【神殿リニューアル】
王都に着いて二週間。その間に私は学園に行って校長と講演について話を詰めていた。私が事前に用意しておいた内容の骨子は了承されたんだけど、質問コーナーも作りたいって話から始まって最後はパネルディスカッションにまで話が広がってしまった。
「パネルディスカッションはどうしてもって言うならやりますけど、他の論客だれにするんです?あんまり幼稚な相手じゃ困りますよ?例えば、あっさり呪いに飲まれて廃嫡されるようなアマちゃんだとか」
「ははは。まあその話は置いといて。一人は貴女の学生時代の担当教師なんかどうでしょう?魔法の非戦闘利用については一家言持ってるひとですよ。あとは在校生の中で一番優秀な子と進行役の教員でいかがです?」
「在校生で一番優秀……それって例えばハニャス先輩とディベートができるレベルだったらいいと思いますけど。もちろん『あの事件』以前の先輩じゃなくて宮廷魔術師としての自覚を持ち魔道騎士団で研鑽を積んでるハニャス先輩と、ですけどね」
「それは要求が高いですね。ただ、『あの事件』で目が覚めて貴女に教えを請いに行った当時の彼くらいの気概はある子ですよ。事前に先ほど説明していただいた講演の骨子を伝えてもよければ、きちんとそれに沿って予習してきて質問なり意見なりを言える子ですね」
そこまで言うならこの話受けようか。それから細部を話して学園を後にした。
◇
さらに一週間経ってマリアが王都に着いた。ナツヒ先輩からは、こちらの都合に合わせて日程をずらしてもいいまで言われてたけど、他の上級貴族や国王の名代としての宰相まで呼んでるのに私の都合でスケジュール変更なんてできないでしょうが。
バタバタと準備を済ませて二人で教会のセレモニーに参加するために出かけた。
旧聖教会の建物をほぼ全面的に建て直した新しい神殿にナツヒ先輩やカスミ教の重鎮たちが並び、信者たちが詰めかけていた。私をはじめとした来賓の貴族たちや国王の名代である宰相も指定された貴賓客席に着席してた。
新しく王都の神殿長になる人がつまらない話を長々としてる。信者たちは熱心に聞いてるけど来賓の貴族たちはだいぶつまらなそうだ。長い話がようやく終わり、布が被せられた女神像のお披露目となった。高い台座上の全長およそ三メートルの女神は誰がどう見ても私にしか見えない。いや、知ってたけどね。こうして見せつけられるとやっぱり恥ずかしい。ナツヒ先輩が、私の予定に合わせてスケジュールをずらすと言ったのはこの羞恥プレイのために違いない。
「羞恥プレイってことはないでしょうに」
とか言ってくるアラフォーはガン無視。信者たちは熱狂して女神像を拝みだす。まだこの後、ナツヒ最高司祭のありがたいお言葉があるはずなんだけど、そんなにテンション上げちゃって大丈夫なのかね?この人たち。
と……なにか身体の内側が熱くなってきた。なぜか私自身の聖属性魔力がどんどんと強くなっていってるようだ。いかん。ドンドン強くなる魔力が抑えきれないで身体が淡く発光しはじめた。
「ねえエリザベス様。いったん出ましょう」
私の異状に真っ先に気が付いたのはやっぱり鈴木さんだった。近くにいる教会スタッフに交渉して控室を使えるようにしてくれたらしい。私は鈴木さんに連れられて控室に移動した。
控室のソファにもたれかかるように座る。
「この部屋、私たちしかいないから無理に聖魔力抑えないでいいわよ。むしろジャンジャン放出する気で出しちゃって」
「ちょっ、言い方ぁ」
っん!!
こんな時に何をするのかと思ったらいつもと違って私の体内から魔力を吸い取ってるらしい。
「うぷぅ。胸やけしそう」
「わ、悪かったわねえ」
「いやあ、濃い魔力だわ。こんなに一気に外部から魔力が流入してくりゃ確かに身体がはじけそうになるよ。理屈は想像通りだったからもうちょっと我慢できる?ごめん、ナツヒを焚きつけたの私だけど想定を大きく上回ってたわ」
そう言って今度はヒロインの魔力を注ぎ込んでくる。これが私の中で急膨張してる魔力と上手く中和してるようだ。私が頷くと鈴木さんは『すぐ戻る』と言い残して部屋を出て行った。
十分ほどして戻ってきた鈴木さんは私から急膨張する魔力を吸い出すことに集中していた。
「こりゃ明日は二日酔いだねー」
「魔力吸い取ってるだけでしょうに」
「あら?魔力酔いってのもあるのよ??」
そんな軽口を叩いている時に、私の中で膨張してた魔力がいきなりゴッソリと削られた。一拍遅れでメイン会場のほうから大喝采が起こる。
「どうやらナツヒが上手くやってくれたみたいね。これで今日はたぶん大丈夫だと思う」
「ねえどういうコト?」
「あとで説明するわ」
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