 国王の歳の割には立派な新入生代表あいさつは、実は筆頭宮廷魔術師の作文だ。この場でそのことを知ってるのは私と鈴木さんと中村さんくらいで王太后は知らない。


 入学式が終わって、私は中庭で焼きトウモロコシを焼き始めた。もはやこの学園の伝統行事みたいになってるけれど、始めたのが私だと知ってるのは鈴木さんといまだに校長を続けてる狸くらいだろう。


 中庭に漂う焼きトウモロコシの匂いにふと昔を思い出す。

 攻略対象たちの卒業式で私から焼きトウモロコシを受け取った五人のうち、二人は魔に堕ち、三人は女神の側にと袂を別った。


 入学した年、私は初めて金髪イケオジと直接面会して、疫病対策やら魔人対策やらに駆り出されたりとあまり学生らしい想い出はない。

 中村さんとヴィクトリア、そして国王の学園生活がどうなっていくのか決めるのは彼らだ。


 今は彼らの未来を祝福しよう。焦げた醤油の匂いを添えて。



これにてエリザベスの後日譚は終幕です。

割と即興で書いたので練り込みが足りなかったのが反省点ですね。


さて、エリザベスとマリアの後の時代の物語を考えております。

まだ構想段階なので投稿までしばらくかかると思います。

もしよろしければその時にまたお付き合いいただけると幸いです。

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