エピローグ 『これからも永遠に』
冷たい冬の風が少しずつ和らぎ、森の空気には春の訪れが感じられるようになった。
ここでの生活が始まってから、季節の移り変わりを魔物たちや難民たちと共に楽しみ、森での日々が少しずつ豊かさを増しているのを実感していた。
私の癒しの力も、今では森での生活に欠かせない存在として役立っている。
怪我をした仲間の手当てをする度に、みんなが温かい笑顔で「ありがとう」と言ってくれる。
魔物たちも、難民たちも、私がこの森にいることを心から喜んでくれているのだ。
ある日のこと、私はティオと共に森の奥に薬草を探しに出かけていた。ティオが静かに周囲を見渡しながら、
「この森で、君が仲間たちを支え続けることは、とても素晴らしいことだ」
と、穏やかな声で言ってくれた。
「ありがとう、ティオ。私も、ここでみんなと一緒に過ごすことができて、本当に幸せだよ」
私の言葉に、リュカは満足げに微笑み、
「君が聖女の力を使うことで、この森に安らぎが広がっている。君こそが、この森を守る聖女だ」
と続けてくれた。
その言葉が胸に響き、この森で私の力を全て使って仲間たちを守り、支え続けることが私の使命であると確信が湧いてくる。
この森で仲間たちのために生きること、それこそが私の「聖女」としての本当の役目だと感じたのだ。
そして本拠地に戻ると、メルやティオ、ポルカたちが、春の準備を楽しそうに進めていた。
リスたちは冬に蓄えた食材を点検し、ポルカは春に向けた新しい料理のアイデアを思案しているようだった。
難民たちも、森での生活にすっかり馴染み、魔物たちと共に働き、助け合う日々を送っている。
「聖女さま、これからも一緒に暮らしていきましょうね」
ある難民が微笑みながらそう言ってくれた。
その言葉に私は強くうなずき、この森で魔物たちと人間たちが共に生き、支え合いながら平和に過ごす未来を心の中で描いた。
夜になり、みんなで焚き火を囲んでの最後の食事を楽しんだ。
難民たちと魔物たちが和気あいあいと笑い合い、リスたちも焚き火の周りを跳ね回ってはしゃいでいる。
その光景は、まさに平和そのものであり、心の底から安らぎが満ちてくるのを感じた。
「……ここでのみんなとの生活が、私の宝物だよ。これからも一緒に、この森で生きていこう」
私がみんなの前でそう言うと、魔物たちも難民たちも一斉に笑顔でうなずき、賛同の声を上げてくれた。
ティオが「ここは俺たちの家だからな!」と元気に叫び、メルも「これからもずっと一緒だよ!」と笑顔で手を握ってくれる。その温もりが私の心に深く刻まれていった。
こうして、森での生活は永遠に続くかのように、温かい日々が広がっていった。
かつて王都で抱いていた苦しみや恨みは、今や完全に消え去り、私の心には仲間たちとの平和で満たされた毎日だけが残っている。
ここで共に生きる皆が、私にとっての家族であり、森が私たちの安らぎの家となった。
これからもこの森で、聖女としての力を仲間たちのために使い続け、みんなが幸せに暮らしていけるよう、力を尽くしていこうと誓った。
その夜、焚き火の光が星空に溶けていく中、私は仲間たちに囲まれながら、この森での新しい生活が永遠に続くことを心から願い、穏やかな眠りについた。
これにて完結です!
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