エピローグ「佐渡家はやっぱり愉快なんじゃね?」①
佐渡祐介とソーニャ・シラーは、手を繋いで佐渡家の玄関の前にいた。
「……き、緊張するな。お母様とお父様に挨拶か……しまった、メイド服で来てしまったぞ!」
「ソーニャたんはそのままで素敵だよ! 両親もきっと気に入ってくれるさ!」
きらり、と祐介の歯が光る。
少々眩しい笑顔を浮かべた祐介が、いざ玄関の扉を開ける。
「――ただいま!」
「し、失礼します!」
祐介が久しぶりの我が家に元気よく入り、ソーニャが緊張して足を踏み入れた。
「あら、祐介おかえりなさ――」
四十半ばほどの優しげな女性が奥の部屋から顔を出した。
彼女は祐介の母、佐渡優香であった。
「あら? お客様?」
優香は、手を繋ぐ祐介とソーニャを見て、いろいろ察した表情を浮かべながらあえて尋ねた。
少し照れたように、祐介とソーニャが顔を見合わせてから優香にお辞儀をする姿を見て、彼女の中で考えは確信に変わった。
「あらあら、まあまあ、もしかして」
声を弾ませる母に、祐介はソーニャを紹介する。
「お母さん、紹介するよ。彼女は、ソーニャ・シラーさん。僕の――大切な人だ」
「そ、ソーニャ・シラーです。よろしくお願いします!」
はっきりと「大切な人」と言った息子に、優香は喜んだ顔をした。
「まあまあ、そうなのね! ささ、玄関じゃなくて奥にどうぞ。ひなたちゃんはまだ帰ってきていないけれど、お父さんは珍しくもう帰ってきているの。さっそく紹介しましょうね。あ、ソーニャちゃん、ご飯食べていってね。なんなら、泊まっていってもいいの!」
「ありがとうございます!」
ウインクする優香が手招きすると、ぱたぱたと奥へ向かう。
「――あなた、あなた! 祐介が恋人を連れてきたのよ!」
「……ついに人外少女をどこかから攫ってきたのか!」
「やあねぇ。とっても可愛らしい女の子……よ? あら?」
「どうした、優香?」
「あの、今思ったのだけど、十二歳くらいの褐色少女にメイド服着させて連れてくる我が子ってやばくない?」
「――やばいな!」
祐介の両親は、人外っ子大好きな息子が恋人を連れてきたことに喜びながらも驚いていた。
しかし、少し冷静になると、連れてきた恋人が娘のひなたよりも幼い海外の少女であることに血の気が引いたようだ。
「――祐介! あなた人身売買を!」
「してないから!」
「祐介! 見損なったぞ! 褐色少女とはうらやまけしからんっ!」
奥から出てきた両親の勘違いに、祐介は恥ずかしくて顔を覆った。
ソーニャは少し緊張が解けたように笑い、
「……なるほど、祐介のご両親だ」
何やら納得した顔をした。




