80「せーめーどぅーまんじゃね?」①
「……まさか裏京都の結界を壊すことができるん規格外がいるとは思わんかったわぁ。長く生きとると、驚くことばかりやねぇ」
「抜かせ。――それにしても、あの時の子供がこれほど強くなるとはな」
「キミも同じこと言うとるやん」
「うるせえ!」
軽口を叩き合いながら、ふたりの青年が現れた。
ひとりは白ずくめの青年だった。
白いスーツに、インナーベスト、ノーネクタイなラフな格好をした、伸ばした白髪を結った糸目の青年だった。
身長は高いが、全体的に細く華奢だ。
育ちのよい雰囲気が伝わってくる。
もうひとりは、グレーのスーツにぼさぼさの黒髪の青年だった。
黒縁の眼鏡をかけ、電子煙草を気怠げに吸っている。
スーツの上から見ても引き締まった体格であることがよくわかる。
荒々しい雰囲気を持っていた。
「――晴明先輩!?」
慌てたように白スーツの青年に駆け寄ったのは東雲だった。
「やあ、東雲。キミんがあの茨木童子にあんなに執着されているとは思わんかったよ」
「お疲れ様です、晴明先輩。まさか、先輩がこちら側だったとは思いませんでした」
「……あら?」
東雲が挨拶をすると、なぜか青年は困った顔をしていた。
「……えっと、東雲さん、そちらのお方は? どことなーく東雲さんと似ている気がするんだけど」
祐介が恐る恐る尋ねると、東雲は白髪の青年を紹介した。
「晴明先輩は、自分がホスト時代にお世話になった方や。いまでも定期的に会っているんやけど、まさかこっち側に……しかも、夏樹くんの猛る力を封じて、軋んだ裏京都の結界まで修復するなんて……」
「いや、あのなぁ」
どうしよう、といった感じの青年に祐介は色々察した。
「東雲さん以外、全員集合!」
祐介の掛け声に、小梅、千手、星熊童子、虎童子、熊童子が円陣を組む。
「……晴明先輩って、はるあきら、じゃなくてせーめーさんじゃないかなぁ」
「奇遇だな佐渡。俺も同じことを思った。伝説の人物がこんなところにいる理由とか、東雲のホストの先輩とかツッコミどころ満載だが、由良の馬鹿みたいな力を抑えている時点でやべぇ」
「……つーか、あいつはせーめーくんで間違いないんじゃぞ。ちなみに隣にいるのはどーまんくんじゃ。懐いのう。昔、日本に遊びにきたときによくパシらせとったわい」
「……小梅の姉御の発言は処理ができそうもないので置いておくとして、どうなんだ、鬼っ子ども」
小梅は安倍晴明、蘆屋道満ともに会ったことがあるようで、この場にいる両者を同一人物だと認めていた。
星熊童子たちも頷く。
「あいつの顔は忘れるわけがねぇ」
「あの野郎が獣耳萌えとか意味わかんねえこといったせいで、鬼は追いやられ、狐どもが繁栄しやがったんだ」
「くまくまぁ!」
「くっだらねえな! もっと殺伐とした事情がほしかったよ!」
忌々しく吐き捨てる星熊童子、虎童子、熊童子たちとの安倍晴明の因縁は千手にはツッコミどころ満載だった。
「蘆屋道満はまだマシだ。JK万歳とかよくわからないこと言っていたが、俺たちにも平等だったぜ」
「……おっと、安倍晴明だけじゃなくて蘆屋道満もやべえぞぉ。いや、つーかなんで平安時代にJKとか狐耳萌えとか言ってんだよ、時代先取りしすぎだろ」
「千手さん、僕も伝説のふたりと属性で語り合いたいけど、今はそのときじゃないよ。夏樹くんの力を受け止められるのなら、手伝ってもらうのもありなんじゃないかな」
「……そう、だな」
今も夏樹と茨木童子は激突を繰り返している。
「鬼っ子たちはここにいてくれ。過去にいろいろあっただろうが、とりあえずそれはそれで、今は今だ。あ、いや、あんたら的には姉貴が殺されるのは気持ちがいいもんじゃねえか」
「……気にすんな。正直なことを言うと、俺らは姉貴にうんざりしていた。昔はそうでもなかったが、ここ何百年おかしくてな。特にここ数年はひでえ」
「妹のあたいらが言うことじゃないが、狂って暴れ続ける姉貴を解放してやってほしい」
「くまくまぁ」
「そっか。わかった。なら、見守っていてやってくれ」
千手の言葉に、星熊童子たちが頷く。
祐介は唇を噛んで、嫉妬心を溢れさせた目をしていたが、今は空気を読んでいた。
ついに出ちゃった!
せーめー&どぅーまん!
なっちゃん「――ビッグネームの気配がする!」
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