33「しののんと明日香が戦うんじゃね?」②
「こけぇええええええええええええええええええええええええ!」
東雲に喚ばれて現れたのは、金色の炎の翼を持つ大鳥だった。
大きく翼を広げ、炎の粉を降らせる朱雀は、縦にも横にも大きい。
孔雀のような煌びやかな尾を持ち、鋭い嘴、瞳を持っている。
「――いてまえ、朱雀」
東雲の命を受け、朱雀が大きく息を吸う。
朱雀の胸が膨らんだ。
「こーーーーーーけぇえええええええええええええええええええ!」
朱雀の嘴が開かれ、圧縮された炎が放たれた。
まるでレーザーだ。
一直線に向かった炎は、一筋の線となり明日香に向かう。
彼女は歪んだ笑みを浮かべて大きく手を広げた。
避ける素振りさえしない。
不気味な雰囲気を出していたが、朱雀の炎は明日香の身体に直撃した。
轟音が響き、熱波と衝撃が放たれる。
指示した東雲の身体でさえ吹き飛んでしまい、地面を転がる。
普段、日本では絶対に使わない、朱雀の全力の一撃だった。
「――やったか!」
「――べあべあ!」
転がった東雲を受け止めてくれた星熊童子と熊童子が叫ぶ。
「ざーんねーん!」
しかし、すぐに答えが返ってきた。
炎が消えると、松島明日香は立っていた。
左半身が足を残して喪失し、残った上半身もすべて炭化している。
かわいらしかった容姿も、手入れのされていた髪も、すべて残っていない。
それでも、立っているのだ。
痛みにのたうち回ることもなく。
激痛に叫ぶこともなく。
白い歯を剥き出しにして笑っている。
鬼でさえ恐怖を覚える光景だった。
「あー、痛いなぁ。女の子に、炎だかなんだかわからないけど痛くて熱い攻撃するなんて、すっごく頭にきちゃった!」
頭にきたという話ではない。
なぜ、死んでいないのか不思議だった。
「……ありえへんやよ。朱雀の全力やで。破壊の炎を直撃して、なんでこんなにぴんぴんしとるの?」
「ありえねえだろ……あの火力をモロにくらったら俺だって消し飛ぶぞ」
「べあべあ!」
東雲だけではない。
星熊童子も、熊童子も、そして炎を放った朱雀でさえ、生きている明日香に驚きと恐怖を禁じえなかった。




