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転生ガチャ~悪役令嬢の後日譚  作者: 帆船
第二章:女神編
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【聖都クランク】

 忙しく飛び回っている間に季節は流れ新しい年を迎えた。例年通り王家主催の新年祝賀会に出席してからステアでの新年会。騎士団の部下であるハニャス先輩や私の麾下となったトーケ先輩、それにナツヒ先輩もお祝いに来てくれてた。


 なんとトーケ先輩に縁談が持ち上がってるらしい。お相手はアリオン伯爵麾下のピラー子爵令嬢で、学園ではトーケ先輩と同学年だった人だそうだ。アリオン伯爵領はセルシオ領とレクサス領のすぐそばにある小さな領地で、長らくセルシオ・レクサスの政争に巻き込まれていたそうだ。ただアリオン伯爵自体はこの二公爵家に愛想をつかしていて、どっちかと言うと父上のところ、つまりオーリス派閥にすり寄りたい思惑があったらしい。

 ただオーリスに付こうとするとセルシオやレクサスが圧力をかけてきて動けなかったようだ。アリオン伯爵領は鉱物資源が豊富なんで王宮としてもセルシオやレクサスにつかれるよりは、王宮寄りにしておきたい思惑もあったらしい。それで、トーケ先輩がセレス伯爵麾下になった事でオーリス派閥に与するチャンスと踏んだようだ。


 私は父上の娘だけど、『オーリス派閥』なんて御大層なもんじゃないつもりなんだけど。


「世間はそうは見ないって事だと思うよ」

「それでトーケ先輩はどうするんですか?」

「父上とは一線を引いてるとは言え、政略結婚から逃げられる立場じゃないのは自覚してるからね。宰相閣下がそう決めるなら従うしかないだろうね」


 そういうモンなんですかねえ?


「エリザベス嬢とマリア嬢が羨ましいよ。二人とも若くて綺麗でしかも優秀だから、狙ってる貴族家は多かったそうだからね」


 げっ、それは知らなった。こうなってくるとマリアとの間に子どもができたのは返ってマシだったんじゃ……っていかんいかん。どうにも思考が染められてるよ。トーケ先輩には「結婚が決まったら教えてください」と伝えて会話を切り上げた。


 次に私のところにやってきたのはハニャス先輩、こっちは魔道騎士団のあれこれについて相談だ。


「……と言うわけで、ベースキャンプと避難民キャンプをひとまとめにして城塞都市にしようとしてる。街全体を城壁で囲えば避難民たちも守りやすいと考えてね。それで騎士団長の承認があれば魔道騎士団の本拠地もここに移そうか、っていうのが副団長と私で話し合った結果なんだけど、どうだろうか?エリザベス嬢」


 魔道騎士団の本拠地は王宮の意向であの場所に決めた。その意図はランクス領とパッソ領の両方ににらみを利かせる意図があったと鈴木さんは言った。パッソ領が消滅した現在、この意図を満たすだけなら本拠地移転は問題ない。それに魔道騎士団が常識外れの機動力を持ってることは魔人の一件で上級貴族の間では知れ渡ってる。今のベースキャンプからならアクシオ領だって半日かからずに到着できる。普通なら一週間以上の距離を。


「一応、王宮には先に連絡を入れますね。難色を示されることはないとは思いますが念のためです。そのうえで拠点を移しましょう」

「それから、シフトから王都への街道敷設も今年中に着手したいと思ってる。そのための計画も副団長と練ってるからもう少しまとまったら議論に参加して欲しい」

「街道計画の件は分かりました。それとさっきの城塞都市の話ですけど、避難民のみなさんには騎士相手の商売とかやってくれる人がいると助かりますね。騎士たちだって休みや息抜きは必要でしょう」

「お酒や料理を出す店とか、本屋とかどうだろうか?」

「いいと思います。他には騎士団からは支給されない装備や服を売ってくれるお店なんかよさそうです」


 こういうお店が増えれば王都からの商隊(キャラバン)が増えて通行税も取れるし。その他にも細かいすり合わせをしてハニャス先輩との話は終えた。


 その後にやってきたのはナツヒ先輩。なんで正月から仕事三昧なんだろうね?労働基準法が欲しい。


「そりゃ、我が教会の信仰対象が開くお祝いだからね。カスミ教の代表として駆けつけないわけにいかないよ」


 鈴木さんはナツヒ先輩に私の神格化について打ち明けていたらしい。二人で相談しながら信仰がイッキに集中して破裂しないようにコントロールしてたとか。鈴木さん曰く、私の身体は信仰の器として順調に育っているらしく、王都のリニューアルオープンの時のような体調異状や突然の脱力感に襲われることも減ってきた。


 それでもリーナ伯爵領でパンクしかけたのはナツヒ先輩にとっても想定外だったそうだ。あの街は疫病から救った事があるのが原因らしい。アノ女神像を見たサスの住民たちのテンションが爆上がりでとても多くの信者を獲得できて先輩はホクホク顔だったそうだ。こっちは破裂するかと大変だったのに。


 まあ今なら旧パッソ領の魔人が相手でもさほど苦労はしない気がする。でもマリアのほうがまだ魔力が大きいんだけどね。


「勘弁してくださいよ先輩。こっちはまだ神様はじめたばかりの新米なんですから」

「ははは。旧聖教会が政治権力を持とうとした末路を知ってるからね。我々は政治に口出しすることを禁じているし、貴女に何かを求める事もない」


 でもまあ。あの金髪イケオジは把握してそうではあるね。王家の暗部とか動いてそうだし。私が宗教勢力と結びつくような事態になれば先んじて王家が潰してくると思う。ハニャス先輩とトーケ先輩は私から直接は伝えてないけどなんか察してる感じだった。それぞれ自分の親とは一線を引いてるようで、宮廷魔術師や宰相が把握してる様子はない。いずれは王宮にも伝えないいけないとは思ってるけどタイミングが難しいよね。


「それでクランクの街なんだけど熱心な信者が移り住んでくれているんで、今年中には聖都として発表したいと考えてるんだ」


 ほお、それは陛下はご存じなんだろうか?


「もちろん国王陛下にもすでに内諾はいただいてるよ。それで聖都に相応しい女神リザ像を作ろうって話があってね」

「はい?」

「全高十メートルの全身像を計画してる」

「いやいやいや。勘弁して欲しいのはこっちですよ。そんなでっかい女神像作ったら、私ホントに破裂しちゃいますって」

「?いや、マリア嬢は"たぶん大丈夫"って言ってくれたんだけど??」


 あのヤロウ!


「それで以前からお願いしてたクランク浄化の最終段階で、魔道騎士団の力も借りたいんだが」

「それは陛下からも期待されてるので構いませんが。具体的にはどうなさるおつもりですか?」

「魔人の時に貴女が開発した呪い駆除カビ『カビサプレッサー』を量産したいと思ってる。この一年で教会幹部の聖属性魔力が次第に強くなっててね。クランクの浄化は完全解決すると思ってる」


 ほうほう。この一年で教会幹部の聖魔力が強くなった……ねえ?


「それは隣国発祥の抽象概念としての神から力を借り受けるのと実際に顔を合わせたり会話した事がある女神様から力を借り受ける違いだと思いますよ」


 会話に乱入してきたのはマリア、いや鈴木さんだった。で、チュウショウガイネンってなんだ?『他所の国のよく知らない銀行からお金借りるより、よく知ってる友だちからお金借りるほうがハードル低いでしょ?まあ友だちからお金借りるもんじゃないって話は別として』と鈴木さんがこっそり耳打ちしてくれた。


「力を増したのは旧パッソ領で、エリザベス様と直接会話したり、エリザベス様の活躍を目の当たりにしたかたがたではありませんか?」


 ナツヒ先輩が頷く。そう言えば私の事を背教者と言ったり、力を見せつけた後はよく問答してた人たちがいたよね。見せつけたのは私の力じゃなくてヒロインの魔力だったけど。


「確かに力が強い教会幹部は旧パッソ領に遠征した者が多いね。あの過酷が修行になってたと思ってたが……なるほど、そういう見方も確かにできるね」


 なんか二人で納得してるし。


「それでカビサプレッサーの件だけど」

「媒体に使うカビの胞子を量産してお譲りすることは可能ですよ。ナツヒ先輩のほうで聖属性魔力を注いでくれるならこちらの手間はかかりませんし。あと光属性魔法で周辺に散布するほうは大丈夫ですよね?それで見返りというわけではないですけど……魔道騎士団はランクス領の瘴気浄化も要請されています。そちらにも協力いただけるとありがたいですね」

「こちらの人員次第な部分もあるけどできる限りの協力はさせてもらうよ」


 三者三様に頑張ってくれているようだ。以前の私は一人で何でも抱え込んでいた。こうして負担を分けることなんて知らなかったし、分担できる相手もいなかったし。


「ナニ言ってんのよ。私がいたでしょ?頼ってくれなかったケド!」


 そんな事を言ってたらマリアにデコピンされた。


反応があると励みになります。よろしければリアクションや感想等いただけると嬉しいです。

これからもお付き合いいただければ幸いです。

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